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デスゲームノ『王』※お受験凍結中  作者: 野菜連合
三章ーー黒羽街《スパイクフロー》ーー
41/55

三十七話 不可能『犯罪』

また一カ月ぶりになってしまいました。

というか気がついたら一月経ってました


いやービックリした。連続で上げたとき凄く閲覧伸びてたからもうちょっと頑張ろうと思ったらこれだよ……




はい、というわけで改めまして野菜です。


気がつけばもう三月!

誰にとっても年末年始に並ぶひとつの切れ目といえる時期ですね。

私もようやく試験が終わりちょっとした連休に入りましたー。



といってもまだテスト返しやら作業やら終業式が残ってるわけで春休みはまだ少し先なんですけどね。



はいそんな中の投稿となりました三十七話!


俺たちの冒険は……これからだ!!!


……てことで本編どぞ!

第三十七話 不可能『犯罪』




「・・・なんだ、これは。」


広場の後方の事情が良く飲み込めてない人達が騒ぐなか逆に静まり返った中央付近ではアルフレッドさんの声はよく響いた。


「なにって・・・そりゃ情報やで?それ以外になんかあるんか?」


「そうじゃない・・・何故こんなことが起きたのかと言う話だ!!」


そう叫んだアルフレッドさんの顔は先程の言い合いの時以上の迫力を含んでいた。


だがモズもその程度のことで及び腰になる担力は持ち合わせてないらしくその態度を崩さぬままに応じる


「そんなん誰かが殺したからに決まっとるやないですか。そこにも書いてありますやろ、”殺人”ってな。」


「・・・誰が殺した?」


「それは仕事の依頼ってことでよろしいんで?今回の情報は初回特典の売名行為やからなぁ・・・次からはキッチリお代をいただきまっせ?」


アルフレッドさんの問の意味をわかっているのかいないのかのらりくらりと躱すモズ


「つまりなんだ・・・お前の要望はこちらと専属契約を結びたいと?」


「そうなりますなぁ、まぁ少なくとも旦那が使い物になっとる間は・・・こちらも期待には答えさせていただきますわ。」


・・・ってこれ良く分からないけどモズって人の思い通りにことが運んでるんじゃないのかな?




しばらくの間を置いてアルフレッドが口を開く



「いいだろう、契約はしてやる。だが細かいことは宿でだ。ついて来い」


「はいはいわかっとりますわ。そんじゃみなさん、これからも運び屋モズを・・・御贔屓に」


そうして僕らへ解散の意を伝えて自身の宿へと帰っていく。


取り残されたのは未だに震えるラムさんとそれをなだめるシタリさん・・・そして結局何が起きているのか分からなかった野次馬連中のみだった。




「おんやぁー、修羅場かなカー君?」


半ば放心していた僕らへ話すのが辛いほど高いテンションの声がかけられた。


振り向けばそこにはやはり明るい金に髪を染めて何と言うかこう・・・ふわふわとした感じに髪を伸ばした級友が一人。


「り、律・・・なんでここに?」


「それと同じセリフを朝も聞いた気がするー。」


そんなことを言いながら片足で地面を蹴りながらこちらへと近づいてくる。


「まぁなんでかって言われたらあんだけ騒がしかったら気にもなるよねってととっ!あぶないあぶなぃわちゃッ!!」


案の定途中でバランスを崩して頭から僕の鳩尾にダイブしてくれた。


「いやハハハめんごめんご!それで?カー君は女の子泣かせてどうしちゃったの?」


「僕が泣かせたわけじゃないよ!?」


どういう勘違いだよ全く!


体を起こしながら少し強めに否定しておく。

間違えてもこの話が舞姉立ちのところに行かないようにしないといけない


行ったら多分僕は殺される。


「だ、誰よそいつ」


何とか周りに気を配れるようになったらしいラムさんが律のことを聞いてくる


「え?あ、あぁ彼女はりt・・・ リッチャンといいまして・・・その・・・僕の級友です。」


「あんた友達いたのね」


それはどう言う意味だろう


「アハハハは!なかなか言うね、でもカー君は怒るとこぉわいぞぉ!」


今は律に怒鳴りたい気分なんだけどなー


「あ、はっじめましてー!リッチャンことリッチャンです!趣味はなめこ栽培です、特技はカバディです!

そんなわけでよ・ろ・し・くぅ♪」


奇怪なダンスを披露しながらの自己紹介にラムさんが顔を引き攣らせる。

その顔に怯えは無くそういうところに律の凄さを感じる。


・・・狙ってるとは思えないけど


「・・・これほんとうにあんたの友達なの?」


まじで変人しか会わない。と呟くラムさんはなんとも言えない影を背負って項垂れる


「それで貴方達はだぁーれ?・・・は!リッチャンわかっちゃった!わかっちまったぜバーロー!カー君の生き別れの妹さんだな!そんでそっちが現姉!泥沼だ!」


似てねーなんていいながら爆笑する律に拳骨を落としてから二人のことも説明する。


「ふーん、ただの知り合いねぇ。・・・カー君の周りは可愛い子が多いねぇ。それに昨日は女の子とは会わないって言ってなかった?」


心の底から楽しそうに聞いてくるが何も楽しいことなんてない。勘弁して欲しいものだ。


「あ、答えなくていーよ。その代わりちょっとの間リッチャン一人で遊んでくるからみんなにも言っておいてね!」


「あ、おい!」


そうして話もそこそこに奇妙な走り方で消えて行ってしまった。

追うように伸ばした手は虚しく空を指して感触もなく下ろされる。


「全くあいつは何がしたいんだろうなぁ?」


「いい友達じゃないですか。」


「そういえばシタリさん一言も喋りませんでしたね。」


「いえ。ただ……」


何気ない一言だったがどうもシタリさんの琴線に触れる要素があったらしく声を少し落として何かをつぶやいた。


「え?」


反射的に投げた疑問符は笑顔のシタリさんにかき消され有耶無耶にされてしまったが僕には確かに聞こえたのだ。


”『どこかで会ったような気がしたんですよね』”


そんなわけはない。とは言い切れないしもちろんあってもおかしなことではない。


でもその時のシタリさんの顔が僕は忘れられなくて……僕は解消されない疑問を抱いた。


「だめ……つかれた。これだから外には出たくないのよ」


「でもそれだと生き残れませんよ?初めに蓄えた食料だってそう多くはありませんし……ゲームだからといってそれは……」


「わかってるわよ……でもわかるでしょ?私は怖い……外に出るのが怖いのよ」


そう言ったラムさんの言葉で場の流れは解散へと向かう。


特にそれに逆らう必要もなく僕は律の行動、シタリさんの顔、ラムさんの言葉の意味に悩みながら1人モズの記事を読んで広場に残っていた。


他の出来事を押しのけて脳裏によぎるのは今朝の彼……ゲーム初期にしては目立つ格好で現場に近い場所であんな時間から彷徨いてた幼めのあの男だ。


「……気になるよな。」


別に何か正義感にかられたわけでもないが何となしに調べなくてはならないという使命感にかられた僕は記事ウィンドウを閉じて勢い良く立ち上がる。


代わりに開くのはステータスのウィンドウ。


そこに書かれた勇者の文字といくつかのスキル群、そして星がアホのように並んだ武器の詳細だ。


今も尚自身を悩ませ続けるそれを忌々しく思いながらも上から順に目を通していく。





───勇者。

物語において文字通り勇気ある者として魔王を打倒し世界に平和をもたらすいわゆる所のヒーローである。

場合によってはその存在そのものが機械仕掛けの神と言ってもいいかもしれない。



だがこのゲームにおいての立ち位置は案外微妙なところにあるのだ。


そのネームバリューに踊らされて現実をよく把握できない人がいるがこのゲームの核はあくまでも”王”の称号である。


例え神であろうとこのゲームにおいて一番の絶対性を誇るのは王なのだ。


職業が王で無ければオリジナルスキルは使えないしcrownだって例外無く持つものは全て王と呼ばれる者達だ。



では勇者とはなんなのか?




ステータスは優遇され限定のスキルも持つ、武器は最高ランクの武器だし何より一人しか得ることができない職業だ。



…………答えならはじめから出ている


”魔王を打倒するもの”、勇者なんて端からそれ以外を求められていないものだ。


勇者の持つ聖属性魔法は邪属性を退け勇者の持つ装備は勇者とともに成長する風変わりなものだ。



彼にははじめから逃げるなんて選択肢は存在しなかった


戦うしかない……それでしか生きることはできないのだから。





それでも頭を悩ませることは多い。

ただ無心にモンスターに向かえるほど非情であればよかったのか、或いは無力のままであればよかったのか……よしんば力を持った彼はこの始まりの街で起きたという最初の殺人を……見逃す事が出来なかったのである。



「男らしい目をしてはりますなぁ。いやぁ、若さって素晴らしいもんや!」


「うわぁ!!」


そんな決意を踏みにじるようにして現れたのは先程アルフレッドと付き添って何処かへと消えていった情報屋モズ


何故か彼は一人で戻ってきて集中状態のカケルの瞳を覗き込んでいた。


「なんやほんまに気付いとらんかったんかい、シカトされとるんちゃうかとドキドキしたわ。いやはや滑らんでよかった。」


手には先程の紙束とはいえそんなの拾いに来なくともアイテムウィンドウから纏めて回収できるはずだ。


どうやってここに来たのかは知らないが気になるのはそれよりも……


「どうしてここに?」


なぜここに来たのかだ。


僕と彼は初対面、先程だって僕はさほど目立つ行動をしたわけじゃない。

目を付けられるようなこともないと思うし僕を優先するようなこともないように感じる



それがどこか不気味だった。


「どうして?そりゃわっしが情報屋なんてかったるい商売始めたからですわ。スクープがあったら足を運ぶ……これ常識ですわ。」


「スクープがここにあると?」


アルフレッドさんのような何かを見透かすような瞳ではなくただ何を考えているのか読ませぬその瞳を警戒しながら問うがどうやら相手が望んだ反応ではないらしい。


「まぁすっとボケるならそれもよし……わっしがここに来たのはスクープを作るためや。」


何の?と続けようとした僕に先んじて殺人のと答えたモズの話術に多少の苛立ちを感じなから先を促す。


「いやぁ正直あの旦那が最後まで生き残れるイメージがないんですわ。

やから契約最中に言うのも何やけどわっしは見限っとんねん。精々わっしの売名に協力してくれたらええと思ってんねんけどな。」


そう笑いながら言うモズは嘘をついている感じではなく、言葉を選ばない感じたままの言葉を吐いているような感じなした。


「やから表向きしっぽ振っといて裏で好きなだけやらせてもらおう思ってな。

……どや?あんさんアルフレッドの代わりやってみぃへんか?」


バカバカしい提案だった。


僕にそれができるはずもない。


だから断るはずだった。

口にした筈だった。


「バカバカしい……そやな、確にあんさんに代役を求めるんはバカバカしいけど別にアルフレッドと同じ事をしろ言うてるわけちゃいますわ

ただ代わりに契約しませんかというだけの提案や。」


それが理解できなかったのは僕の頭が悪いだけではなかったはずだ。

その回りくどい言い回しにも原因があったと思う


「簡単に言うならわっしの情報を買って欲しい、そして情報を作って欲しい。……わっしはまたそれを情報で買いそれを売る。……そういうサイクルを作りたいんですわ。それにはあんさんが一番だと思った……信じられまへんか?」


……信じられるか信じられないかでいえば信じられないだろう。

モズのまとう雰囲気や言い回しがそう印象づける。




だがこれは僕にも利があることだ。



今しがた決意した殺人事件への関与……モズは僕の決意を僕がする前に読み取って利用できると判断して戻ってきた。



殺人事件の情報を売るためだ。


そして僕が関与して得られたものをまたモズは欲しいのだろう。




情報は鮮度……それはそういった類のものに疎い僕でもわかる真理のうちの一つだ。


そんな僕の考えを嘲笑うかのようにモズは肩を震わせて声を抑える。


「何が面白いのさ」


僕は少しイラついたように……そうイラついたようにされに問いをかける


「何がってそりゃそんな真理あらへんってところにや。大体の人間はわっしらみたいな人間と相対すると”情報は鮮度”とか面白い事を抜かしよるねん。別にそんなんどうでもええねん。

大切なんは需要や需要、この世の中新鮮さで回ってんとちゃうで?需要と供給の絶妙な均衡で成り立っとんのや。」


そう語るモズの声に虚飾は無かった。


ただただ自身の発言に対する自信があり、誠実さがあった。



僕はそこで初めて彼の姿を直視できたような気がする。


「これでも一応あんさんと仲良くしたいから言っとくけどな……わっしは別に誰かと喧嘩がしたいわけでも誰かを貶めたいわけでもない、ただ自分が生き残れるための最善を尽くすために、自分なりに周りを助けるために余計なものを一切省いてるだけや。


あんさんあの(ぼん)……いやミュウ君やったっけ?とかキラキラいう舐めたガキ達と友達なんやろ?そんならわかるはずや。そこまでせなあそこまで壊れる事は出来んわ。


あない歪な人生撮ったこと無いしあないな化け物見たことない。

わっしはそこそこ自分が天才言われる人間に近いとは思うてるけど人間をやめることができる奴らにだけは……かなわんのや」


その言葉は予想以上に僕の心へ響いた。




こんなこと言わなくてもわかるだろうが僕は悠也に憧れているし彼が周りとは違うのも意識している。


誰もそれを正確に捉えられなくて彼自身正確に捉えられていないから不安定何だということも知っている。




だからそれを一瞬で見抜いたこの人に……一瞬で共感してしまったこの人を切ることは……僕にはできそうになかった。


「なんか狡いですね。正直もう何も返す言葉がありません。」


「お、なんやあないな言葉に弱いんか。成程な。確に気持ちは良う分かるわ。」


最もそれを捨てろとあなたが言ったわけですが


「なんにせよ協力してくれるなら有り難いもんや、フレンド飛ばすから認証したってや。今夜にでも今回のこと纏めて送ったる。」


「わかりました………今夜?」


「当たり前やんか。昨日起きたら今夜起きることも考える……初日から圏内で人を殺す旨味ってなんやろな。恐怖か同士かはたまた快楽か……何にせよまともな思考しとる奴ではないはずや。

殺る奴なら今夜も殺るできっと。」


「それで、僕にどうしろと?」


そんな僕の問いかけにモズは少し困ったように笑った。


「勘違いしてるみたいやけどわっしは……あぁもうまだるっこしいわ。僕はな、策士ちゃうねん。戦士でもないし諜報員でもない。ただの商人や。……だからそういうのは情報を必要とした人が考え。僕にはよくわからんわ」


前から兆候はあったが彼の中にはどうも商売のときとそうじゃない時のスイッチがあるらしい。



口調も一人称もアルフレッドさんや衆人環視の中の時とは随分砕けていた



……それでも胡散臭さが消えないのはどう言った了見なのだろう。


「まぁなんにせよ行動に移すのは今日や。時間なんか与えられん。

君も好きなようにしたらええよ、仲間を呼ぶなり隠れてみておくなり……場所と時間だけならこの街の全体ぐらい僕が把握しといたるさかい。」


違和感のあった商売訛りともいうべき不純物が消えたモズの言葉は変に淡白で恍けた感じの消えた話しやすいものへと様変わりしている。



でもそんな喋りを聞かされたところで僕に何ができるのか何て今すぐには考えつかない。


先程一人で決意をした時だって具体的な行動は思いついてすらいなかったのだから。


目の前で手を挙げて去っていくモズさんの背中を見ながら僕は思索に耽っていた。





問題は積み上がるばかりで未だに解決の糸口さえも……見せてはくれないようだ。



次回予告とは少し違いますが一度視点をmiyuu君に戻します。


向こうは少しカオスな上に登場人物が少なくてやりづらいことこの上ないんですが……先日ふと思った時に向こうのストーリーを忘れててかなり思い出すのに苦労したもので。


このまま放置しておくと多分私がどう展開するつもりだったのかを思い出せなくなりかねないということで一回戻します。


まぁメモしたから大丈夫だとは思うんですけどね。


できれば明日明後日……無理ならまた一月空いちゃうのかな?

いやもちろん頑張りますけども!

はい、それではみなさん、アデュー!


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