第150話 RPGのストーリー構成のように
プレスリリースさせた、『異世界ファーム』のDL数だが。
開発責任が『クロニクル=バースト』だということから、認知度が高かったせいもあって一桁から二桁、そこからいっきに四、五と増えていく。
クロードにサーバーの負荷がかかりにくいように、藍葉にもサポート処理できる方法を教えてもらったので、バグの処理が少しずつ減っていくのがわかる。広告演出のクソゲーム扱いと思われる代物だろうが、あの『クロニクル=バースト』がわざわざ、ポイ活ゲームをプレイできるようにするとは思えない。
レビューこそはまだないものの、それらしい評価はすぐにDLコンテンツに記されたようだ。
『手軽なように見えて、高難易度やとか。課金枠は今んところ設けてないから、そこが面白いとかはあるって感じや』
「それ。あたしもβ版触っているとき思った」
『お前らモニターらのは、ほとんど下書き状態やけど、やりたい放題に出来るようにはしとったからな?』
藍葉の宅配弁当とかが、今回も一番人気や。などと、嬉しい言葉をかけてくれるが……現状、この段階に来るまでに美晴から手渡された『タブレット』をきっかけに、好き放題しただけに過ぎない。
だけど、成樹にも上司として認めてもらえたから。『もっと頑張りたい』と思って、左藤らとメニュー監修をしただけだ。まだまだ改善の余地があるのは今後も同じだし、左藤の無事も心配だからこそ、このリリースで救出支援の促しになって欲しかった。
ゲームシナリオを作ったつもりはないが、藍葉の手元にある素材で『クルス』と『リーナ』の現状をいくらか脚色すれば……プレイヤーたちが追い付くまでに、その『ストーリー構成』を綴ればいい。
『異世界ファーム』のあれやこれやが、異次元の現実でもないというのはプレイヤーたちにはわかっていない。藍葉もまだ信じ切れていない部分はあるが、そちらの奈月と接触したのだから嘘とか真とか言っている場合ではないのだ。
命を手の中に与かっている。
その現状が本物なら、地球サイドがこんなにもめちゃくちゃな環境破壊状況になることを……どれだけ、認識するだろうか。藍葉などの、ごく一部の存在だけが知っていていい状況でないのはわかる。
(わかるけど……『誰かの大事な人』を死なせないでほしい)
藍葉もクロードも、ほかの関係者の誰もが同じことを思っているだろう。
しかし、混乱を招く一方なので、情報を開示するのは慎重にしなくてはいけない。その前振りとして、今回のプレスリリースを試してみたが……見事、乗ってくれたプレイヤーたちのどれがどれだけ本気なのかはわからずとも。
『寝て』から『起きて』みての現状が『異世界ファーム』のような現状だと理解しているのなら。
自分たちでなんとかしなくてはいけないという、『救援活動』を『クロニクル=バースト』に求めているのなら……それは、今だけは正しいと教えたい。
『二巡目で、一万超えたか? 海外サーバーはまだあかんやろ?』
「やめといた方がいい。混乱以上に浸食してきそうな予感がする」
『それは俺でも思うわ』
大陸を越えた向こう側は同じなのか、違うのか。
日本よりも小さな国の方が酷いかもしれないが、今は手を差し伸べる手段を選ぶ必要があるのだ。少し思い出したが、地震のプレートや地底火山の可能性がある日本周辺の海の中が恐ろしいことを。
下手に外側を刺激し過ぎると、今度は状態維持すら出来ないと予測したからだ。
次回はまた明日〜




