勝負の翌日
料理勝負の翌日。
日曜日なのでいつものように公園に向かうと、そこには昨日と同様にカッツォとラチャン姿があった。
まああんなことがあった後じゃまたもや代打を頼まれるのは仕方がないか。
「おはようございます、カッツォさん。休みが潰れて大忙しですね」
「全くだよ。アマネさんがロックの姐さんに対しての責任を取れだなんて言うもんだから」
「それを言ったらモトベさんの本音をバラしたカッツォさんも同罪ですよ」
「違いないでござるなあ」
「キミもじゃないかなラチャン」
「そうでござった」
あの後、ロックを連れて役所に向かったモトベさんはそのまま入籍し、車は来月渡すと言い残して二人して出掛けてしまった。
モトベガレットとしては土日の公園出店は外せないので、しばらくは代わりにカッツォが店を出すことになっている。
残されたノエルは契約があと一週間残っているホテルの仕事を一人で引き取って、それが終わったら今後は一人で渡り職人を続けるそうだ。
彼女は姉思いなので今回の結婚には大賛成ということで、休みが潰れて少し不満げなカッツォとは異なりむしろやる気が溢れて凄いことになってるとか。
帰りに夕飯を兼ねてラムセスのレストランに顔を出すのも良さそうだな。
「───ところでヨハネ……その絆創膏はどうしたの?」
「ちょっとね」
そしてこの日の営業はつつがなく終了し、帰りに寄ったレストランでの食事中。
朝はなかった絆創膏を右の頬に貼っているヨハネにわたしはたずねた。
このときヨハネははぐらかしたのだが、今回の騒動を手記にまとめている未来のわたしが聞き返すと彼は恥ずかしそうに答えてくれた。
「あのときマリーがロックに胸ぐらを掴まれただろう? それを知ったグーデリアンが『なんで傍観して止めなかったんだ!』と怒って僕をボコスカ殴ってきたんだ」
「接客で忙しかったときにそんなことが」
「最終的にマリーが止めてくれたから軽症で済んだんだけれどね」
「ふーん。でもそれってまさか、おっぱいを押し当てて手当てとか、そういうのじゃないわよね?」
「そんなわけないじゃないか」
「あの子けっこうむっつりだし、やりかねないと思うのになあ」
マリーちゃんの名前がヨハネから出て、変に嫉妬した未来のわたしは少しヨハネに意地悪。
もうこの時代のわたしはヨハネとは夫婦だし、しかもこのときは休日前の愛の時間。
彼女を出汁にしたわたしはいつもより燃え上がったのだがそれはまた別のお話。
今のわたしはハネムーンに出たモトベさんがどれだけ羽目を外したのかが気になる、他人の恋路に興味津々な乙女だった。




