その21 靴屋にて ルース視点
よやく書きたかった黒ルースまできました。
長かった…ちなに今回文章も長いです。
次の日は雨だっだが僕にはやることがあった。シャーリーを残していくのは心苦しかったが仕方ない。使用人達にはくれぐれも寂しいなんて思わせないようにもてなして欲しいとお願いした。
僕は待ち合わせをしている街の靴屋に向かった。
あいつにはちゃんと迎えをやったからもう来ている頃だろう。
雨がひどくなってきた。僕は道を急いだ。
靴屋に着いて魔法で髪や服を乾かした。
「ザイン公爵家御子息のルーズローツ様ですね。マルクです。はじめまして。以後お見知りおきを…もう着いておられます。二階へどうぞ。」
この靴屋はザイン公爵家おかかえの情報屋だ。まあ、闇で仕事をするザイン家には必要な駒だ。
「ありがとう。マルク。今回は突然無理を言ってすまない。今後長い付き合いになると思うがよろしく頼む。」
僕はゆっくり二階に上がった。扉を開けると銀色の髪のあいつが椅子にしばられていた。僕を見るなり喚き始めた。
「何するのよ!」
「何って君に聞きたいことがあるんだ。わざわざここまで来てもらってごめんね。」
背中を入り口の扉にもたれかけながら腕を組む。
「何よ!話を聞きたいならこんなところまで連れてきて、縛らなくてもいいじゃない。」
「あー煩いな。君の返答しだいでは考えることがあるからね。ねぇ、ルピアさん、君なら僕が何をいいたいか、わかるよね?」
彼女は青ざめた。恐怖が彼女の顔を覆う。
「君はゲームを知っているんだよね?」
「何故…そ、それを…」
「ああ、別に僕は転生者ではないんだよ。とある人から情報をもらったんだ。君は僕のルートをお望みなのかな?」
「…」
「僕のルートに入りたいってことはかなりそのゲームをやり尽くしたんだよね?」
「あなたのルートが一番難しいから…何回やってもわたしには入れなかった。友達が入れたって待ち受けを自慢するから羨ましかった。だから転生したとわかった時に必ずあなたのルートを攻略しようと思ったの!だって…」
「だって、何?」
「私はあなたが一推しだったのよ。絶対に手に入れたい。だから学校に行けるように頑張って勉強したわ!」
「そうだったんだ。光栄だな。」
「ようやくあなたに会えて喜んでたの。そしたら何故かシャーロレットがあなたの幼なじみので王太子殿下の婚約者ではなくなっている。設定が違うのよ!彼女は悪役令嬢のはずなのよ!おかしいのよ!」
「ははははっ。おかしい?悪役令嬢のシャーロレットが君の大好きなルーズローツに大切にされているから?」
「だって…」
「だから君はシャーロレットに何もされていないにもかかわらず、いじめられたように言いに来たんだね。シャーロレットが悪役令嬢じゃないと君は困るからね。まあ、その程度なら見逃してあげてもよかったんだけどね。」
「じゃあ!」
「でもやりすぎたね。魔科のライアネス、武科のえっ〜と、誰だっけ?ん、名前はどうでもいいか。三人から話を聞かせてもらったよ。まあ、あの三人はもうこの王都にはいないけどね。まあどうやって手懐けたかは知らないけどあいつらも馬鹿だね。
相手は僕の婚約者だ。相手を考えた方がよかったね。ザイン公爵家を怒らせるとどうなるかなんて君が一番知っているんじゃないか?」
「え?シャーロレットがルーズローツの婚約者?」
「僕はねシャーリーが大好きなんだよ。だから三年前に陛下に強請っちゃったんだ。シャーリーが欲しいってね。ま、その話はいいか。」
「何…で、三年?どういうこと?設定では出会ってない…。それにルーズローツはシャーロレットを嫌っているのよ。最低でも王太子ルートに入らないとルーズローツとシャーロレットにほとんど接点はないのよ。何でそんなことになるの!おかしいでしょう!!ヒロインの私を差し置いてシャーロレットは何したの!悪役令嬢だからきっと何かしたのね。」
「シャーリーは何もしてないよ。僕の婚約者を悪く言わないで欲しいな。それにいやだな。僕がシャーリーを嫌いだなんてあり得ない。僕は彼女を愛してるんだよ。この手の中にいれて離したくないくらいにね。ふふふっ」
僕は扉から背を離してゆっくり歩き出した。
「そうそう、この何日かシャーリー宛にほぼ毎日手紙が来ててね。あ、その手紙は僕がシャーリーに密かにつけている護衛の人がちゃんとシャーリーに渡らないようにしてくれているから彼女は知らないんだけどね。
とある日時と場所に来て欲しいと書いてあるんだ。初めはラブレターかと思ったけど、すぐに君の仕業だとはわかったよ。せっかくだから僕がその場所に行ってあげたよ。そしたらさっきの三人がいたんだ。
まあ他に闇の商人の手下が五人もいたけどね。全く誘拐して人身売買にかけようなんてどこのゲームかな?はははっ。面白いけどありきたりな話だね。」
「だって私がこのゲームのヒロインなのよ!何をしてもいいの!私があなたを手に入れるの。私がヒロインなのよ。全部私の思い通りになるの。」
「何をしてもいいわけないだろっ!!」
あまりにも理不尽なことを言うから大声を出してしまった。
あいつはビクって肩をあげた。しかしキッと鋭い目つきで僕を睨んで言った。
「だって私がヒロインなのよ。この世界は私のためにあるね。だから何をしてもいいの。だからあなたは私のものなの!」
「君は知らないんだね。」
さあ真実を話してあげるよ。その時君の絶望に満ちた顔が早く見たいな。
「は?」
「このゲームには隠しモードいうものがあるらしいんだよ。詳しい条件は知らない。ある条件の時に何かするみたいだ。するとヒロインが変わるんだ。つまりこの世界はその隠しモードなんだ。今、君はヒロインではなくなっているんだ。隠しモードのヒロインはシャーロレットなんだよ。ふふっ」
「何それ!そんなの知らない!!!」
僕は彼女の座らせらている椅子の近くで止まった。
そして椅子に座っている彼女を上から見下ろした。
「まあ知らなくて当然か。だって開発に携わった人でも極一部しかしらないらしいからね。」
僕の殺気を感じとったのか彼女はふいっと横をむいた。
そしてしばらくは僕と目を合わせようとはしなかった。
「その隠しモードだと本来のヒロインは闇落ちするらしいよ。ふふ、今の君だよね。その子は隠れヒロインにあたかもいじめられたように振る舞い、周りまでも巻き込んで彼女を追い詰めるんだって。隠れヒロインは強姦されそうになったり、誘拐されたり、襲われたりするらしいよ。挙げ句の果て精神的にまいってしまって自殺未遂までするルートもあるんだってさ。まあ、ヒロインは最後は攻略対象の誰かとめでたしめでたしのハピエンなんだ。そして本来のヒロインは断罪されて、ん~どうなるんだっけな?まあ今からわかるかな。」
「そ、そんな。それじゃあ…わたしは…」
「僕の前に現れなきゃ普通に暮らしていけたけど、残念だな。元ヒロインさん。」
「元じゃないわ!私がヒロインなのよ!!」
「もう、往生際が悪いな。だって設定ちがうでしょ?わかってるよね自分でも。」
彼女は首を小刻みに振り出した。ああ、ようやくわかってくれたんかな?
「やりすぎなんだよ。自分の思い通りにいかないからってシャーリーに手をだすなんて。
シャーリーがいなくなったら僕が君を好きになる??あり得ないじゃないか。そんなこともわからないの?シャーリーがいなくなれば君を生かしておくわけないでしょう。」
「嫌…。シャーロレットにはもう何もしない!何も言わない。だから助けて。」
「そうなんだよな。君は僕ルートを狙っていたんだから当然僕の秘密やザイン家の秘密も知っているんだよね。更にいろいろなイベントや設定を知っているんだよね。」
「…」
彼女は横を向いたまま黙り込んでいる。顔は青ざめてしまって震えは止まらないみたいだね。
「ザインを怒らせたらどうなるか分かってるよね?」
「だって私はヒロインだから…」
「氷の魔族…と言えばわかるかい?」
彼女の座っている椅子がガタンと揺れた。
「君がたった一つ情報を教えたためにどれだけの人が苦しむと思うんだ?わかってる?ゲームだからって何してもいいわけじゃないよ。だって僕たちは笑ったり、悲しんだり、怒ったりするんだ。君の人形じゃないよ。君は間違えたんだよ。ここはゲームの世界かもしれない、でも君が決めることは何一つ無い。君は罪を犯したんだよ。僕は君を許さない。」
目を細めて上から彼女を睨んだ。
「……あっ、あっ…」
椅子がカタカタ震えている。
「僕が怖いよね?だってザイン家の裏の顔を知ってるんだからね。」
「いや…死にたくない。何もしないから…学校もやめるわ。あなたの前にはもう現れないから!」
「嫌だな、誰も殺すなんてそんなこと言ってないよね。でもね、秘密を知られていたら困るんだよ。それに勝手に世界をいじられても困るんだよ。どうして欲しい?」
彼女はもう真っ青を通り越して白くなった顔を横に振るだけだ。震えが止まらないらしい。もう恐怖で正常な精神状態ではないね。僕ってそんなに怖いのかな?まあ少し自覚はあるね。
僕は目を閉じて精神を一気に集中した。体の中にある魔力をあげる。
次に目を開いた時、僕の目は赤く光っているだろう。
「ほら、僕を見て。君は僕が一推しなんだろう?ほら近くでよくみせてあげるよ。この顔が好きなんだろ?僕の笑顔が見たいって?見せてあげようか?」
彼女はその言葉につられて僕の顔を見た。
「ひっ!」
ほら、わかったよね?僕がシャーリー以外の女の子に笑うわけないじゃないか。
「嫌っ!!ザインの…赤。闇の色…辞めて…!殺さないで!もう何もしない。嫌!」
やっぱりね。彼女はこの赤が何か知っているんだよ。
この赤を見たらもう視線を僕から外せないよね。
わかってたのに見ちゃったんだ。残念だな。
「め…目…いや!ザインの赤!殺される!あっ!嫌!やめて!! 」
「だから厄介なんだ。ザイン家の秘密、ゲームの秘密を知る君をこのままにしておいては危険なんだよ。もう少し聡明なら他に使い道もあったのだが君は浅はかな人間だ。残念だよ。」
「嫌…殺さないで!来ないで!近寄らないで!」
「ゲームに縛られている君が悪いんだよ。」
僕は魔力を一気に彼女にぶつけた。彼女にまとわりつくように赤い風が吹きぬけた。
「君は知っているよね?僕達ザインは赤い魔法を使うんだって。その魔法の中には目の前の対象者の精神を一気に崩壊させることができるものがあるんだ。
まあ、ザイン家にはこういった怖い魔法がいっぱいある。まだまだ僕には使いこなせないんだどね。特に養子の僕には難しいんだよ。この魔法もそう。かなり頑張って覚えたんだけどまだまだなんだ。
まあ、もう聞こえちゃいないかな?」
指を一回鳴らした。先程よりは弱い風がさぁっーと吹いて彼女の縛っている縄が解かれた。
ガタンッ
彼女の手がダランと下に降りた。体は自分で支えられないようで椅子にもたれ掛かる。
彼女の視点はもう合ってない。うつろに空を見ている。
僕は靴屋の主人、マルクを呼んだ。
「後は頼んだ。君が経営してる娼館にでも連れていくといい。」
「ありがとうございます。」
どう?君が好きそうなエンドじゃない?
精神崩壊して娼館落ち。
ちなみにこの部分はかなり前に書き終わっていました。
ここにくるのにまさかこれほど道のりが長くなるとはおもいませんでした…




