その6 自室にて
今回はそれぞれの自室にてになります。
19時 シャーリー
20時 ルース
です。
今日は久しぶりにエルシーお姉様に会えて嬉しかった。
少しの間いらっしゃるようだから来週も遊びにいこうかな?
明後日学校に行ったらルースにお姉様の予定を聞いておいてもらおう!っと。
しかし王太子殿下がいらっしゃたのには驚いたわ。
私と接点を持っても仕方ないじゃないの。ヒロインが出会わないと意味ないじゃない!
さて、どうやって王太子殿下とヒロインの出会いイベントを起こすかよね。
今の状態じゃ難しいわね。
攻略対象と思われる騎士団長のご子息も残念ながら殿下と同じ年なので学校での出会いはほぼない。
私も会ったことはないしね。多分…。
悪役令嬢になるためにはヒロインがどの攻略対象に行くのかわからないとどう動けばいいかわからない。
楽ちんそうなルースかディラン様かボガルノ先生のルートに絞り込んでもらえればいいんのだけれども。
やっぱりルース推しにもっていくように誘導しようか。
ルースなら幼馴染の私が邪魔をしても変には思われないわよね。
ルースか・・・。
この世界にきて初めに友達になった子。彼は私の話を横でいつも聞いてくれる。横やりを入れてくるけど・・。
今思えば突然会った女の子に攻略対象だとか悪役令嬢、国外追放なんていわれてよく話を聞いてくれたわ。頭おかしんじゃない?なんと思うのが普通よね。まあそう思っていたかもしれないけど聞き上手なタイプなのかな?今でもはかけがえのない友達だわ。できればこのままルースと・・・。
ん??またまた私ってば何考えてるの!!違う!違うから!!昨日から私、変!!
私は国外追放されて気ままに森で暮らすの!もうあんな人生は嫌だ。無我夢中で過ごしてきた私の前世の人生は振り返ってもないもなかった。楽しかったことなんて何一つ思い出せない。うまくいかないことばかりだった。
せっかくもう一度人生ができるんだから今度は一人で気ままに生きていくの!
その為にはざまぁされて国外追放されるんだから!!
トントン、とドアをたたく音がした。
「姉さま?僕だけど。」
どうもジョーカスのようだ。
「開いてるわよ」
扉をあけてジョーカスが入ってきた。
「怖い夢を見たんだ。一緒に寝てもいい?」
たまにジョーカスはこうやって夜にやってくる。
「あら、また見たの?大丈夫。もう14歳なんだからそろそろダメなんだけど今日だけね。」
この間もこんなこといってなかった?まあ可愛い弟が私を頼っているんだからいいわよね?
ジョーカスが私のベッドにもぐりこんできた。
「ありがとう。姉さま!大好き」
ジョーカスが私に胸に頭を当てて体を丸くさせた。
まあまだペタンコの胸だ何も気にされていないんだろう。それもちょっと悲しい。
私は考えるのをやめて寝ることにした。
※※
「シャーリー様が政経の教科委員をなさるなら私もご一緒しますわ。」
「あら!デェリス様!嬉しい。ぜひよろしくお願いします。デェリエ様が一緒なら心強いわ。」
次の日、学校で係り決めがあった。
これだ!これで政経の教科委員になればボガルノ先生とヒロインを監視できる。すぐさま政経の教科委員に立候補した。デェリス様も一緒にやってくれるようで嬉しい。
授業後、みんなが提出したプリントを持ってボガルノ先生の部屋に向かった。
プリントを持ってきたことを告げて部屋に入る。
「あら?」
「こんにちは。」
いたわよ!ヒロインのルピアさんが部屋にいた。
「こんにちは。」
少しトーンを上げて答えてみた。
「先日は申し訳ありませんでした。ザイン様からたいしたことないと聞いておりますが、その後大丈夫でしたか?」
「ええ、すぐに腫れも引きましたので気にしないで下さい。ルピスさんも教科委員なんですか?」
「はい。ヴィクセレーネ様もですか?」
「そうです。これからこちらでお会いするかもしれませんがよろしくお願いしますね。」
ルピスさんも教科委員なら先生との間が近くなるわ。これは攻略対象としと一歩先生がリードね。
機嫌よく教室に帰る為デェリス様と並んで歩いていた。
「シャーリー様は先ほどの方をご存知だったのですか?」
「ええ、入学式にお会いしました。」
「平民の方ですよね?」
「ええ、でもとても良い方ですよ。」
「そうですかね?」