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鎧の魔物奮闘記  作者: 晴れ甲羅
第一章 転生編
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第九十二話〜血戦の刻Part5〜

投下です!


***


現在、輝夜の背中に乗って移動中。

装備の最終確認を済ませている。

発声器は直ったが、一つ問題があるとしたらダイナマイトの残りが心許ない。


残りは十三本と少ない。

決定打に欠けるのはかなり痛い。


「シーニャさんの様子は見えるか?」


『はい、なんとか、ノイズまみれではありますが途切れ途切れ見えますね……これは! マズい、非常にマズいですよ!』


「どうした⁉︎」


『兜に投影します!』


そう言って兜に写った光景はあまりに衝撃的なものだった。

シーニャさんはまだ戦っているが押されている。

ハッキリとは見えないが、その動きはかなり鈍い上に負傷している。

所々から血が流れ、折れた太い針のようなものが腹からは突き出ているように見える。


周りの魔物はパッと見で六体のようだ。

だが見た目だけでも分かる、強い。

一体目はヤマアラシのような見た目をしていて針を飛ばして攻撃している。

アイツの針か、シーニャさんに刺さっていたのは。


二体目はドラゴン……か?

首が三つあったようだが、シーニャさんに斬り飛ばされたのか一本しか残っていない。

全身から血を流し、かなりダメージを負っていそうだ。


三体目は狼型だ。

黒狼という奴か、額から一本角が生えている。


四体目はいわゆるグリフォンという奴っぽい。

翼を補助に空中を駆け回っている、爪と嘴を使った近接戦がメインのようだ。

だが翼の片方は半ばから切り飛ばされている。


五体目は……骸骨か?

ワイトとかの種類だろうか、魔法を撃っている。

かなり威力のありそうの魔法を連射しているな、かなり厄介だ。


六体目はゴブリンスペリアーだった。

確実にこの前より強くなっている。

動きが段違いだ。


「あれ?」


人が居る?

動きが速いのとノイズで良く見えなかったが、人がいた。

人間の男だ。


『なっ⁉︎』


シージアがそう叫んだ瞬間、映像が途切れた。


「どうした?」


『何故か直接妨害されました、ジャミングではない……これは?』


シージアにも原因がわからないようだ。

一体どうしたのだろうか。


『まあ良いです、今は一刻も早くシーニャさんの元へ向かわねばなりません』


「そうだな」


努めて平静を保つ。

ここで焦ったところで何かが変わるわけではないのだ。

俺に今出来ることを考える方がよっぽど有意義だ。


義手は多少パワー不足だが直し、弾は装填済み、ナイフも予備の物を補充した。

奥の手も準備は万端、ライフルに銃剣も装着した。

槍も二本目を準備しておく。

備えあれば憂なしと言うやつだな。


『そろそろ見えてきます!』


さっきから戦闘音が聞こてえる。

魔物の咆哮、何かが爆発するような音。


丘になっているせいで見通しが悪い。

一キロ圏内まで近づいたというのにまだ見えて来ない。


そこでふと違和感に気がついた。

さっきまで聞こえて居た戦闘音が聞こえない。


『マズいですよ!』


「輝夜、俺を弾きとばせ!」


「グァッ!」


急ブレーキ、慣性の法則で身体が浮く。

その瞬間、輝夜が前足を蹴り出し、俺も足を踏み切り、ジャンプする。

そして導火線を短くしたダイナマイトに三本まとめて着火し、空中で起爆。


身体が爆風と共に浮遊感に包まれる。

シージアが一瞬魔法を使ってくれたようで姿勢は安定している。


戦闘音が聞こえなくなったということはシーニャさんがピンチだということだ。

あの形勢から逆転は可能性は低い。


「見えた!」


シーニャさんは地面に倒れ伏しているようだ。

その目の前にはさっきの男が居た。


『魔法で方向転換します!』


「頼む!」


一気に身体が押し出される。


「おおおお!」


着地と同時にドラゴンに槍を突き立て、足から体当たりして減速。

めり込むような感覚が足に伝わり、体にGがかかる。

ドラゴンは衝撃に倒れるがまだ生きている。


槍を引き抜き、男に投げつける。

男はそれを避ける。

よし、シーニャさんと男の距離が空いた。


シーニャさんと鎌、もといシュバルべを回収、そしてダイナマイトをばら撒き、マグナムを連射して牽制する。

そして輝夜のいる方向へと全力でダッシュする。


「アキトさん……どう、してここに」


「助けに来ました!」


さっきよりシーニャさんの状態は酷かった。

全身にかけて裂傷、刺傷、火傷が広がっている。

中でもひどいのは左手だ、二の腕の半ばから先がなくなっている。

そこで俺は違和感に気がついた。


「鱗?」


「……っ」


シーニャさんの肌にはうっすらと鱗が生えていた。

前見た時は鱗なんて生えていなかった筈だ。

良く見ると古い傷跡も多い。


「アキトさん、には、見られたくありませ、んでした」


「…………」


輝夜が見えて来た。


「輝夜! 足止めを頼む!」


「ガアァァァアアア!」


咆哮する輝夜とすれ違う。

本当に輝夜はいい子だ、あんな優しい子は中々居ないぞ。


シーニャさんを地面に寝かせ、マーサさんから貰ったカゴに入っていた止血薬を塗る。

メイド服の腹の部分を破こうとするが硬い、特別製か?

破くのは良くないと判断し、腹から針を引き抜いて服を捲り上げる。


「うっ……」


シーニャさんが呻き声を上げる。

酷い状態だ、肋骨の辺りから下腹部にかけて大きな裂傷が複数出来ている。なぜ内臓が飛び出ていないか不思議なほどの負傷だ。

止血薬を塗り込み、マーサさんから貰った包帯でキツく締める。

こうしておけば内臓は保護され、ある程度は動きやすくなる筈だ。


肋骨は折れて肺に刺さっているのか吐血している。

だが俺にはどうしようもない、今は放置するくらいしかない。


あとは腕と足だ、足は動脈をやられたのか出血が激しい。

動脈に止血薬はマズい、周りに薄く塗り、包帯でキツく締める。


腕もキツく止血薬を振り掛け、包帯でキツく縛って止血をする。

まだまだ傷はあるが処置をしている暇はない。


シーニャさんの腰のポーチをあさり、魔物の魔力を打ち消す薬を探し出し飲ませる。

弱々しいがなんとか飲んでくれたようだ。


「シーニャさん、大丈夫ですか?」


「アキトさん、逃げて……」


そう言うとシーニャさんは気絶してしまった。

そりゃそうだ、普通の人間ならもうとっくに死んでる怪我だ。


「待ってて下さいね」


シーニャさんの耳元に囁き、再びシーニャさんを寝かせる。

まだまだシーニャさんと話したいことがたくさんあるのだ。

さっさとコイツらを倒して、シーニャさんも助かってハッピーエンドだ。


いかがだったでしょう?

次回投稿は二日とさせていただきます!

感想や評価、ブクマ等頂けると嬉しいです!

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