第九話〜今後の方針〜
遅くなって申し訳ありません……
『お……だ………ぶ…………』
ん…?
なんだ、うるさいな……
『おーい、大丈夫ですか!』
「お……シージア、おはよう……」
『良かった…よく生きてましたね…』
え?生きてて……
そうだ!
「アイツはどこだ⁉︎あの蛇は!」
もし追って来てたら……
『大丈夫ですよ!安心して下さい、追って来てませんので落ち着いて下さい』
「よ、良かった〜」
『それより体は大丈夫なんでですか?普通の人間だと全身の骨が折れて内臓が破裂して死んでますよ?』
「マジか…今のところ全身が痛いけど死ぬほど痛い、というわけでもないしな…」
『でも鎧が全身ボッコボコになってますよ』
え、鎧が?
どれどれ……
「こりゃひどいな…関節部もかなり歪んでるし全体に亀裂がくまなく走ってるから直すのにちょっと時間がかかるぞ…」
でもどうしたらこんな亀裂が入るんだろうか…謎だな
なんというかメロンみたいだな。
ていうかタングステンにまで亀裂が入っているのか……
『そうですね……でも今は魔力を使うのはもう控えた方が良いと思いますよ。軌道をズラす時に魔力を使った上に、身体の修復にも魔力を使った状態なのでそれ以上使うと身体強化と鎧に魔力が通せなくなって鎧がめっちゃ重くなりますよ』
「鎧にも魔力って通ってたんだな、意識したこと無かったな……」
『そうですよ、パワードスーツみたいな感じで身体機能を強化しているんですよ。鎧自体が動いているのでとても軽々と動く事ができるんですよ』
パワードスーツか
ロマンの塊だな
「どんな機構で動いているんだ?だってモーターが付いてる訳でもないんだろ?身体強化みたいなもんなのか?」
『魔力が流れる際の抵抗で動いているんですね、身体強化とはまた違うのでそこは区別が必要です。魔力は万能とは良く言ったものですよ』
「ヘ〜、魔力って凄いんだな」
『そうですよ、だからこの世界では地球での常識はほとんど通じないと思っておいて下さいね』
この世界では地球の常識が通じない、か
常に意識しておかないとな。
「じゃあとりあえず辺りがどうなっているのかを確認しよう」
そう言いながら辺りを見渡す。
えーと、森の方には断崖絶壁がある…あそこから落ちて良く助かったな……
そして左手には川があって……ん、川?
「な、なあシージア、俺の目がおかしく無かったらあそこに川があるんだが……」
『川はありますよ。さっきこの世界では常識が通用しないと言ったでしょう?ああいう地球基準で考えるとおかしな光景がそこかしこにあるんですよ。いちいち驚いていてらそれこそ本当に日が暮れますよ』
「じゃああの山が動いてる光景を見てもか?」
『いくらなんでもこの世界で山が動く訳がえええええぇぇぇ!なんですかアレは⁉︎…って良く見たらベヘモスじゃないですか……』
「え、アレって魔物なのか?山みたいなサイズ感なんだが」
いやだって背中にめっちゃ木とか生えてるんだぞ?
『ベヘモスは背中の上で一つの生態系が完成したていると言われているいます。その森で出た動物の死骸などを吸収して栄養としているんですね。人間が気づかずに街を作っていて突然動き出したという話もありますからね。ちなみにその街は今でも人が住んでいますよ』
「は〜、凄い話だな」
飯を食ってる時に動き出したらやばそうだな……
『ちなみにベヘモスは卵生なんですよ。卵のサイズは二メートルほどですね。あの巨体からは信じられない程小さいでしょう?あと、豆知識としてはベヘモスは幼体の時は脚の数が四本なのに成体になると八本脚になるんですよ』
「そういえば魔物には元になった生物がいると言ってたけどベヘモスは何が元なんだ?」
やっぱり亀とかなのかな、卵生だし
『ああ、ベヘモスの元となった生物は亀ですね』
おお、正解したぞ
なんか嬉しいな……
『ではそろそろ魔力も少しは回復してきたでしょうし森に戻る方法を考えましょうか』
「でも戻ったらあの蛇がまた襲って来るんじゃないか?」
『気をつければ大丈夫ですよ、あの蛇は基本的に気性は温厚ですからね』
「確かにアレは俺らに非があったし運が悪かったもんな」
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「なぁシージア、あの木の傷はなんだ?」
『ああ、アレはワルドサーペントという魔物の縄張りを示すマーキングですね。ですがかなり古い様なので大丈夫でしょう』
「そうだな、まぁ大丈夫だろ。じゃあ先に進もう」
そんな事を話しながら歩いていると……
「フシュゥゥゥ……」
「ん?今なんか音がしなかったか?」
そう言いつつ辺りを見渡すとそこには二つの大きな眼があった。
「な、なぁシージア、あの眼ってまさか……」
『……ワルドサーペントです』
「逃げた方が良いかな……?」
『背中を見せたらいけませんよ、熊と同じです……』
「わ、分かった」
刺激しない様にゆっくり、ゆ〜っくり下がるんだ
そろりそろり……
と、その時だった。俺が踏んだ枝が折れて飛んでいってワルドサーペントの鼻面に直撃したのは。
『逃げてください!早く!』
「嘘だろぉぉぉ⁉︎」
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というわけで追いかけ回されていたのだ
と、それは置いといて
「拠点には戻らないとな……」
そう、拠点には食料もあれば屋根だってある。
『でも何日かはここで野宿する事も考えなければいけ無いかも知れませんね』
「野宿か…まぁそれは構わないとして食料をどうするかだな。水は川が流れているから大丈夫そうだが」
『そうですね、食料はトカゲとかがいるでしょうからまあ心配しなくて良いでしょう』
トカゲか、中々美味しそうじゃないか
「じゃあ関節だけでも修理したら移動するとしようか」
関節部は…歪んで可動域が減っているみたいだな
じゃあここを外側に曲げてっと
「よし!出来た!」
『じゃあ野宿できそうな場所と森に戻る方法を探しにいきましょうか』
「そうだな、野宿することになるなら洞穴とかあれば良いんだけどな」
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