第六十九話〜銃器開発Part1〜
投下です!
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翌朝、西の空がしらんできた頃俺は準備をしていた。
火薬や金属の類はリヤカーに積んでいる。
「まずは滑腔式の銃から作るとするか、ライフリングとかは流石に練習しなきゃ難しいだろうからな」
「それが良いと思います、それはそうと雷管をどうするかです、雷汞的なものがなかったら火薬に起爆できないですからね」
らいこう……ああ、雷管に使う火薬の事か。
そういえばそうだったな、どうしているかはまたユウゴに会った時に聞いてみるとしよう。
「そうだな……何か雷汞に変わるものはないかな」
『うーん、電気式雷管とかもアリかもしれませんが……そうだ! 発火合金とセリナさんが持っていた爆薬を使いましょう!』
待て待て待て、一気にわからなくなったぞ。
何が何だって? はっかごうきん? セリナさんが持っていた爆薬?
「はっかごうきん? なんじゃそりゃ」
『摩擦や力を加えると温度が非常に上がる金属です。それを使ってシュンヤさんのパーティーの誰かが持っていた爆発するやつに火を着けてですね』
シュンヤのパーティーの誰かが持ってた爆発するやつ……?
ああ、あれか。あの爆発の規模が予想以上に大きくなっちゃった原因のあれか。
でも今はシュンヤ達は修行に行ってるし……
『シホ先生にそんなのが無いか聞いてみましょう! 今から行けば丁度良い時間になるでしょうからね』
「そうだな、それがいいかもしれないな。でもそんな簡単に面会できるものなのかな?」
『……当たって砕けろです! ダメ元の精神で行きましょう!』
確かにそうだな、行かなかったら絶対に確率はゼロだが、行ったら確率はゼロじゃないもんな。
では早速行こうではないか。
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「爆発する物質だって? それなら腐るほどあるが……」
場所は変わって王城の医務室。
通れないのではないかと心配していたが、普通に通れてしまった。
なんでもシホ先生がお暇なようで門番にシホ先生に会いたいという旨を伝えると本人が登場してあっさり通してくれたのだ。
そして何か火をつけると爆発するものはないかと聞いたところ、今の反応が返ってきたと言うわけだ。
だがシホ先生は少し難しい顔をして、
「一体なんの目的に使おうと言うのかね。それを教えてくれない限りは迂闊に渡すわけには行かないぞ」
まあそりゃそうだよな。
ここで渡した爆発物で犯罪でも起こされたら不味いからな。
ここは一つ嘘ではない事を言っておこう。
「シーニャさんの武器の強化に使おうと思っています」
うん、これは嘘じゃない。
もし銃が完成したらシーニャさんにも渡すつもりだったからな。
「ほう、具体的には?」
「シホ先生は銃って知ってますか?」
「ああー……あれだよな、転生者の誰かが作ろうとして失敗してたやつだ。なんでも爆発の力で金属の塊を飛ばすとかなんとか。金属加工の難しさで諦めたと聞くが」
そうやら転生者達が銃を作ろうとしていたのは有名な話らしい。
これは好都合だ。
「そうです、それを作ろうかと思いまして」
「ほうほう、で、なんでそれにウチの所蔵する爆発物が必要なんだね。転生者も私に頼みに来て、銃に使っていたがどうやら爆発が大きすぎたり、小さなきっかけで爆発するとかして腕を大怪我していたぞ」
ほう、爆発の威力が大きくて敏感な爆薬と。
これは好都合だ、雷管に使うのにぴったりじゃないか。
「いえいえ、むしろそれが必要です」
「……よし、完成したら私に見せるんだ。それが条件だ、くれぐれも雑に扱うんじゃないぞ。爆発するからな」
「ありがとうございます!」
シホ先生から扱い方の簡単なレクチャーを受け、小瓶に入った爆薬を譲ってもらった。
なんでも本来は蛆の湧いた傷にこれを少量振りかけて爆発させ、蛆の死滅と殺菌を同時に行うためにあるらしい。
エグいな、でも地球でもそう言う話はよく聞くから普通にある事なんだろうな。
だがこれで一つ目のミッション完了だ。
やっと製造に入れる。
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場所は変わって街道沿いの森の奥まった場所。
周りには木も少なく、開けた場所だ。
というかユウゴとシーニャさんが戦った場所だ、なのでユウゴの光の槍によって開けたのだが……まあいいだろう。
「まずは弾丸の口径から決めないとな、どれくらいがいいんだろう」
『対人用だと九ミリでいいかもしれませんが、おそらく魔物を相手にするのが主になるでしょうからね……ここは地球の弾丸を参考にして十二・七ミリ×九十九ミリにしましょう。あ、そうそう、ライフリングは難しいと思ってですね、何か良い方法がないか考えていたら思いつきました』
それは素晴らしい。
銃の歴史はライフリングがあるかないかで分けられる程だからな。
「一体全体どんな方法だ?」
『ライフリングの型をまずは作ります、そしてそこに金属を巻きつけてライフリングを彫るんです。型は私が見て歪んでいないかを調べるのでかなり現実的な案かと思います』
「それならまだ希望はありそうだな」
『はい、最初はフレシェット弾にしようかと考えて居ましたが、やはり通常の弾丸にした方が色々細工が出来るのでいいですもんね』
そうだな、フレシェット弾も貫通力が高いから有効だと聞いたことがあったからいいかと思ったが、やはり飛んで行く弾体が軽い分運動エネルギーが低いだろうからな。
『では早速作りましょう。弾は銅を鋼製で、薬莢は真鍮ですね。シーニャさん、凄い種類の金属を集めたもんですねぇ』
「そのおかげで助かってる訳だからな、ありがたいよ」
『ですね』
よーし、早速作って行こうではないか。
いかがだったでしょう?
少し短めで申し訳ありません……
次回投稿は、二月十七日の予定です。
ですがもし出来上がったらもう少し早く投稿するかもしれません(その可能性は低いですが……)
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