第六十八話〜火薬〜
投下です!
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「むふふふ」
もう日はすっかり暮れ、辺りもランプの光が優しく通りを照らしている。
流石は王城近辺、夜になったというのに活気は凄い、酒場は今が一番の掻き入れ時か。
『どうしたんですか、無煙火薬が手に入ったのがそんなに嬉しいんですか?』
「当たり前じゃないか!」
そう、そうなのだ!
念願の無煙火薬がやっと手に入ったのだ!
これでちゃんとした銃火器が作れる……! 武器の幅も広がるぞ……!
これまでも黒色火薬ならこの国にある材料で何とか作れそうだったのだがそんな暇はなかったのだ。
『いやー、でも良かったですね。まさかこんなところで火薬が手に入るとは私も思ってませんでしたよ』
「本当にチート能力様々だよな、まさか転生するときに火薬を作れる能力をくれなんて頼む奴がいるとは思っても見なかったよ」
『それが意外とそうでもないですね、記録によると私も何人かその能力を与えてたみたいですし、やっぱり火薬があると便利だと考えるんでしょうね』
そうなのか、意外だな。
ていうか何の記録だよ、そんな記録があるのか。
『でも火薬を作れる能力しか持って無かったので直ぐにやられちゃったみたいですね』
「そりゃドンマイだな」
まあそりゃそうだよな。
火薬なんて単体であるだけじゃ何の役にも立たないからな、せいぜい良く燃える程度だろう。
「そういえばさ、思ったんだけどユウゴの能力ってかなり限定的じゃないか?」
『確かにそうですね、なぜか無煙火薬しか作れなさそうでしたもんね。爆薬を作れる能力にすればまた違ったのかもしれませんけどね』
爆薬を作れる能力か、確かにその能力を錬成魔法と組み合わせれば威力の強い爆弾も簡単に作れるだろうからな。
あ、そうだ、
「なあシージア、あのゴブリンスペリアーの時何を驚いていたんだ?」
すっかり忘れてました、と言って少し間を置き、
『これはかなり重大なことなんですが……』
ほうほう。
かなり重大なのか、心して聞こうではない。
『あのやホブゴブリンとかゴブリンスペリアーという種族、もといゴブリンの上位種なんですが……そんなユニットはこの世界に生まれるはずがないんですよ』
……思ってたより百倍くらい重大なことだったぞ。
なんかいつもの軽いノリなのかと思ってたらめちゃんこシリアスだった。
「じゃああいつらはこの世界の神々が作り出したのか?」
『はい、恐らくそうなりますね。ですが、正直に言うと私も何が起きているのか把握し切れていません』
シージアが把握しきれてないのか……
これはもしかしなくても非常に不味い状態なのかもしれない。
『ここからは私の知識はあてにならないかもしれません、もしかすると未知の魔法や魔物が出てきてもおかしくない、そんな状態です』
「ほう、それは楽しみだな」
『ふっふっふ、それは何よりです……ですがこれで神々をいち早く潰さなくてはならない訳です。私の勝手な予想ではありますがそろそろ相手の方から仕掛けて来るでしょう』
「そうなのか?」
『ええ、あのアンナちゃんを攫った奴らも神々に洗脳されたのでしょう。そう言う意味では被害者なのかもしれませんが……とりあえず戦力の増強は急務です。銃器の開発を進めましょう、幸いユウゴさんもまた火薬をくれるようですし』
ユウゴは今、俺と入れ替わりになる形で詰所に居るがすぐに出てくるだろう。
別にめんどくさいから訴える気もないしな。
そんな事をするよりかここで恩を売っておいた方が良いかもしれないと言う考えも無いことは無い。
今はとりあえず手元にある火薬だけで何とか銃火器の開発を進めなければ。
それが一番の戦力強化になるだろう、見た感じだがユウゴのリボルバーはまだ構造が甘そうだったからな。
「よし、じゃあ明日から銃を作るとしよう」
『ですね。この出会いがあったと考えればスリの少女にも何か運命を感じますねぇ』
「はは、そうだな」
そうそう、スリの少女は詰所の突き出しておいた。
いくら可哀想だからと言って野放しにするわけにもいかないしな、まだ更生の余地はあるだろう。
何でもスリの理由が小遣い稼ぎだからな、病気の母とかが居なくて本当に良かったよ。
と、そろそろ旅の揺り籠亭に着くな。
「ただいま戻りましたー、遅くなってすいません」
「ああ、おかえりー……ってどうしたんだい? そんなに汚れて」
「それがですね━━━━━━━」
かくかくしかじかうんぬんかんぬん。
説明し終わるとマーサさんは驚いたような呆れたような形容し難い表情をしていた。
幸いなのかはわからないが店内はそこまで混んでおらず、説明している間は注文等は入らなかった。
「大変だったね。じゃあ特別に明日も休みでいいよ」
「い、いやそれは流石に申し訳ないと言いますか……」
「今日だって結局一日潰れちまったんだろう? 遠慮するんじゃないよ」
「ならお言葉に甘えて……」
謎の罪悪感があるが正直かなり好都合だ。
これで銃火器を作る暇が出来た、是非とも有効活用させていただこう。
ユウゴから貰った火薬は皮袋一杯分、およそ一キロだ。
ふっふっふ、シーニャさんからシュバルべの報酬に貰った金属もたくさんあることだし、これだけあれば思う存分実験ができるぞ!
「それはそうとその皮袋は何なんだい?」
「これは……あれです。火薬です」
正直に伝えることにした。
誤魔化しても得はないからな。
「ああそうか、扱いには気を付けるんだよ。宿を吹き飛ばされちゃ堪ったもんじゃないからね」
いや軽っ⁉︎
ま、まあマーサさんがそれで良いならいっか……
遅くなってしまい申し訳ありませんm(_ _)m
次回投稿は今日、二月十四日の予定です(時間はあるので大丈夫なハズです……)
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