第五十四話〜アンナちゃんの夢〜
投下です!
***
「おーい。アンナ! シーニャお姉ちゃんのところにお使いだよ!」
「はーい!」
裏庭からトテトテと走ってくるアンナちゃん、顔が煤塗れなのは大鍋の掃除でもしていたからだろう。
その顔をタオルで拭ってやる。
「ん〜〜〜!」
あー、可愛い。
この笑顔を守れて本当に良かったと思う。
あの時のことは覚えてはいるようだが意識は薄かったようで夢を見ていたようだから怖くなかったようだ。
正直なところ俺だったら多分トラウマになってるからな、実はとても精神が強い子なのかも知れない。
「ははは、仲が良いのは良いことだよ。じゃあこれを持って行ってやってくれ。割れ物もあるから気をつけておくれよ」
「はい、わかりました」
カゴを渡された。
中身を見てみると手紙と、この小瓶は薬か?
何やら怪しい色……というかドぎついピンクの液体が小瓶に入っている。
まあ良いや。
気にしたら負けだろう。
「よし、じゃあ出発しよう」
「あ、そうだ。今度こそ日が暮れる前に戻ってくるんだよ。もし日が暮れそうになったらシーニャに泊めて貰うか送って貰うかするんだよ」
「ですね、また襲われちゃあ敵いませんからね」
全くもってその通りだ。
まあ今は本調子だからもし襲われても逃げおおせるくらいのことは出来るだろう。
襲われないに越したことは無いのだがな。
そいうえばなんでアンナちゃんが攫われたのかわからないままだったな。
後でシージアに聞いて見るとしよう。
***
「ねえねえ、アキトさん」
「ん? どうしたんだ?」
「あの魔物って強かったの?」
自分が誘拐されてた時の状況が気になるとはやはり精神が強い子なのか……
まあ本人が気になっているのだから教えても良いだろう。
「ああ、とっても強かったよ」
「どれくらい?」
「うーん……」
どれくらいと言われてもな。
比べる基準が無いからな、何かわかりやすい例えはないものだろうか。
よし、こう言う時は
(助けてシージえも〜ん!)
『はいはい、わかりやすい強さの基準ですね?』
(そうそう、あんまり良い表し方が思いつかなくてだな)
流石はシージアだ。俺の知りたい事を的確に教えてくれる。
『実はですね、あの魔物は輝夜ちゃんより少し弱いくらいなんですよ。だからワルドサーペントと同じくらいか少し強い程度ですね』
(いつもありがとう、やっぱり頼りになるなぁ)
『ふふふ、これからもどうぞ頼りにして下さいね』
何故だか少し上機嫌のようだ。
親しき中にも礼儀ありだからな、常日頃から感謝の気持ちは伝えておかないと。
それにしてもあの魔物はワルドサーペントと同じくらいか少し強い程度、か。
やっぱりこの世界って強い生物が多すぎるんじゃあないか?
後はワルドサーペントをアンナちゃんが知ってるかだが……
「ワルドサーペントって知ってるかい?」
「うん、知ってるよ! 紫色とかいろんな色のが居て一部の個体は色を変えて隠れるおっきい蛇でしょ? 敵を見つける能力とその力、木々の隙間を高速で動くことから冒険者からは“森の王者”って言われてるワルドサーペントでしょ?」
「そ、そうそう。そのワルドサーペントだよ」
いや詳しいなおい!
なんならシージアの説明よりいろんな情報が入ってるぞ……
『私はわかりやすく説明してるんです! なんならもっと詳しく説明できますよ⁉︎』
(大丈夫、シージアがわかりやすいように簡潔に説明してるのはわかってるよ。そう気を悪くしないでくれ、な?)
『ま、まあそこまで言うなら仕方ないですね……』
「それでワルドサーペントが何か関係あるの?」
食い気味だな。
もしかして魔物が好きなのかな? それなら魔物の身としては少し嬉しい。
「そうだよ、そのワルドサーペントより少し強いくらいだったよ」
「ヘぇー! それでその魔物はどんな攻撃してきたの⁉︎」
目がすんごいキラキラ輝いている。
手を胸の前で組んで上目遣い、一体何歳だこりゃ。
「腕を振り回して攻撃してきたり尻尾で突き刺してきたりかな、とにかく動きが速いんだ。そのくせ重さもあるからかなり厄介だったな」
「そうなんだ! ありがとう!」
「アンナちゃんは魔物に興味があるのかな?」
「うん! わたしの将来冒険者になって世界中を旅するのが夢なんだ!」
「うん、良いじゃあないか。頑張ってすごい冒険者になるんだよ」
子供が夢を語れるのは良いことだ。
……斯く言う俺もまだまだ子供なんだけどな。
それにしても冒険者か、やっぱりこの世界ではロマンがある職業なんだろうな。
俺も機会があれば冒険者になりたいものだ。
と、そんな事を話していると城門に着いたのだった。
いかがだったでしょうか?
次回投稿はできれば……今日、一月十七日の日曜日にしたいと考えております。
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