第二十話〜木ガスを作ろう!〜
投下!
木ガス以外の内容も少し入っております!
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『では早速木ガスを作っていきましょうか、まずは木ガスの材料となる木を削り取りましょう』
「どの木が良いとか悪いとかあるのか?」
『いえ、木によって変わるっちゃ変わりますが本当に僅かな差なので特に気にする必要はありませんね』
じゃあそこらへんにある木を適当に削ってこよう。
「よいしょっと」
目の前の木を削り取りに立ち上がったその時だった。
シージアが根本的な、そして重大かつ今更な事を伝えてきた。
『そういえばまだ火を起こした事がありませんでしたね』
あ……
「ど、どうするんだ?火が無いと木ガスを作れ無いぞ」
これまで火を使いたいと思った事が無かったけれどよく考えたら火は文明だ。
身体は魔物になったとはいえやはり心は人間だ、その心を失わないた為にも火を起こすというのは大切な事であるはずだ。
『そうですね……松の木でも燃やすとしますか』
「確かに松はよく燃えるっていうもんな。でも火種はどうするんだ?」
『私が魔法で火種を起こしましょうか?』
「いや、それは遠慮しておくよ。ここでシージアに頼ってしまったら一生シージアに頼りっきりになってしまうような気がするからな」
これで全てが決まるわけでは無いだろう。
だがこういうことは小さな事の積み重なりだろうからな。
『ふふふ。良くぞ言いましたね。ですが火種はどうやって起こすんですか?摩擦熱で火を起こす方法もここら辺の木は水分を良く含んでいるので難しいですよ?』
「それは……」
『でもここは貴方の決意に免じてこの寛大なるシージア様が「方法だけ」教えて差し上げましょう』
「一体どうするんだ?あんな事を言っておいてアレだが教えてくれ」
『それはですね、まず指パッチンしてみてください。それで火花が出るはずですよ』
ほうほう、指パッチンと。
「こうか……」
鳴らしてみると小さいが火花がパチッと飛んだ。
「おお、ホントだ!火花が出たぞ!」
それにしても指パッチンで火花か。
漫画やアニメで良くみた事があるが実際に見るのは初めてだな。
それにしても……
「やはり……ロマンだな」
***
『じゃあ火を起こしましょう!燃やすものは……そこらへんにある枯草を拾ってくれば良いでしょう。それから松の枝にでも火を移せば良いでしょう。幸い松の木はそこら辺に生えてますからね』
「分かった、周りに燃え移らないように気を付けないとな。もし山火事にでもなったら笑えないからな」
『ですね、この資源の山を燃やしてしまうなんてもったいな過ぎますからね』
「よし、焚き火台はこれで完成だ。あとは枯草を敷いてその上に松の木の枝を乗せて燃やしたら木ガスを作りじ始める準備はオーケーだな」
『そうですね、じゃあ早速火をつけちゃいましょう!』
「よし、じゃあ行くぞ……」
枯れ草の近くで指を思い切り鳴らす。
パチンッ
火花は十分飛んだはずだ。
枯れ草を掴んで円を描くように振り回す、こうやって酸素を絶え間なく供給するのだ
すると……
「おお!火が出てきたぞ!」
『やりましたね!文明の第一歩ですよ!ささ、早く松の枝に火を写してください!』
「おう!任せろ!」
急いで枝を折って持ってくる。
先に枝を持ってきとけば良かったな。
だがこれで……
「よっしゃ!ついたぞ!」
『では焚き火台の端っこに置いて水分を飛ばしてしまいましょう!それで乾留の準備は完了ですよ!』
***
木を乾かすこと一時間、その間に転生者を格闘戦になった時にどんな風に戦うかを話し合っていた。
格闘戦に持ち込まないのがベストではあるがどんな事が起きるかわからないからな。
そこで決まったことは四つ
一つ、武器は棒にすること
この理由は、武器を刃物にするとどうしても刃こぼれが気になってしまう。その上、刃物にすると強度が上がりにくく破壊されてしまった時に即座に修理するという事が出来ないからだ。
二つ、相手が複数人だった場合、転生者以外は輝夜に手伝ってもらうこと
これはあくまで転生者が一人でその他はこの世界の住人だという場合の話だがな。
出来れば輝夜には戦ってもらいたくないのだが輝夜は俺より強いのでこの世界の住人相手なら負ける事はないだろう。
三つ、相手が格闘技の素人だった場合、武器を奪って徒手空拳で戦うようにすること
俺は空手を十年以上していたので徒手空拳に持ち込んだ場合、戦闘を有利に運ぶ事ができるはずだ。
四つ、盾を含む防具を作成、強化すること
これは絶対必要な事だ。例え格闘戦にならなくともこれは必要な事だ。これにはかなりの量の金属が必要だが輝夜が脱皮するに当たって出てくる金属で強化する分は補えるだろう。
これらは基本的なことなので細かいことは後々決めて行かねばならないだろう。
おっと、そろそろ木の水分が飛んだかな?
乾留する容器は乾留する時に出てくる木タールや木酢酸が逆流しないように細長くして木を置く所を上にして傾ける。
そして上に管で繋いだ大き目の容器を置いておく。そこに木ガスを貯めて爆発しやすいメタンだけを上方の集める、いわゆる上方置換法というやつだな。
メタンより重い空気が下に行くように下にも空間を作っておいた。
蓋はペットボトルのキャップの構造を真似て作った。
下にも線をつけてメタンを取り出す時に空気が混ざらないようにする。
あ、もちろん空気が入らないように水蒸気で満たしておいたぞ。
え?材料は何かって?鎧だよ!どうせ改修するんだからな!
***
『じゃあ本格的に乾留の作業に移りましょうか。気を付けてくださいね、爆発したら鼓膜とか多分破れちゃいますよ』
「おお……それは痛そうだ、気を付けなければな」
鼓膜とか治りにくそうだしな……この身体ならすぐに治りそうな気もするけどな。
『じゃあ早速筒の中に木を入れて火にかけましょう!』
「そうだな、やってみなきゃ始まらないからな!」
二時間後
「よし、そろそろ良いよな……」
『ですね、上にたまったメタンが逃げないように下の栓をゆっくり開けてください』
「おう、任せろ……」
細心の注意を払って取りださなければいけないな
十分後
「よし、火をつけてみるか」
『そうですね、でも気を付けてくださいよ。ガスはかなり爆発しますよ』
「おう、わかった」
まあどうせちょっと「ポンッ」ってなるくらいだろ
容器の下に手を入れて指を鳴らすと……
ズガァァァン!
「ぎゃあああああ⁉︎」
大爆発して三メートル近く吹き飛ばされました
「耳がキーンって言ってるし身体中痛えぇぇ⁉︎しかも熱いぃぃ⁉︎」
『だから気を付けてと言ったのに……まあ山火事にならなくて良かったですよ。ちっちゃい広場みたいになってますけどね』
「いや、これは気を付けてもどうにもならんだろ!」
『まあ確かにそうですね、次は気をつけましょう!』
本当に気をつけないとな……鎧があって良かったよ……
「でもこれで物凄い威力があるとわかったな!」
ふっふっふ、転生者よなんの恨みも無いが覚悟しておけよ……!
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次回更新は明後日の夜を予定しております!




