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「大好きだった花売りのNPCを利用する事にした」  作者: ひとみんみん


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「好きな人のおかげで火のボスは楽勝なはずだけれど、ダンジョンを甘く見ていたの」

※この小説のジャンルは「ハイファンタジー」でなく、「異世界(恋愛)」です。

 火のボスの門をリゾッタが開けると同時に口笛を吹く。

 今回の作戦のきもだ。


 光とともにハイビスカスが舞って、鎧を着ていた猿がフリフリのピンク水着になった。

 ビキニの水着に猿の毛並みがペタッとなっていてちょっと可愛い。いや、訂正怖いわ。

 クアトくんが言った通りなんだけれど、本当に妙なことを知っているなぁと思う。


「グギャアアーーーッッ!!」


 大きな猿が鋭い牙をむき出しにして叫んだ。

 だけど水着にやりの装備だからイマイチ格好がつかない。

 猿の特性なのか顔が真っ赤になっているけれど照れて赤いようにも見えた。


 クアトくんに聞いたのだけれど、敵もプレイヤーと同じで水着になっても防御力は変わらない。

 では、何が変わるのかというとこれは当然だなと思ったのだけれど、弱点が狙いやすくなる。


 反対にモンスターで人間の弱点を狙ってくるモンスターはあまり居ない……らしい。(これは本で読んで知った。この事についてクアトくんは「えっ、それはモンスターの常識かと思ってた」とまたしても妙なコメントをしていた。)


 猿のモンスターが先に火が燃えている槍を振り回しながら襲い掛かって来る。

 避けると横を熱さがかすめていった。


 主な攻撃対象はやっぱりというかなんというか、箒で飛び回りながら、


「ウォーター!」


 と呪文を唱えている魔女だ。

 私とクアトくんは水属性の片手剣で、猿の背後を狙う。


 魔女は猿が暴れまわる高い天井のボス部屋を縦横無尽じゅうおうむじんに飛び回っている。

 時には逆さになって飛びながら、結構な命中率で魔法を命中させている。

 時折片手で持っている魔力回復ポーションを飲んでいる。すごい勢いで飲まれて、床に空の瓶がガッチャンガッチャンと落ちてはダンジョンに吸収されて消えていった。

 ポーションをたくさん飲めるのは才能だと思う。


「床が赤くなり始めた! 気をつけて!」


 クアトくんが叫んだ言葉に、猿の方も窺いつつ慌てて床を見回す。

 ちょうど立っている所が赤くなり始めた。

 走って猿から遠のきつつ赤い床を避ける。

 少ししてから赤く変わった床が私の膝くらいまでの火柱を立てて燃えた。


 猿と戦いつつ床を避けるのはなかなかタイミングが難しい。

 けれど、「星流れて天翔ける靴」のおかげで足が軽いので避けられている。


「そーれ☆」


 リゾッタが水の投げナイフを投げている。

 移動が今日は青のボールに乗ってめちゃめちゃ早い。

 クアトくんの話では「遊び人」はなかなかナイフを投げないという事だけれど、弱点である猿の心臓周辺に何本か命中していた。


 結構ダメージが蓄積したかしら……。


「グォォォオオオ!!!!」


 猿が雄たけびを上げて目を赤く光らせた。


「きた! さらに動きが速くなるから!」


 クアトくんの叫びに皆が身構える。

 本にも書いてあった。

 途中から猿の動きも、床が燃える速度もペースアップするって。


 でも、クアトくんから貰った靴があれば大丈夫。

 落ち着いて避けるのよ、私。


「二段切り! 一閃いっせん!」


 クアトくんが猿に剣士の技を放った。

 多分、魔女が猿にもうめちゃくちゃに追い掛け回されているからだと思う。


 猿の狙いがクアトくんと魔女に分散されて、魔女がちょっと安心した顔をした。

 その戦闘の何でもない光景なのに、私はモヤッとしたものを感じた。

 それがいけなかったんだろう。


「あっ」

「フローリアちゃん!!」


 気づくと、足元が燃えようとしていた。

 クアトくんが駆け寄ってきて私を強く引っ張る。

 それでも目の前で足がくるぶしまで炎に包まれた。


「……っ!!」


 足が熱い!!


 ドサッ………


 二人してダンジョンの床に転がったが、急いでクアトくんに起こされて横抱きに抱かれた。

 足が燃えるように痛い。


「ごめんなさいっ」

「舌を噛まないように! せっちゃん! リゾッタ! 後頼む!」


 私が謝ると、クアトくんは私を抱いたまま駆け回った。

 猿と燃える床をぎりぎりで避けていく。


 ………私が他を見てボーっとしてるから……。


「見せ場だねー☆ ま・か・せ・て☆」

「ふふん、そろそろアタシの力の見せ所よ! ハイウォーター!」


 魔女とリゾッタが猿に激しい攻撃を仕掛ける。

 リゾッタは水属性のナイフだけでなく土と風の属性のナイフもほとんど見えない勢いで投げ始めた。

 魔女は上位魔法を唱えて、大きな瓶の魔力回復ポーションを一瞬で飲み始める。


 クアトくんは足が痛くて動けない私を抱えて動き回ってくれている。


 ……私は一体何をやっているんだろう……。


「そろそろアタシの魔法で死になさい! ハイウォーター!!」


 魔女が水着を着た猿を指さして水魔法を唱える。

 飛んでいく槍みたいな鋭い水流で猿の心臓に水が向かっていく。


「グギャアアア!!!」


 ……猿は叫び声を上げた後、ドロップ品を残して光となって消えた。

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

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