「大好きな花売りのNPCへのプレゼントを忘れるわけがない」
火のボスの門の前に来ると、フローリアちゃんは今一度持ち物を確認した。
銀貨6枚で買った例の本でペンでチェックを入れて確認している。
「えっと、はい、クアトくん。買っておいた聖水。リゾッタさんは水の投げナイフもってるかしら? ………うん。魔女さんは………うん、魔力回復ポーションがこれです。ウォーターを唱え続けてください。私とクアトくんが水属性の片手剣………」
フローリアちゃんが花のワゴンから次々と取り出す物資を皆で受け取った。マジックボックス容量でかいなぁ。
「後、今回「絶対花売り」のスキルは火の床を避なきゃいけないからやめといた方が良いね」
「あっ、そうよね。分かったわ」
僕の当たり前の注意にフローリアちゃんが頷く。
「そうしたら、花売りのワゴンはどうしたらいいかな」
「火の床が影響あるのは人だけだったと思うから端においといて大丈夫だよ」
ゲーム画面ではフローリアちゃんが戦闘の時はワゴンは脇におかれていたけれど、水につかろうが火に燃えようが無事だった。
まあ、花はしなっとなってしまう事は分かっているけれど。
「花売りのワゴンのマジックボックスの中に花を入れちゃったらどうかな? 今回、スキルは使わないわけだし」
「あ、そうね。そうする」
フローリアちゃんが花をワゴンのマジックボックス部分に入れるのを手伝う。
その間、リゾッタとせっちゃんは戦闘の用意を済ませたようだった。
「フローリアちゃん。これ「星流れて天翔ける靴」。良かったら履いてくれる? 火の床になるところを避けられるし、移動速度早くなるよ」
「ありがとう! 大事にするね!」
今日もフローリアちゃんの笑顔が可愛い。
フローリアちゃんのマジックボックスから靴が入っている飾り箱(箱は雑貨屋で買っておいた)を出してもらう。
せっちゃんの持っている「星屑の箒」のように走った跡がキラキラ光る靴だ。見た目は昔の古い映画か何かで見た「ルビーの靴」に似ている。かかとは高くない。
リゾッタに貰ってからまだ一回も履いていないので、フローリアちゃんへのプレゼントとしてばっちりだ。
「なるほどー☆ クアトくんここで出すんだね、それ☆ 自分、クアトくんは忘れてるのかと思ってたよ☆」
「クアトにしては気の利いたプレゼントじゃない?」
リゾッタとせっちゃんが、あっと気づいた顔をする。
フローリアちゃんが履くと、「星流れて天翔ける靴」はちょっと大きめかなと思っていたサイズからぴったりのサイズに変化した。
異世界の装備品ってやっぱ不思議だなぁ。
前にタイムアタックダンジョンで手に入れた「星流れて天翔ける靴」。
移動速度が早くなる靴。
戦闘でも結構有利になるアイテムだ。
ダッシュできる長さは戦闘やタイムアタックダンジョンでは気にならないが、通常移動時としては長さが短いので普段使いがきついと思う。
ようやく役立つ時が来て良かった。
キラキラ光る靴はフローリアちゃんが履くととっても可愛い。
絶対似合うと思ってた。
「大好きなフローリアちゃんにあげようと思ってたんだ。忘れるわけないじゃない」
「……っ、ほんとにありがと……」
推しキャラをリアルで着せ替え出来ると思いませんでした。
ありがたい。
思わず拝んでしまう。
フローリアちゃんが真っ赤になってお礼を言った。
照れると緑の目が潤んで、本当にかわいい。
「クアトくんって天然だよね☆」
「ダ、ダンジョンでは唐突ないちゃつきは禁止なんだからね!」
リゾッタとせっちゃんはいちいち僕に突っ込みを入れてくる。
僕は天然じゃない。
せっかく自分の大好きなNPCと同じ世界に生きているって奇跡が起きてるんだもの。
好意を隠す必要もないし、その時その時が推しキャラと過ごす大事な時間なんだ。
後悔しないように生きていきたいよね。
お読みいただきありがとうございます。




