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四季檻々  作者: 古月そら
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第6幕 狐の面の少女

月花(げっか)。それが私の名前だった。私は四季を操る神である。そんな私はとにかく暇だった。私の仕事といえば3ヶ月に1回日本の四季を変更することである。季節の必要にかかる時間は約1日。つまり1年のうち4日以外は暇なのだ。暇で暇でしょうがなかった私は暇つぶしに学生を4人ほど助けてあげることにした。生命エネルギーが尽きかけている学生を4人ほど集め、こちらの世界に転送した。こちらの世界で生きていく上でも生命エネルギーというものは必要不可欠だ。だからこそ、4人の意識を1個の体に詰め込む。そうすることで最低限の生命エネルギーを下回ることがなくなるからだ。彼らが自我を持ったときだけその意識が身体に反映される。その一方で複数人が同時に自我を持ってしまった場合記憶、意識が混同し、混乱状態に陥ってしまう。私は申し訳ないと思っていた。でも、私はそんな姿を見て笑う。そうすることで私が悪者になることができて彼らの怒りの標的になることができる。その怒りのエネルギーは生命エネルギーに置換される。喜怒哀楽、どれでもいい。とにかく早く、彼らの生命エネルギーを安全なラインまで引き上げた後に現世に返してあげたかった。こんな何もない世界で人生の貴重な時間を浪費してほしくない。だからこそ、今日も私は悪者になる。


春夏秋冬。それぞれの世界に身体を創る。それぞれに4人の意識を入れ込む。そして各世界に1人だけ、目が覚めるように設定しておいた。これで自我の混同で苦しむことは少なくなるだろう。それでも、四季全体の世界にいるときに混同してしまうことはある。そして意識を5つの世界に分離させるとすると記憶の抜け落ちが発生してしまった。そこに関してはいつか思い出せるようにしてやろう、そう思っていた。だけど私は面白いことを思いついた。記憶を蘇らせる過程で4人の負の記憶に私を写し込む。そうすることで彼らの中ではすべて私が悪くなる。そこで大きな怒りが生じてくれればいい。だがそこで問題が生じた。夏と冬の世界で自我を持つ2人は上手くいった。そして、春の少年も怒りエネルギーを発生させることに成功したものの、弱気過ぎる彼の性格がそれを打ち消して安全なラインには満たないままだ。後少し。いや、少しではない気もするけど。しかし、秋の子はというと本当に困ったことだ。あの子は世界に対する興味がなさすぎる。なさ過ぎるが故に私が記憶を読み取ることができなかった。4人の生命エネルギーは各世界のエネルギーとなっている。4人の生命エネルギーに格差が生まれると各季節にエネルギーの格差が生まれる。そしてそれは現世にも影響する。


この世界に存在するには何かしら神としての権限を持っている必要がある。だからこそ、私は4人を集めて春、夏、秋、冬のそれぞれの権限を与えた。もともと4人の生命エネルギーは尽きかけていて均衡が保たれていた。現世でも約3ヶ月に1回季節が変わっていた。しかし、私がその均衡を崩してしまった。春は短く、夏と冬は長い。そして秋は1〜2週間あるかないかといったところだろう。夏と冬の2人はもう十分な生命エネルギーは安全なラインに達している。でも、あと2人の生命エネルギーが正常になるまでは現世に返してあげることができない。だからこそ、1度冬の少年に現世に逃げられた時、私は焦った。冬の少年は生命エネルギーが中途半端な状態で逃げ出してしまった。生きていく上でギリギリ大丈夫といったラインだろう。だから書き換えた記憶の一部を脳内に流し込み、私を悪者にする。そしてあの世界に来るようにして、最終的には書き換えた完全な記憶を流し込んでおいた。冬の少年がいなくなってしまえば4人の意識で成り立っていた彼らの身体は崩壊して他の3人が世界から消えてしまう。そして、権限を返してもらっていない状態での私の権限は4人の意識だったので四季という概念は日本からなくなってしまっていただろう。だからこそ、春と秋の子の生命エネルギーを増やしてあげないといけない。でないと、あの2人を死ぬまで夏、冬。いや、四季という檻に閉じ込めてしまうことになるのだから。


あとどれだけの間千夏と冬弥を閉じ込めることになるのだろうか。

「春弥、千秋。がんばれ。」

私は誰にも届くことがないのにそうつぶやいていた。

春の夜空は薄く照らされ、秋の夜空はまだ暗い。4つの夜空が明るく光る日。そんな日が1日でも早く来ることを願いながら、今日も私は四季という檻に4人を閉じ込め続ける。

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