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三国志 Super light  作者: 紫蘭


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3/3

第3話 理想と現実

 有事に備えて素人同然の兵士が少しでも戦えるように

 それからしばらくの間、俺達兄弟は兵の鍛錬に励んでいた。


「構えぇ!上段受け、次ぃ!突き!」号令をかける関羽も真剣だ。


 関羽の気合に圧倒されてか兵士達も構える武器におのずと力が入る。

「ハイッ、セイッ、ハイッ、ヤーッ!」と兵は掛け声を合わせた。


 張飛は満足そうにうなづいて、

「こういうのは鍛錬と訓練が大事ら。鍛錬と訓練でできないことは、

 実践でもできないら。」

 と語り掛けながら兵士たちの間を歩いていく。


 関羽は水時計の高さをみた。

「よし、一旦休憩だ!皆、水分補給をして体を休めておくように!」 

 兵士達の大半はその場にへたりと座りこんでしまった。


 連日の稽古で兵士の疲労はかなり溜まっているようだ。

「昼からの鍛錬と訓練、午前より厳しくなるだろうな。」

 とひとりの兵士が口にした。


 それを聞いて張飛は、兵士を励ました。

「おう、お前らよく頑張ったら。実践でも力を発揮してくれら。」

 兵士達はその言葉を聞いてやる気が出た。


「ふふっ、午後からの鍛錬、まだまだやれますよ。」

 とお調子者の兵士が笑いながら言った。


 普段は聞けない雰囲気だが、張飛の機嫌がいいからなのだろう。

 体の大きな兵士が、こんな質問をした。

「張飛殿と関羽殿のどちらがお強いのですか?」


 張飛は関羽の自慢ができるチャンスだと思い、話題に食いつく。

「もちろん、兄者ら。冷静でスキがなく、一騎討ちでは、敵なしら。」

 張飛は自分のことのように胸を張って語った。


 カンカンカーン!カンカンカーン!

 突然のことだった。音は見張り台からだ。

「敵襲!敵襲!」


 張飛は兵士を従えて敵襲に備えた。後方に関羽が続く。


 先行していた張飛と兵士達が襲撃をかけてきた一団と出くわす。

 敵の大将らしき人物が集団の最前列まで出てきて、悲しそうに言った。

「あーら、兵士がお粗末ね。まあいいわ。」

 敵はがっつりオネエ言葉を使ってきた。


 そして、酒をあおりながら、この村にやってきた理由を話し始めた。

「黒山盗賊団の黄龍だ。河北方面の頭領している。

 これからこの街からすべてを奪いつくす。金目のものは当然だが、

 女、子供は生け捕り、老人、兵士は皆殺し。こちら側につく奴は歓迎する。

 それから助言だが、自分から金目になるようなものを持ってくれば、

 楽に殺してあげるからよろしくね。」


 兵士の半数は恐怖で足がすくんでいた。


 しかし、そんな中、威勢の良い声が聞こえる。

「おれたち、やってやりますよ。黒山軍?盗賊?関係ないねぇ。」

 腕っぷしが強そうなその兵士は先頭に立ち、

 三十人ほどで敵盗賊に攻撃を仕掛けた。


 黄龍は、依然酒をあおりながら、馬上でだるそうに斧を構える。

 近づいてきた先程の兵士を含む約二十名を横なぎに屠る。

 生き残った兵は、

 その二十名があっという間にやられたのを見て唖然としている。

 そこに黄龍の二振り目が飛ぶ。あっけなく全滅だ。たった二撃である。


「何やってんだ・・・お前・・・。」

 張飛は黄龍に向かって呟いたように思えた。

 いつもの張飛とは口調が違う。


「黄龍よ!俺が相手してやる!」

 と町中に響き渡るほど、張飛は大きな声で戦いを申し込んだ。


「あいつ、馬鹿だぜ!あれだけ黄龍様の実力を見たのに、

 実力差がありすぎて判断がつかなくなってるじゃん。」

 黒山陣営から、馬鹿にするような声が上がった。


「おや、部下があっけなく殺されておかしくなりましたか?」

 そう言って、再び酒をあおり、馬の速度あげて、

 その勢いで斧を掴んで、張飛めがけて斧を振るった。


 張飛は蛇矛をもったまま、その場を動かずにいた。


 黄龍の首から下の身体は馬に跨っている。

 その様子をみて黄龍が発した言葉、


「何が起こった?・・・。」


 黄龍はそれを最後に絶命した。


 後日、関羽は張飛をこう評している。

「口調が変化した張飛には私でも手が付けられない。」


 頭を失った盗賊は略奪をする前に、命からがら消えていったらしい。

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