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新メンバーのお披露目配信

「「「コチラは奈落です!!!」」」


「今日から配信をスタートするよ! みんなには奈落で戦う様子と、私達の元気をお届けできるように頑張るから応援してね!」


『この日を待ってました!!!』

『お帰り、アビス・シグナル!』

『ライブ見に行ったよ! 最高だった!』


 リーダーでセンターの凛嬢ちゃんが元気に画面へ呼びかけ、場を盛り上げる。リスナーもみんな、この配信を楽しみに待っていたみたいだな。


「皆様、よろしくお願いいたしますわ」


 アリス嬢ちゃんは上品かつ丁寧にお辞儀をする。


『映画見たよアリスちゃん!』

『もはや主役級の演技だった』


「「私達(ボク達)も頑張るよ!」」


 それぞれのイメージカラー(黒と白)のドレスアーマーに身を固めた神楽坂姉妹――クロエ嬢ちゃんとノエル嬢ちゃんも気合十分だ。


『姉妹揃っての配信は初だね!』

『やっぱり黒と白の対比がイイね!』


「それで、みんなも噂とかで知ってるみたいだけど……私達『アビス・シグナル』に新しいメンバーが加入したよ! はい、セラフィムちゃん映して〜!」


「ハイ! イェーイ! 私はサリー・ウォーカーでござる! ここからは拙者の戦場……ニンニン!」


「あはは……ちょっと変わってるけど良い子だから、みんな温かい目で見守ってあげてね」


『ウォーカー? もしかして……』

『あのギルド長(マーク・ウォーカー)の娘なのか!? 総合格闘技の有段者で元軍人の!?』

『フランス人らしいぞ』

『特定班仕事早すぎて草wwww』

『重度の日本かぶれキャラが濃すぎるwwww』


「さぁ、嬢ちゃんたちの紹介も終わったようだし、今回の配信の説明をリスナーにするぞ。まずは奈落の中央にある大穴を、地上から『錬る』で塞いでいく。それを下に移動しながら段階的にダンジョンへ階層を設けていく計画だ」


『なんか凄そうな計画始まったぞ!』

『ダメだ、このおっさんの真面目な空気感で既に笑ってしまうwww』

『階層を作ってどうすんの?』


「おお、良い質問だ。階層を作れば、ダンジョンに潜る冒険者が自分の実力に見合った階層へ安全にチャレンジできるようになる。奈落は下に行くほど魔物が強くなるからな」


『おお、それは凄いな!』

『転落事故も減るし超画期的!』

『プロフェッサー「それだけではないわ。現状はアビス・シグナルだけが素材を持ち帰れているけれど、階層化すれば一般冒険者も自分の実力に応じた奈落素材を確保できるようになる。素晴らしい試みね(早口)」』

『プロフェッサーのテンションが既にMAXで草www』


「そういう事だな。じゃあ、まずは第一の入り口を閉めるぞ……『錬る』発動!!!」


 ズゴゴゴゴゴ……ッ!!


『相変わらずデタラメな錬金規模だなオイ!』

『まずこのおっさんの存在自体がデタラメ草www』

『ドワーフwwww』


 俺は持ち帰っていたミスリルを材料にして、堅固な鍵付き大門を備えた巨大なフタを精錬・設置し、奈落の底へ続く最短の直通ルートは完全に閉じられたのだった。


「それじゃあ、私達……『アビス・シグナル』の第二章を始めるよ。みんな、準備はいいね?」


「「「はい!!!」」」


『『『頑張れーーー!!!』』』


「ガハハッ! それじゃあ、久しぶりの奈落の底へ向かおうか!」


 ◆◆◆◆


「来ました! 左からゴブリンの集団です!」


「クロエちゃん、了解だよ! それじゃあ、新メンバーのお披露目だよ。いけるね? ノエルちゃん、サリーちゃん!」


「うん、ボク頑張るよ。それっ!」


 ノエルが声をかけると同時に、4つの美しい宝珠が宙へ放り投げられた。その玉はノエルの周囲をふよふよと浮遊している。


『なんだ? アレは……』

『何か玉が浮いてるぞ!?』

『プロフェッサー「フフフッ……アレこそ私とゲン殿の合作よ! ノエルちゃんの極めて高い魔法適性をフルに引き出す自律型遠隔砲台――【魔導玉《グリモワール・ファンネル》】よ!」』

『プロフェッサーとゲンさんが超兵器を作ってしまったwww』

『混ぜるな危険を地で行く最悪のコンビ爆誕wwww』


 迫り来るゴブリンたちは、姿が見えた途端に容赦のない属性魔法の掃射攻撃の餌食となっていく。当の本人といえば――


「ボクはまだ体力が万全じゃないから、あんまり動き回りたくないんだ……」


『動きたくないから自動砲台www』

『白髪の魔法少女、理にかなった引きこもりスタイルで草』

『でもビジュアルが神々しくてめちゃくちゃカッコいいな!』


 リスナーも大喜びしているみたいだし……うん、まあ結果オーライだな!


「ふあぁ! ノエルちゃん凄い! それじゃあ、拙者も……それっ!」


 サリーが空間から取り出したのは、自身の身長を遥かに超える巨大な無銘の大剣。俺が作ったアイテム袋じゃないのに、これほどの容量の収納ボックスを個人で所有しているとは……流石はギルド長の娘、やるな。


「忍とは、音を立てずに静かに敵を葬るものでござる! ふんっ!!」


 ズッシィィィィン――ッ!!!


 大地が激しく揺れ、衝撃波だけでゴブリンの群れが一瞬で消し飛ぶ。おお……このグループの中でも、単純な物理火力なら一番ありそうだな。


『全然! 忍んで! ないじゃん!!』

『どこが静かに葬るんだよwwww』

『完全に超パワーファイターで草www』

『敵が無双ゲーム並みに吹っ飛んだwwww』


 凛嬢ちゃんの槍、アリス嬢ちゃんの弓、クロエ嬢ちゃんの短剣二刀流、俺の大槌。

 そこにノエル嬢ちゃんの遠隔魔導玉と、サリー嬢ちゃんの超重量大剣。

 いやはや、プロデューサーながら……凄まじくバランスの取れた最強の冒険者パーティーになったものだ。


「ガッハハハ! どうだリスナーども! これが新戦力を加えた『新生アビス・シグナル』だぞ!」


『威圧感と震えが止まらん!』

『戦闘までここまで完璧にこなせるアイドル、世界中探しても絶対いないだろwww』

『確かに……全員の尊さと火力がカンストしてる――ドワーフ以外は』

『ゲンさんが調子に乗って得意気になる気持ちも分かるwwww』


 こうして俺たちはリスナーの熱狂的なコメントを背に受けながら、新しく整備された『第二階層』へと続く階段を全員で賑やかに降りていくのだった。

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