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会社設立の第一歩

「「大衆酒場は絶対にダメーーーー!!!」」


 凛嬢ちゃんとアリス嬢ちゃんの超絶ハモりツッコミが奈落の壁に反響する!


「なんで会社名にまで酒場を残そうとするの!? 『株式会社カラメルとふわふわドロップ』でいいでしょ!? どこまで酒に執着してるのゲンさんはぁぁぁ!」


「お、おじさま……っ! 私たち、居酒屋さんの店員さんではなく冒険者アイドルです……っ! 『株式会社ドアの向こうはデスゲーム』で良いと思います」


『『『おい待て社名案も全滅しとるwwwwww』』』

『カラメルとふわふわドロップwww』

『ドアの向こうはデスゲームは草』

『アリスちゃん、たまに本気でヤバいセンス出してくるの好きすぎる』

『いや、ドアの向こうはデスゲームは捨てがたいwwww』


「おいおい二人とも……俺の『大衆酒場』を笑えないセンスじゃないか!」


「「そんなことないもん(ありません)!!」」


 ぷくーっと頬を膨らませる凛嬢ちゃんと、不思議そうに首をかしげるアリス嬢ちゃん。


「がっはは! なら冒険者パーティー名が『アビス・シグナル』なら、俺たちが作る会社はプロダクションであり工房でもある……『株式会社アビス・プロダクション』はどうだ!?」


「あ、それ格好いい! アビプロって略せるし、本当の芸能事務所みたい!」


『『『今度こそまともな社名きたぁぁぁぁ!!www』』』

『プロフェッサー「完璧だ! 我らの技術開発拠点にふさわしい!」』


「ガハハ! 決まりだな! 会社を作るにも、リスナーどものアイデア装備を作るにも、まずは素材が必要だからな! 凛嬢ちゃん、アリス嬢ちゃん、最初の特製素材を狩りに行くぞ!」


「「はいっ!!」」


 二人は顔を見合わせてニッコリと笑い合うと、薙刀と和弓をキュッと握り直した。


「セラフィム、カメラを引くなよ! ――これより【アビス・シグナル】の初素材狩りライブ、出撃だぁぁぁっ!」


『『『うぉぉぉぉぉぉ!! いけぇぇぇぇ!!』』』

『伝説の第一歩きたああああ!』


 爆笑と熱狂のコメント弾幕が画面を覆い尽くす中、未来の大企業のために二人の美少女アイドルが、奈落の奥地へと爽快に駆け出していった!


 ◆◆◆◆


「えい! やあ!」


『リンちゃんの戦う姿が見られるなんて……』

『カワユスwww』

『なんか掛け声も良いwww』


「そこです。やぁー!」


『何を……アリスちゃんも負けてない!』

『あの獲物を狙う真剣な眼差しに……服を脱ぎました』

『確かに……黒髪に弓なら……おっさん、巫女服をアリスちゃんに着せてくれ!』


 フフフッ、見込み通りに二人への応援が過熱しているな。

 二人の関連グッズを作るだけでも大儲けだが……装備を売る案も我ながら良い案だな。

 でも、新人冒険者でも嬢ちゃん達の装備を手に入れられるように、素材ランクを落としたマイナーチェンジ版も用意していこう。

 ……というか、奈落の底の魔物素材なんか地上にいたら手に入れられないからな。


「セラフィム、ちょっとこっちに来てくれるか……」


 二人の活躍を見ていたリスナーからは非難轟々だ!


『何をする!』

『おっさん見ててもつまらん』

『ドワーフwww』

『素敵ヒゲ』


 おい、悪口ばかりじゃないか!


「一応、お前達に伝えておく。俺達みたいに居場所を失った、もしくは失いそうなヤツ。今に満足していないヤツ。単純に嬢ちゃん達を応援したいヤツ。どんな理由でもいいから『株式会社アビス・プロダクション』に入らないか? もちろん、入社しなくても俺達は嬢ちゃん達を見守る仲間だ」


『……………………』


「やっぱり、俺達は追放されたり一度は敗れ去った者達の集まりなんだ。その俺達が今、一番信じられるのが、奈落の底にいても応援してくれるお前達だ。どうだ? 【アビス・シグナル】に賭けてみないか? 勝算はある」


 俺はマジックバッグより様々な魔物素材を取り出し……


「俺だって冒険者歴は長い方だ。こんな素材を地上に持ち帰ったらどうなるか分かってる。プロフェッサー、これらの素材はいくら位の金になる?」


『――――正直、分からない。値段がつけられない物も多い』


『『『…………!!!』』』


「そう、俺達が持ち帰る素材を活かした商品を作り出し、商売へ活かす。それも【アビス・シグナル】が持ち帰る材料は、奈落の底からお宝を持って帰還なるはずだ。どうだ、ワクワクしないか?」


『『『うぉぉぉぉぉぉ!! すげぇぇぇぇ!!』』』

『おっさん、やるなぁー』

『リンちゃんを応援するのが商売になるのか?』

『アリスちゃんが持ち帰る素材を……』

『おっさん、感動した!』

『ドワーフ! すきwww』


 誰だ? 必ずドワーフを入れるヤツは……まぁ、概ね受け入れてもらえたようだな。

 そうと決まれば、地上を本格的に目指そう。

 俺達を追い出したヤツらとの対面もあるかもしれない。

 けど……俺達だって、奈落の底で遊んでいたわけじゃない。


 俺達自身で会社を大きくして『見る目がなかった』と後悔させてやる。俺の元の会社、先代社長の孫娘アリス嬢ちゃんとも関わる『マジカルアドベンチャー』や、リン嬢ちゃんを追放して奈落に落とした『ローズ・ヴァルキリア』にもな……

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