ご褒美タイム
「ハァ、幸せ〜です」
「本当にそうですね」
なんと美少女2人が目の前でお風呂に入っている。
「どうだ? 俺はお前達の味方だとこれで分かっただろ?」
『泣いた! マジで泣いた!』
『おっさん、ありがとう!』
『全米が泣いた!』
『素晴らしい、あのトレントがこのような形で水着になるなんて! 防御力は……』
『プロフェッサー……天に還る』
『……ってか突っ込めよ! お前達、おっさんの格好をさ……水着をさ……』
『『『なんでブーメランパンツなんだよ!!!』』』
「ん? 動きやすいからな!」
『誰得だよ!』
『時間に追われる現代人への救済策!』
『リンちゃんとアリスちゃんの前でポロリはやめろよwwww』
『それは……ってか俺達の前でも止めてくれ!』
「何だお前達、失礼な! 俺はいつも水泳着はブーメランパンツだぞ! 動きやすくて最高じゃないか!」
『ただのおっさんの趣味だったwww』
『目障りすぎるwww 美少女2人の癒やし空間に小さくてデカいおっさんが浮いてるwww』
『プロフェッサー! 助けて! おっさんのブーメランパンツは防御力よりも大事な物が抜けてる!!』
『プロフェッサー「……おっさんの局部を守るための局所集中型アーマー……(死亡)」』
『考察すなwww』
コメント欄が阿鼻叫喚の嵐になる中、当の凛嬢ちゃんとアリス嬢ちゃんはまったく気にした様子もなく、極上のお湯にうっとりと肩まで浸かっていた。
「ふはぁ〜……! ゲンさん、このお風呂、泡がポコポコ出てきてすっごく気持ちいい……!」
「ええ……疲れが吹き飛んでいくようです。お湯の温度も完璧ですね……」
スチーム・ゴーレムのコアによる絶妙な湯加減と、トレントの木材から漂う森林浴のような爽やかな香り。さらにはゴーレムの蒸気機構を応用した手作りジャグジーの泡が、二人の肌をやさしく包み込んでいる。
「ガハハ! だろ? 奈落の底だからって妥協はせん! 職人の矜持ってやつだな!」
「でも、ゲンさん。この水着……すっごく軽くて動きやすいのに、なんだか守られてる感じがするよ?」
凛嬢ちゃんがトレントの繊維でできたビキニのフチを引っ張りながら首をかしげる。
「おう、そりゃそうだ。Sランク魔物エルダートレントの樹皮繊維に『耐熱・耐衝・防汚』の付与魔法を掛けておいたからな。並の剣じゃ傷一つつかんし、魔法も弾くぞ」
「「えぇぇぇぇ……!?」」
『『『やっぱり防具じゃねーか!!!』』』
『水着の皮をかぶった国家宝物級の国宝アーマー草』
『おっさん、さらっとSランク防具を水着にして美少女に着せてて草www』
「別にいいじゃねーか。これで嬢ちゃん達も安全になるってもんさ、じゃあ、お前さん達は風呂を堪能してくれ! 俺は少しこの辺りを整備しておくからな」
俺は風呂からバシャーンと出る。
『うわ、おっさんのケツがプルンってなった』
『そんなオマケまで用意しているとはおっさんやるな!』
『おっさん、さては仕込んでいたなwww』
『なるほど、エルダートレントを使うとズレないのかもな。適度な締め付けが魔力的な……』
『今日はプロフェッサーの日だったな』
「お前ら感謝しろよ、見てみろよ。普段なら絶対に覗けない美少女達の入浴シーンだぞ。それに風呂に入ってるあの二人を……ホカホカのゆで卵みたいじゃね〜か」
『バカおやじ』
『台無しだよー!』
『ゆで卵って発想が草』
『昭和感が出過ぎwww』
『イヤ、卵肌という言葉もあるくらいだぞ……』
『ドワーフwww』
「それよりも風呂で熱燗をキュッといくのはいつになるのか……日本酒が恋しいぜ!」
『やっぱりドワーフなんじゃ?』
『そもそも、ドワーフって日本酒を飲むのか?』
『イメージ的にはバーボンとかをビンごとラッパ飲みwww』
『おっさんは美少女の風呂でも通常運転だったwww』
◆◆◆◆
「よし! こんなもんかな……」
俺達が風呂を作ったのは、最初にリン嬢ちゃんが落ちてきた大穴の真下から続く小部屋。セーフゾーンでもあるから好き勝手に改造した。
「わっ、わっ、何これ……すっごーい」
「本当ですね。おじさまはなんでもできてしまうので羨ましいです」
「おう、風呂から上がったか。この際だからな、テーブルやイスなんかを風呂造りの端材でこしらえた。それと服もな……水着に合わせたから多分大丈夫だと思うけどな」
「わっ、ありがとう。やっぱり同じ服ばかりだとね……あっ、カワイイかも……」
「そうですね。おじさま、ありがとうございます」
セラフィムちゃんはその様子を地上へと届ける。
『おっさん、永住する気か?』
『ってか、ここまで出来たら自給自足でよくないか?』
『確かに……究極のスローライフ完成!』
『美少女2人と生活なんて……裏山!』
『今、世界中の学者が配信を見て真剣な顔をしながら奈落の様子を調べてるはずなのに……』
『ほのぼのとした空気感が凄いなwww』
『おっさん無双は続いていく……』
美少女二人によるファッションショーの様子を映し出すのだった。
この時、アリスを人質にしていた東郷の姿は奈落になく、皆が存在すら忘れているのだった。




