↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/56

魔導ドローンの完成

 硬い甲殻を使った外装、ハチの羽根を使った反重力推進パーツ、女王バチの触角を利用した増幅アンテナ、動力の女王バチの魔石。ここまで揃った。


「ねぇねぇ、ゲンさん。もう、直りますか?」


「あと少しだな。この魔鉄を使ったコードに、絶縁体を使ったスイッチかな……ん〜。あっ、そうだ!」


「ぶぅ〜、またゲンさんは1人の世界だよ」


 俺はバッグから水晶を出した……これを加工して玉状にする。水晶は加工が難しいが『錬る』なら簡単。そこに魔鉄コードと女王バチの羽根で加工した。絶縁体ならぬ魔導絶縁体としてガラスを薄く固めた。

 それらを全て凛ちゃんのテーブルに集めて一斉に魔力を『錬る』と――


「でっ、できたああぁぁーー!!」


 俺の頭上で、漆黒の甲殻と黄金のラインで装飾された【球体型カメラドローン】が、羽音ひとつ立てずにふわりと浮遊している。

 中央の水晶レンズが美しく青く光り、周囲の空間を優雅に旋回し始めた。


「わ、わぁぁぁ……! すごい、本当に浮かんでる……! しかも全然音がしないよ!」


 スネていたのも忘れて、凛ちゃんが目を輝かせながらドローンを見上げる。


「ガハハハ! だろう? キラー・ビーの羽で反重力を生み出し、クイーンの魔石で無限動力を確保! さらにクイーンの触角アンテナでぶ厚い岩盤も貫通だ! 男のロマンの結晶だ! さぁ、名前を決めてくれ……俺はそう言うのは苦手だ」


「名前ですかぁ〜? でもゲンさん、私が着けてもいいの……? ちなみにゲンさんならなんて着ける?」


「ふん、『ビーフジャーキー号』。……笑え!」


「ぶっ、アハハ……お腹痛い! やっぱりドワーフさんじゃん。なんでおつまみなの。私のパパもビーフジャーキー食べて飲んでいたよ」


「おお、良いチョイスしてるな! ここを出られたら一杯やりたいもんだな……嬢ちゃんなら名前をどうするんだ?」


 フヨフヨと上空に浮かんでいるドローンを見ながら……


「う〜ん、なんかこの子は天使みたい。なら『セラフィムちゃん』でどうかな? なんか天に浮いた天使ちゃんで絶対に女の子だよ。カワイイ〜」


「ビーフジャーキーは?」


「却下です。ゲンさんの名前はオヤジ臭いです。ねぇ〜、セラフィムちゃん」


 そう言う凛ちゃんの周りをフヨフヨと飛ぶ魔導ドローン。


「ちぇ、まぁ、いいや!」


 俺が魔導絶縁体のスイッチを指で押し込むと、ドローンの水晶レンズがピコンと一際強く発光した。


 通信回路が、ぶ厚い奈落の岩盤を突き抜け、地上の衛星ネットワークと完全・永久接続される!


 ピコンッ!


『セラフィムちゃん』の水晶レンズが鮮やかな青に発光した瞬間、魔導モニターの通信インジケーターが緑色に点灯する。


『――超高周波魔導通信、接続完了。奈落最深部より生配信を完全再開します――』


 一瞬の静寂の後、ドローンの前に展開された魔導モニターの画面が、恐ろしい速度で明滅し始めた。


「なんか嬢ちゃんにばっかり懐いて……俺が作ったのになぁ〜、ずりぃ〜よ」


「セラフィムちゃんは絶対に女の子ですよ。いやで〜〜す! ビーフジャーキーとか……なんで乾燥したお肉なんですか……べーだ!」


「せらふぃむ――なんてケツが痒くなるような名前が配信されたら、もう次からは名前を変えられないぞ。なら男らしいビーフジャーキーでいいじゃねーか。ビールでも焼酎でもワインでもウイスキーでも合うんだぞ」


「今のを聞いて……さらに譲れなくなりました。そんなお酒のおつまみな名前はイヤよね……『セラフィムちゃん』!」


「……? おい! それって配信されてないか? なんかピコピコしてるぞ、えっと……せらふぃむちゃん?」


 そう言うと凛ちゃんは勢い良くせらふぃむちゃんに近づき……


「きゃーー!! 本当だぁ、ダメよ。みんなゴメンね……明日、改めて配信するからね」


「なんでだぁ? せっかくならヤレばいいじゃん」


「もう、女の子には準備が必要なのよ。セラフィムちゃん、お願い配信を切ってちょうだい……ゲンさんお願い」


「ヤレヤレ……見ている人、ゴメンな。今日は乙女の事情とかっていうのでダメらしいぞ。そうだな、ここは時計がないからな……明日の同じくらいの時間にまた会おう……」


「……ちょっと、ゲンさんは……ゴメンなさい」


 ―――【通信が切断されました】―――


 配信が唐突に途切れたその瞬間、全世界のネット掲示板とSNSが一気に大爆発を起こした。

 帰還者が1人もいない奈落の底に落ちた少女と、住み着いていたドワーフ?

 明日の配信で何が語られるのか、それを推察するページも現れ……憶測が憶測を呼ぶ。


 さらに画面上に出てきたドワーフの身元の洗い出しなども行われ、この日の夜は寝不足気味な人が続出したとか……


 だけどそれを知る由もない2人は、ギャーギャー言いながら深層を歩いていく。


「ゲンさん、何処かお風呂入れる所ないかな?」


「ん? 水浴びか? なら俺が『錬る』で魔法を再現出来るから……」


「そんな事を言って覗く気でしょ? べーだ! エッチ!」


「ヤレヤレ!」


 明日の配信に向けて準備をするのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。