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フレイアストの工場見学 Part 2

LPと共に工場に降り立った俺は、なぞの歓迎を受けていた。


「エルピー様! お早いお帰りで。無上の喜びを感じております!」


「エルピー! お帰り、です……? その人は誰です?」


『マッド様、シエナ様。わざわざ出迎えいただきありがとうございます。こちらはフレイアスト・フォン・アトレイディス様。私が仕えるお方です』


「おい、それ本名! ばらすなよ! てかなんで知ってるんだ? それに仕えるって……」


『また素性をお隠しになるつもりですか? 仕えるという言葉を使ったのは、マスターと言ったところで伝わらないかと思いましたので』


「お前……やっぱりあのとき聞いてたのかよ……。まあそれはいいとしても、仕えるとか誤解を生むようなことを言うな」


「アトレイディス……」


「ん? あぁ。こいつの言う通りだ…です。あなたがシエナさんですね?」


「そう…です…あのアトレイディス家の人?」


「はい、カナティオ帝国。辺境伯チェスター・フォン・アトレイディスの息子です……」


「なんと!? あのアトレイディス家のご子息にあらせられるとは! なるほどエルピー様が仕えるとは少々納得がいきませんが……。出自は立派なお方のようですね」


「はぁ……? あなたがマッドさんでよろしいですか?」


「申し遅れました。私がエルピー様の第一のしもべ! マッドにございます。アトレイディス家のお方には、本名のマクウェイド・フォン・ヘッケナーと申した方が伝わり易いかもしれませんね。もっとも、追放されましたのですでに貴族ではありませんが」


「ヘッケナー男爵家の方がなぜこのような場所に!?」


「先ほども申しました通り追放されたためです。そして旅に出た私はエルピー様との運命の出会いを果たし、この場に身を寄せることとなりました。それよりもあなたの方がこのような場所におられるのは不思議だと思いますが?」


「まあそれは話すと長くなるので、追々LPにでも聞いて下されば…」


「え、エルピー様のことを呼び捨てにするとは! シエナに続きあなたまでも! これは由々しき事態ですぞ! エルピー様! この方は貴方様への信仰心が薄いようです!」


『マッド様……前から申しているように、すべてあなたの勘違いです……なのであなたももう少し普通に接していただいて構いません』


「エルピー様は紛れもなく神でございます! そのようなことは……」


『……』


「……」


「……」


マッド以外の全員が絶句した。


LPが俺にだけ聞こえる声で耳打ちしてくる。


『マスター。マッド様は少し変わったお方ですが、とても優秀な頭脳をお持ちです。きっとマスターの性格ならばすぐに親しくなると思いますので、敬遠されないで下さい……』


「そうは思えないが……。まぁ、わかった……」


『では、早速マスターにお見せしたいものがあるので付いてきていただけますか?』


「あぁ」


『マッド様とシエナ様も一緒にこられますか?』


「もちろんですとも!」


「はいです!」


『ではマッド様、自動馬を二体ほど用意していただけますか?』


「かしこまりました!」


そしてマッドが用意した自動馬という乗り物に二人一組で乗ることとなるのだったが……


シエナさんがマッドじゃなくてLPと一緒がいいと言い出したので俺は仕方なくマッドと一緒に自動馬に乗ることとなる。


今のところマッドに対する印象は”変人”だ。初対面の変人といきなり二人きりになるとは……


LPはすぐに親しくなると言っていたが何を根拠に?……


……それにしてもこの自動馬という乗り物、なかなか興味深い。


「これはあなたが開発したのですか?」


「よくぞお気づきになられましたな! これは私が開発した自動馬”シュバルツ”と呼んでいます」


「シュバルツ……カッコいい…」


「そうでしょう! 馬を参考に作り上げました!」


「なるほど、これはこれで移動手段としては優秀な気が……。悪路に対する走破性が高いし、何より見た目とワイルドな乗り心地が最高にいい!」


「なんと! シュバルツの良さを理解してくださる方がいるとは!」


「ええ、とても気に入りました! 重厚感や威圧感を感じさせるマットブラックのボディカラーに、全体的に馬の躍動的な筋肉を模した奇抜な機構を採用し、機械の無骨さがありながらどこか生命を感じさせる流動的なデザイン……これは一種のアートと言っても過言ではない。それに、何らかの兵器を装備させれば機動性を活かしてかなりの戦闘力が期待できる……あ、すいません。ついクセで……」


「なるほど……魔法を使う相手を想定するとして、なにか遠距離からの攻撃手段があれば……そして、突破力が付くとなると、近距離用の武装も装備させてもいいかもしれませんね」


「おぉ! それが実現するとなればロマンですね!」


「ええ! そうでしょうとも! 私、新たなるアイデアが湧いてきましたぞ! フレイアスト様。私のことはマッドとお呼び下さい、そして一平民である私に敬語は不要です」


「わかった。じゃあ俺もフレイでいいよ? 敬語もなしで」


「いえ。それは申し訳ございませんが辞退させていただきます。このしゃべり方は私のアイデンティティですので」


「はぁ……? それならいいけど……」


やっぱり変な人なのだろうか?


そんな会話をしているといつの間にか目的地に到着していたようでLPとシエナさんがこっちに近づいてくる。


『どうやら早速仲良くなられたようですね』


「マッドは変です。それと仲良くなるあなたも……」


シエナさんはジーッという擬音を自ら発声しながジーッと見つめてきた。何か不穏なことを考えてそうだ……




『下がります。お気を付けください』


ビー、ビー、ビー……


警告音と共に警光灯が回転を始める。


「うわっ」


続いて、いきなり地面が沈み始める。どうやらこの場所は地下へと続く巨大なエレベーターだったようだ。


「おぉ!これは!」


まさかの地下施設に興味深々で辺りを見回していると、徐々に懐かしいシルエットが見えてきた。


「あれは! エアレー!?」


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