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この世界  作者: 御影 零
~夢魔の進む道~

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第29章  新たな悪魔

 極夜キョクヤはすぐに立ち上がり、望乃ノノの前に立ちはだかった。望乃も異変に気づき、極夜の後ろに立った。悪魔は極夜から少し離れたところに降り立ち、目を丸くしていた。


 その悪魔は、極夜よりはるかに身長はあったが、とても細身で、髪は白く地面に着きそうなほど長かった。そして、唇は薄く、目は切れ長でその瞳は底意地悪く光っていた。


 その悪魔は極夜をじっと見て、何か思いついたようにほくそ笑んだ。


「誰かと思えば、夢魔の極夜ですか。これはこれは、お噂はかねがね。私は、狂暗キョウアンと申します。よろしく」


 狂暗はそう言うと、腰に手をあて、もう一方の手を自分の腹にあてると、わざとらしくお辞儀をした。極夜は狂暗を睨みつけ、怒鳴った。


「てめぇ、ここに何しにきやがった!こいつに何かしたのかっ!?」


 狂暗は大げさに驚いた顔をして言った。


「おやおや、あなたの獲物でしたか。しかし、先に小悪魔をつけたのは私のほうです。横取りされたのは私のほうですよ」


 狂暗はそう言うと、望乃を見て薄ら笑いを浮かべた。望乃は恐怖を感じたのか、極夜の後ろに隠れた。その様子を見た狂暗は、興奮した顔で言った。


「やはりそのお嬢さん、悪魔が見えているようですね」


 狂暗が望乃を見て興奮し出したことに気づいた極夜は、慌てて怒鳴った。


「こいつに手を出すな!!!」


 狂暗は不思議そうに極夜を見て、にたりと笑った。


「ほう、あなた、このお嬢さんを守りたいとでも言うんですか?あの残虐非道の極夜に何があったんです?我々悪魔でさえ恐れを感じていたあなたが、人間を守るだなんて」


「うるせえな!てめぇには関係ないだろ!いいか、ここのことは他のやつには言うなよ!!」


 極夜の言葉を聞き、狂暗は周りを見回した。


「やはり、あなたも気づいていたのですか。最初にここにきた時にも感じましたが、この家に近づけば近づくほど闇が薄くなる。本当に居心地の悪い場所ですね」


 この時、望乃が急に極夜の前に出た。極夜が止める前に望乃が叫んだ。


「あの!お願いします!この場所のことは誰にも言わないでください!」


 狂暗は望乃が自分に話しかけてきたことに少し驚いたようだったが、すぐにニタッと笑った。


「あなた本当に悪魔の姿も見えるし、会話もできるのですか。これは面白い。ぜひ魔羅様にお伝えしなければ」


 にやにやと笑いながら狂暗が言うと、極夜は狂暗の目の前まで歩み寄り、睨みつけた。


「おい、魔羅に余計なことを言うな」


 極夜がドスのきいた声で言うと、狂暗は驚きを隠せず、後ろによろめいた。そして、怒りもあらわに極夜の前に立ち、冷ややかな声で言った。


「噂は本当なんですね。魔羅様に対して何て言葉遣いでしょう。天邪テンジャ様が嫌うわけです」


 極夜はフンッと鼻で笑い、狂暗を睨みつけた。


「お前、天邪に教育を受けたのか。どうりであいつと似てると思った」


 狂暗の顔が、見る間に鬼の形相になっていった。激しい怒りが目に宿っていた。


「調子に乗るなっ!!なぜお前の様な悪魔がまだ死魔様に消されずに存在していると思う?お前は魔羅様のおもちゃに過ぎんからだ!お前の行動一つ一つを見て魔羅様は喜んでおられる!魔羅様は、皆に蔑まれ、悩み苦しむお前の姿が見たいがために、お前を生かしているんだ!魔羅様に弄ばれている現実をはやく受け入れろ!この悪魔の面汚しめが!」


 極夜が言い返す前に、望乃が狂暗の前に仁王立ちになった。そして、狂暗の横っ面を思いっきりひっぱたいた。


「極夜のことを悪く言わないで!何も知らないくせに!」


 望乃は目に涙をためて、怒鳴った。


 狂暗は自分の身に何が起こったのかわからない様子で、唖然と望乃を見つめていた。しかし、徐々に怒りで体が震えだした。


「人間が・・・、たかだか人間のくせに・・・」


 狂暗は激しい憎しみを込めた目で望乃を見た。極夜はすぐに望乃を自分の後ろに引っ張った。ゆらりゆらりと狂暗は極夜達に近づいてきた。極夜も少しずつ後ずさりした。そしてゆっくりと、狂暗の口元があざ笑うかのように不気味に歪んだことに、極夜は気づいた。狂暗の表情を見て、極夜は立ち止った。


「何がおかしい。頭でもおかしくなったか?」


 狂暗もその場に立ち止り、自分の顔に手をやりながら、いきなり高笑いした。


「アーハッハッハッハッハッハ!!!!こんなに滑稽なことがありますかっ!?馬鹿馬鹿しいにもほどがある!クックッッ、ハッハッハッハッハッ!!!」


「なんだよ、てめぇ!ふざけんな!!」


 極夜が怒鳴ると、狂暗はいきなりピタッと止まり、自分の指の隙間からギロッと望乃を見た。


「おい、人間。お前が悪魔の何を知っている。極夜の何がわかっているというんだ。俺たち悪魔は人間を苦しめるために存在している。あの快感を誰よりも知っているのは極夜以外にはいないだろう。そいつは魔羅様の命令も聞かず、人を殺し続けてきた。快感を求め、狂ったように人を殺し続けてきたんだ」


 極夜はクッと顔を歪めた。自分のしてきたことを改めて言われると、心が締め上げられるように痛かった。しかし望乃はキリッと立ち、真っ直ぐな目で狂暗を見て言った。


「私は、悪魔がすることを悪いとは思っていないわ。悪魔が自由に生きた結果を私は否定しない」


 狂暗は望乃を見て呆気にとられているようだったが、すぐにあざ笑うかのような笑みを浮かべた。そして、だらんと腕を下げ、上から見下すように望乃を見た。


「そうですか。悪魔が何をしようと受け入れると言うんですね?」


「ええ、私は悪魔を否定も拒絶もしないわ」


「クックックッ、そうですか。じゃあ、私のことも受け入れてもらいましょうか!あなたの父親を殺した、この私もね!!!」


 狂暗はそう言うと、また高笑いした。


 望乃は狂暗を見つめ、顔からは血の気が引いていた。

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