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名前を呼ばれた
だれかに、名前を呼ばれた気がした。
だれに呼ばれたのか、
なんて呼ばれたのかはわからない。
遠くから聞こえたようにも思うし、
すぐそばで呼ばれたようにも思う。
でも、呼ばれた気がした。
あたりは暗くて、どこにいるのかも、
どこへ行けばいいのかもわからなかった。
声が聞こえたとき、思わず手足を動かした。
けれど、声が聞こえるだけでなにも見えなかった。
どれだけ時間がたっても、あたりは暗いまま。
だんだん動けなくなって、息が苦しくなっていった。
ふいに声に引かれるように、からだが動きはじめた。
暗くて狭い道を、ゆっくり、ゆっくりと進んでいく。
こんどは、たしかに名前を呼ばれた。
その瞬間、光がさして、
はじめて息ができた。
そして、わたしは産声を上げた。




