第15話
「まさかあそこで振り向くとは思わないじゃん。どういうこと、あれ?」
「物音はいっさいたてていませんでしたからね。タイミング的にも、俺たちがくることを知っていた振り向き方だった気がします」
「〝掲示板〟には1日ごとに住民の記憶はリセットされるって書いてたよね。ってことは、あのイレギュラーは運営からぼくたちへのメッセージとか?」
「だとしたらなんのメッセージにもなっていない気がするな。おかげで俺たちは〝ゲームオーバー〟になるところだったんだから」
「それにしてもよく運んだよね、夏目。背中に怪我しといてさ」
「えっ、見てたのか、文人」
「死ぬ直前だけどね。がんばれ〜って思いながら死んでいったよ」
「なんだか複雑な気分だなぁ」
「けど、あなたがあそこで運んでくれたおかげで今もわたしたちは生きている。ありがとう、夏目くん」
「そんな、お礼なんて……」
「そうだぞぅ、お礼はここから抜け出してからだ」
「コイツ……」
「おしゃべり中わるいがそろそろ到着しそうだ。今日から初めてのステージだ。気を抜くなよ」
「はい」
「ええ」
「うん」
「……それと寺坂」
「あぁ、わかってるさ」
「まだ俺たちはお前のことを信用していない。少しでも怪しい行動をすれば、わかるよな」
「わかってるって。銃口を当ててくんじゃねえよ」
「じゃあ、しっかり仕事しろ」
白色灯がコンテナ内を照らす。
眩しさに一瞬、目をつむるがすぐに慣れる。何十回目となるこの日もだいぶ順応してきた。
扉が開く。砂埃と共に風が舞い込んでくる。
目の前の光景に俺たちは絶句した。
平原に自陣を主張するかの如く張り巡らされた有刺鉄線のフェンス。中では赤色灯と複数のプレハブ小屋、そしてサーチライトを構えた物見櫓。
そのライトが照らすのは————
黒に塗装された軍用ヘリ。側部にはミサイルが装填されている。
迷彩色の装甲車。8輪駆動の頭部には機関銃が搭載されている。
そして、まばらに巡回する武装兵たち。全員、ヘルメットに防弾チョッキを身にまとい、アサルトライフルを手に持っている。
「嘘だろ、おい」寺坂が漏らす。
「こんなとこで盗みなんてできるの?」骨川が震える。
「でも、やるっきゃないでしょ」文人は大きく息を吐く。
「そうね。生きて帰るためだもの」ちほさんはまっすぐな瞳を次の〝ステージ〟に向けていた。
「焦る必要はない。落ち着いていこう」増倉さんがいう。
ヘリが飛び立とうとしているのか。激しい風がコンテナに吹き込んでくる。
その風に興奮してる自分がいる。今度はどんな難所が待ってるんだろう。
暴力的な店主、走る警備員軍団、200桁の電子パスコード。そのどれをも超えそうな試練が待ち構えている気がした。
自然と笑みが浮かんできた。
「はい。いつも通り、やりましょう」
俺たちは、踊るように一歩を踏み出した。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
泥棒をし続けないと生き残ることができない世界、いかがだったでしょうか。
物語の背景とか人物相関図とか、色々書くことが多すぎて、完全に長編用だったな、と個人的には後悔しています。
いつか、長編でリベンジしたい……!!
もし、長編を読みたい、と思った方は、フォローとレビューと、続きを希望するコメントをよろしくお願いします!
コメントには泣いて喜んで返信します!
改めて、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




