表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んでも盗み続ける俺たち  作者: 名無之権兵衛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/15

第1話

 ダイヤルを回していく。


 1、2、3、4…………


 全神経を耳に集める。聴診器から漏れ出てくるわずかな異音も聞き逃すまいと集中する。


 あたりは薄暗い。明かりは口で咥えている懐中電灯しかない。


 ライトが照らすのは目の前の金庫だけ。かれこれ30分、ダイヤルを回し続けている。


 いや、1時間か、それとも5分……?


 ダメだ。完全に狂ってる。

 いや、狂ってなきゃ、こんなことできっこない。


 人の家に忍び込んで泥棒なんて————




 部屋の明かりがついた。




 思わず目をつむる。


 ハッと胸が締めつけられる。修学旅行で就寝時間中に喋っていたところを、先生に見つかったときのような気まずさに心が支配される。


 まさに、入ってきたのは同級生(仲間)ではなく先生()


 鼓動が早くなる。額から脂汗が浮き出す。


 そのとき、


 カチリと音がして金庫が開いた。——やった。俺は8桁の暗証番号——10億分の1を引き当てたんだ。


 心拍数が上がる————心臓が飛び出そうだ。苦節二日、ついに達成された目標と、敵に見つかったという絶望的な現状。正と負の感情が入り混じって、心臓を上へ上へと突き上げていく。


 どうする? 戦う?


 このまま何もしなくても結果()は変わらない。

 だったら、少しでも可能性()のある方へ————


 立ちあがろうとする。しゃがんでいたから足が痺れて思うように動かない。


 それでも拳を握りしめて、何をするか決めてないけど顔を上げようとして————




   首に激痛が走った。




 あまりの強烈な痛みに視界が回転しながら落下していく。


 何をされた!? 首に手を伸ばそうとするが、手が動いている感覚がない。


 視界は転回しながらどんどん落下していく。


 ついには床に衝突してコロコロ転がった。ナガシマスパーランドの白鯨よりもタチが悪い。吐き気をもよおすが、数時間前に食べた菓子パンが出てくる気配はない。


 バタンと視界の隅で何かが倒れた。


 それは黒のスウェットに身を包んだ俺の体だった。


 あぁ……そういうことか……。


 薄れゆく意識の中で眼球を上に動かす。それが自然のことわりであるかのように。

 かつて俺だった肉体のそばには、血のしたたる斧を持った男。


 そいつを焼き付けるように眼球が停止する。


 そのまま視界が暗くなって————


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ