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Slaughter  作者: はく
26/26

Epilogue Project Darkness

あれ…今…俺はどこに…


うっすらと目を開く。

そこは病院の一室だった。


「あれ…どこ…」

「ゼファー!」


名前を呼ばれ、その方を見る。


「か、母さん…?」

「ゼファー!!」

「おにぃちゃぁぁん!」

「父さんに、ジョシュ…サラ…」


この光景…どこかで…


「よかった…帰って来てくれて…」


父親と弟と妹は泣きじゃくる。


「ここは…」

「ここはね、日本の病院、難病を抱えたり、意識がずっと戻らない人を治してきた凄い病院なのよ」

「俺…どうなってたの…?」

「あなたはね…5ヶ月前に事件に巻き込まれたのよ…」

「そーなんだ…」

「一度、目を覚ましたんだけど、叫び声を上げて気を失ってしまったの…」

「そうなんだ…その…事件ってどうなったの?」

「……悲惨なものだったわ…」

「え?」

「あなたの近くはバラバラになった遺体だらけで…」

「なにそれ…」

「と、とりあえず!」


父親が割って入ってくる。


「帰ってきてくれたんだ!よかったよかった!」

「うん!お兄ちゃん!帰ったらゲームしよ!お父さん弱いんだもん!」

「おいジョシュどーいう事だ~?」


父が弟の頭を撫でる。


「解ったよジョシュ、約束な」

「ねぇゼファー?」

「なに?母さん」

「歩けるかしら…」

「うん多分」


ゼファーはベッドから降りる。


「うん、歩けるみたいだ」

「ちょっと院内歩いてきたらどうだ?」

「そうだね、行ってきます。」


ゼファーは点滴を引いて廊下に出た。


廊下に出て、長い廊下を歩く。


俺は…眠っていたのか…?

でもなんか…変だ…もっと別の場所に…

思い出せない。


ゼファーはゆっくり歩いた。


ガラァァァ


ドンッ


「うわ!」


横にあった病室から人が出てきてぶつかった。


「てぇぇ…大丈夫か?」


その人物はゼファーに手を差し伸べた。


男だろうが髪が微妙に長く、女の子みたいな顔の少年。

どこかで…


2人の間で沈黙が走る。

思い切って聞いてみるか。


「あの」

「なあ」


しまった被った。


「あ、どうぞ」


ゼファーは喋る権利を譲った。


「いやいやいや、そっちこそ」

「じゃ…じゃあ…」

「おおっ」

「…どっかで…会ったことなかったりしない…俺達…」


そう言うと少年は驚いた顔をした。


「びっくりした…俺も同じ事を…」

「えっ…ほんと?」

「あ、ああ……お、同じ病院だからかな…」

「そ、そうかもね…」


そんなわけない。

俺は今さっき目覚めたんだ。

単なる偶然だろう。


「じゃ、じゃあ俺行くね」

「あ、ああ引き止めて悪かった」


少年は一言言うと歩いて行った。


なんだろう…なにか…おかしい…。


「東さーん、検診のお時間ですよー」

ゼファーは通りすがりにナースが入って行った病室を覗く。


長身で前髪が隠れ喉に包帯を巻いて空を眺めてる男と、その隣に、赤髪の外人らしき凄い綺麗な人が静に本を読んでいた。


ズキンッ


突然頭痛がする。

な、なんだ!?


『Slaughter…DIE』


ズキン


「うぁ…」


『私の何が解るっていうの!?』


ズキン


「くっ…」


ゼファーは頭を抑える。


ナースはそれに気づき、慌ててゼファーに近づいた。


「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫…ちょっと…目眩がしただけです…」

「そうですか、ご無理はなさらずに」


ゼファーはそう言うと歩いて行った。


ゼファーはそのまま次の病室も通り過ぎる。

中から会話が聞こえた。


「お兄ちゃん?そこにいるの?」

「ああいるよ」

「僕達、目見えるようになるんだよね?」


ズキン


『僕達は欲しいんだよぉ…』


なんだ…なんだこの感じは…

ゼファーはふらつくと花瓶が飾ってある台に手をかけた。

ふと見るとその台には綺麗だが不気味な人形が飾ってある。


『お話しましょ?』


ズキン


なんだよ!なんなんだよここは!

ゼファーは頭を抑えたまま自分の病室へ戻った。


ベッドに腰をかけるといつの間にか頭痛は消えていた。


「父さんは?」

「ジョシュとサラと一緒にゼファーが退院した後に遊ぶゲーム買いに行ったわよ」

「そう…母さん、今日は何月何日?」

「今日は12月21日よ」

「もうすぐクリスマスかぁ」


ゼファーは笑いながら母に言った。


「少し早いけど私達にとっては最高のクリスマスプレゼントねぇ」

「ふふっ」


ゼファーはあることに気が付いた。


「母さんくま凄いよ?寝てないんじゃない?」

「ゼファーにずっと付き添ってたからね…けどへっちゃらだわ!」


母は握り拳を作った。


「ダメだよ、ちゃんと寝なきゃ。俺はもう大丈夫だし、久しぶりに家に帰ったらどう?」

「いいえっ大丈夫ですっ」


会話していると父と弟と妹が帰ってきた。


「そうだぞーおまえ、ちゃんと寝なきゃ」

「あなた…」

「そうだよママ、寝なきゃダメ!」

「ほら、みんな言ってるんだし、決定だなっ」

「うぅ……ごめんなさいね…ありがとう…… 」


母は涙を流し、病室を後にした。


「携帯は繋がったままだから、何かあったら連絡しろよゼファー?」

「ああ、解ったよ父さん」

「早く良くなってねお兄ちゃん!」

「ああ、ありがとう、ゲーム先にクリアするなよ?」


そう言い家族に別れを告げた。


トントン


「失礼するよ」


ゼファーの病室に誰かが入ってきた。


「やっと目覚めたんだね」

「ええ、御陰様で」

「実は君の眠っている間に脳波を調べていたんだ」

「はい…」

「言い難いが異常があってね、何故かとても飢えている豹やチーター、悪く言えば殺人鬼…と同じ脳波のデータが観測されたんだ」

「そう…ですか…」

「そこでね、今日は海外から有名な研究者が来ている、このタイミングでまさか君が目覚めるなんて思ってもいなかったよ」


すると入り口から1人の男が入ってくる。


「こんにちは、まずは回復おめでとう、私は研究者、グレッグ・ニコルズと言う者だ、よろしく」


ズキン


「うわ…あ…」


まただ…くそ…


「だ、大丈夫かね?」

「え、ええ…」

「無理せずに答えて欲しい」

「はい…」

「君は、眠っている時に何か夢を見たかい?」

「夢…」

「思い出してみてほしい」


あやふやだ…しかし…狂気に満ちている言はわかる。


「暴力や…」


ズキン


くそ…


「犯罪…」


ズキンズキン


やめろ…


「血」


ズギッズギッ


や…め…


「殺人」


ズキン


「やめろ!!!」


ゼファーが叫ぶと皆黙る。


「はぁー…はっ…はぁ…やめてください…なんか頭痛が…」

「いや、こちらこそすまなかった、申し訳ないね」


男はゼファーの肩をポンと叩くと身体がビクッと反応する。


「また、日を改めてくるよ。」

「はい…なんかすいません…」

「では…」


男は院長と共に出て行った。

どこか疲れたゼファーは昼間だが眠りに就く事にした。



「どうですか彼…」

「ええ、隣の少年と同じく、非常に危険ですね。」

「このままじゃ…」

「殺人を犯しかねない、厳重注意です」



これは…いつの日に見たことあるような…夢?



お前のせいだ


お前のせいで全員死んだ


まだ死にたくない


人殺し


お前だ


お前のせいだ


怖かった


痛かった


お前も来い



Slaughter which does what…

I want to still spoil the darkness more…



「うわぁぁぁぁ!」


叫び起きる。

息が上がっている。

時計を見ると23時59分。

ゼファーは息を落ち着かせる。


すると突然外から叫び声が聞こえてきた。


「あぁぁぁぁぁぁぁ!」


な、なんだ?


「先生!彼が!」

「いけない!捕まえろ!」


な、なにが起き…



ズキン






『Tear meat!!!』






頭に響く声。


「うわぁぁぁぁぁ!」


ゼファーは頭を抱え病室を飛び出した。






『Crush a bone!!!』





ズキン ズキン


「ああああああ!」


ゼファーは情緒不安定に走り、階段を上っていった。


「ゼファー君!?」


途中、止めに入った医者を階段から突き落とし、ひたすら駆け上がった。






『Drink heart!!!』






ズキン


「やめろぉぉぉ!あ、あぁぁぁぁぁあ!」






『Sip blood!!!』






ズキン



「あぁぁぁぁぁぁ!!!」






『project Darknesssssssss!!!』






バァン


ゼファーは屋上の扉を開けた。


ペチペチペチ


裸足のためコンクリートが音を立てる。

屋上の端には、昨日会った少年が背中を向けていた。

ゼファーもその少年の隣に立った。

不思議と頭痛は消えた。

いや、頭痛の原因は解った。


「君たち!」


後から院長と、助手の数名が追って屋上に来た。


「そんな所にいたら危ない!風邪も引いてしまう!こっちに!」


すると少年は口を開いた。


「なんかぁ…久しぶりだな?ゼファー・マクベイン」

「いや、事実、初めましてでしょ?藤堂是雄」

「君、彼達を…」


助手の1人が2人に近づく。



ズバンッ


ブシィィィィィィ


助手は真っ二つになり、血飛沫が舞う。


「きゃぁぁぁぁぁ!」

「な、なんだね君たち!」



「俺達?」



「俺達はSlaughter悪ではあるが悪を滅ぼす為にいる」


「邪魔をすれば一般人も容赦はしない」



空に巨大な黒い球体が降り立とうとしてる中2人の少年がそう言うと笑いながらくるりと振り返った。

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