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アメの味
夕方の教室に口にアメを銜え教室の天井を眺め椅子に座りこんでいる男。
その目の前に一人の女が立ち尽くす。
「なに?」
アメを舐めながら女の方を覗き込む男に呆れながら
「いつまでそこに居るの?」
「別に構わないだろう」
女は呆れながらも男を諭す。
「あの人はもう…」
その言葉を聞いた瞬間、男は感情が高ぶり思いきり机を叩く。
「そんなのわかっているよ!!わかっているからもうほっといてくれ」
女に向けて理不尽な怒りをぶつける。それなのに女は
「ほっとける訳ないでしょう。あなたは世界でたった一人、私の弟なのよ」
「おねぇ…」
「今日は帰るよ」
悲しそうな顔を浮かべ姉は男を促すと男は静かに頭を振り
「わかった」
男は渋々、机に掛かっている鞄を肩に掛け姉と一緒にその場から離れる。
教室を出る際、男は窓に映る空を見て
「なんで…」
男は頬に一粒の涙が零れ、口に銜えたアメに流れ込む。
「すっぱいなぁ…」
甘いりんご味のアメを食べていたはずなのに、酸っぱく苦いような感じがした。