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32話 妹の誘いの方が……

 放課後。


「ニルヴァレンさんは……」

「好きなものは……」

「前にいたところは……」


 クラスメイト達がニルヴァレンさんのところへ集まり、あれこれと質問をぶつけている。

 転入生の宿命だ。


 ただ、ニルヴァレンさんは欠片も嫌そうな顔をしていない。

 むしろ嬉しそうににこにこと笑い、積極的にクラスメイト達と話をしている。


 私もニルヴァレンさんと話をしたいのだけど……

 その前に、思い出しておかないといけないことがある。


 うーんと、考える仕草を取りつつ頭を回転させる。

 唸れ、私の灰色の脳細胞!


「ニルヴァレンさんが登場してすぐに、なにかしらのイベントが発生したはずなのだけど……」


 どんなものだったかしら?


 初回プレイでは、華麗に彼女をスルー。

 二度目のプレイでは、彼女の重要度を知り、慌てて顔を合わせていたのだけど、そのせいでヒーローの方がおざなりになってバッドエンドになり。

 その後のプレイでも、攻略サイトを頼りにしてのプレイだったため印象が薄く……

 いまいち彼女についての記憶がない。


 彼女を快く思わない人がいて……

 なにかしらの嫌がらせを受けてしまう。

 そこをメインヒロインが助けたことで友情が生まれる、という展開……だったはず。

 ただ、詳細を覚えていない。


「まあ、いずれ思い出すかもしれませんね」


 さすがに転校初日で事件は起きなかったはず。

 数日は大丈夫なはず。


 すぐにニルヴァレンさんが追いつめられるわけではないので、そこは心配いらない。

 時間をかけて思い出していこう。


 そのためにも、まずはある程度は仲良くなっておかないと。

 彼女と親しくすることで破滅を回避できるかもしれないし……


 それと、ああいう元気な子は好きだ。

 一緒にいると、自然とこちらも笑顔になる。


「クラウゼンさま」


 いざ出陣!


 というところで、クラスメイトに声をかけられた。


「はい?」

「妹さんが来ていますよ」

「フィーが!?」


 ニルヴァレンさんのことは後回し。

 なににおいても妹が最優先されるべきだ。


 私はすぐに教室の入り口へ。

 おっかなびっくりといった様子で、教室の様子をうかがうフィーの姿が。


 わかりますよ。

 たぶん、上級生の教室ということで気後れしているのだろう。

 でも、そんなところも可愛い♪


「どうしたのですか、フィー」

「あ、アリーシャ姉さま」


 私を見つけると、フィーは花が咲いたような笑顔に。

 私の妹、天使。

 天使すぎ!


 人目がなければ抱きしめて、頬にキスをして……

 それからもう一度抱きしめて、頬をスリスリしていたところだ。


 冗談ですよ?

 たぶん。


「あの……よかったら、一緒に帰れないかと思いまして」

「これからですか?」

「はい……ダメ、でしょうか?」

「もちろん、大丈夫ですよ」


 即答だった。


 ニルヴァレンさん?

 いいえ。

 それよりも妹と一緒に帰ることの方が大事。


「少し待っていてくださいね。鞄を取ってきます」

「はい」


 鞄を取りに、自分の席へ戻る。

 その途中……


「それで、ニルヴァレンさんは……」

「えっと……」


 まだ質問は続いていた。

 さすがのニルヴァレンさんも疲れてきたらしく、ちょっと笑顔がぎこちない。


 明るい性格で社交的。

 でも、まだまだ転校初日で緊張も多いはず。

 それなのに、ああも質問攻めにされては、さすがに疲れてしまうのだろう。


「……」


 鞄を手に取る。

 それから私は、フィーのところではなくてニルヴァレンさんのところへ。


「みなさん、すみません」

「え?」


 私が声をかけると、ニルヴァレンさんを含めて、クラスメイト達が驚きの顔に。


「ニルヴァレンさんのことが気になるのはわかりますし、後からとても申しわけないと思うのですが……実はこの後、私とニルヴァレンさんは一緒に帰る約束をしていまして」

「へ?」


 ニルヴァレンさんが目を丸くするものの気にしない。


「お話は、また明日でも問題ないですし……妹を待たせているので、そろそろいいでしょうか?」

「そうなんですね。ごめんなさい、クラウゼンさん」

「またお話しましょうね」

「ニルヴァレンさん、さようなら」


 クラスメイト達は素直に引いてくれた。

 元々悪気があったわけではないので、そこはスムーズだ。


「では、行きましょうか」

「え?」


 未だぽかんとするニルヴァレンさんの手を引いて、フィーのところへ。


「あ、アリーシャ姉さま! と……どちらさま、でしょうか?」

「ふふ、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。こちらは、ニルヴァレンさん。新しいクラスメイトです」

「そうなんですね。あ、私、アリーシャ姉さまの妹の、シルフィーナ・クラウゼンです。よろしくおねがいします」

「えっと……うん! 私は、ネコ・ニルヴァレン。シルフィーナちゃんも……それに、アリーシャさんもよろしくね!」


 状況を理解して、気持ちを切り替えることができたらしく、ニルヴァレンさんはにっこりと笑いつつ自己紹介をした。

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【家を追放された生贄ですが、最強の美少女悪魔が花嫁になりました】
こちらも読んでもらえたらうれしいです。


もう一つ、古い作品の続きを書いてみました。
【美少女転校生の恋人のフリをすることにしたら、彼女がやたら本気な件について】
現代ラブコメです。こちらも読んでもらえたらうれしいです。
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