トレッド街
一夜が明け、寒さも落ち着き朝日で気温が上がってきた。
ゴゴゴゴゴと重低音の音が鳴ったので目を開けてみると門番が門を開け閉めしていた。
門の近くには既に何人かの行列ができており、俺も急いで列に並んだ。
通行所なんて持っておらず、持ってない人用の列もあった。
ほどなくして俺の番がやってきた。
「名前は?」
「グレイスだ。」
「職業は?」
「旅人だ。」
「この街に来た目的は?」
「観光だ。」
「天使についてどう思う?」
「天使について?」
少し考えてみようとしたら門番の顔が険しくなった。
昨日会ったルヒエルとやらを思い出してみる。
「そうだなぁ、滑稽としか思わんなぁ。」
「合格だ、これが通行所。
無くすなよ。」
ニッコリ笑顔で通行所をくれた。
指輪タイプだったので人差し指にでも嵌めておいた。
早朝ということもあり、商店街に人は少なく、列に並んでいた人も業者ばっかりだった。
とりあえず、旅の定番であろう宿を探してみる。
周りをキョロキョロと見まわしながら探していると、『クォリタム』という宿屋を見つけた。
そこに向かい、中に入る。
「いらっしゃいませー。」
小さな女の子が迎えてくれた。
「何人ですかぁ?」
「どう見てもひとりだけど...。」
「おひとりですかぁ!
こちらへどうぞー。」
朝早くから元気だなぁと思いつつ、案内されたのは受付だった。
「おかぁーさん、お客さんだよー。」
「あいあい、いらっしゃい!
ようこそ宿屋クォリタムへ。」
「一週間ほど泊まりたいのだがお金はこれで合ってるか?」
腰にかけといた小袋から輝く金貨を見せてみた。
「あんたそりゃぁ金貨じゃないの!?
それ一枚で数年は泊まれるわい。」
「あいにくい金貨しかないんだ、一枚でいいなら、おつりはいらん。」
「おつりはいらんって言われてもなぁ...。」
「ピカピカで綺麗!」
もう一枚金貨を取り出し、女の子に差し出す。
「ほら、元気な挨拶ありがとうね。」
「わーい!」
そのまま喜んで二階へと消えてしまった。
「そうだなぁ、あんたには大盤振る舞いするってことでいいかい?」
「泊まれるならなんだっていいさ。」
「なんともまぁ、欲のない男だねぇ。
あんたの部屋は二階の突き当り。
飯は三食付いてて、宿屋内では魔法、武器の使用は禁止だよ。」
「ありがとう。」
礼を言って、さっそく部屋に向かう。
中に入ると簡易的なベッドと机が置かれていた。
「グレイス、あなた人に礼が言えたのねぇ...。」
「俺を何だと思ってるんだ。」
そんなことは置いておいて、とりあえずベッドに身体を委ねた。
昨晩木で寝たせいで身体がバキバキで痛かった。
吸い込まれるような眠気に誘われ、そのまま目を閉じた。




