4話:楽器って作れるの?
「……は~、疲れた……」
僕はすでに部屋に戻っていた。
「さすがに疲れるって……」
どっと疲れが押し寄せた、が
「これ、どう見てもまだ昼だよな~」
窓の外を見ると、太陽1つが真上に、もう1つがちょっと斜めに傾いている頃だった。
「うーん。何するか?」
とにかく暇である。
楽器吹こうにも結局王様の前で演奏した後、吹いていいか聞けなかったんだよね……
すると、
ガチャ――
「―――大丈夫ですか?」
おっ、ちょうど良い時に!
「あの……僕何かやる事ないですか……?」
ヘレナはしばらく考えた後、
「では、お城を回ってみてはどうですか?」
お城……そういえば王宮の事な~んも知らないや。
「じゃあ、ちょっと行ってきます。」
「……って、護衛の一人ぐらい付けてください!」
「……護衛、ですか?」
ヘレナはため息をついて。
「あぁ~もう私が同行しますから……」
「え?あ、なんかすいません……」
とりあえずヘレナ同行のもと、城を探索することにした。
「……何ここ」
「ここは訓練場です。多分、ユウキ様もいらっしゃると思います。」
「へ~」
……というか外なんだ。
的があって、筋トレ用のグッズもあって、祐樹からしたら至れり尽くせりだろう。
あいつ筋肉バカだし……
案の定、祐樹の姿が見えた。
「お前、異世界来ても筋トレしてんのか……」
予想していたとはいえ、さすがにちょっと軽蔑の目を向けた。
「……おぉ!あなたが勇者様の……おとも(?)か!」
俺の目の前に、ムッキムキのイカツい騎士がやってきた。
「そ、そうですね。初めまして。」
こえぇぇ……
何だこの圧力は……
まさにヘビに睨まれたカエル。
……というか、今にも食べられそうだ。
「私は国家騎士団、副団長アルベルト・シュタールであります!以後、お見知りおきを!」
おぉ……副団長か。
声色から覇気と誠実さが感じられる。
「始めまして。私は菅谷壮馬といいます。よろしくお願いします。」
すると、祐樹がやってきた。
「おっ!悠馬じゃん!」
「祐樹……お前、異世界来ても筋トレかよ……」
「しょうがね〜だろ。勇者は魔王をぶっ飛ばしに行かなきゃいけないんだろ?」
異世界来て早々物騒だな!?
魔王討伐とかできんのか?
「ホントに大丈夫かよお前……」
「護衛の人もついてくるし、何とかなるっしょ!」
なんとかで済ませて良い事なのか……?
まぁ、とりあえず元気そうでよかった。
「あ、そういえば、僕何もしなくていいんですか?」
「さぁ?私は何も聞いておりませんからな!!あっはっはっはぁ!!」
何も……か。
……てか、声デカいなぁ!流石だわ!
僕も筋トレとかするべきだろうか?
いやいや、そうなると筋肉バカ二人の異世界転移になっちゃうじゃん。
せめて、僕くらいはまともでありたいよ……?
「あ、そういえばソーマ様、魔法訓練の方も見ますか?」
すると、ヘレナが口を開いた。
「ふぇ……?魔法?」
俺は連れて行かれた。
「ここです。」
「ここは…………へ?」
体育館のような建物だ。
というか体育館だ。どう見ても。
「ここは魔法訓練場です。」
あっ、ふ~ん(察し)
「凄いね。うん。」
僕は既視感しかない建物に入った。
「―――『ファイアボール』!」
直後、ローブを着た魔法師の人の手から、赤い魔法陣が出た……と思った矢先、バレーボールくらいのサイズの火の玉が放たれた。
……ボコン!
的に命中した。
「お〜!!」
魔法ってリアルで見るとマジでよく分からんな〜
……なんか現実じゃない感がすごい。
魔法陣はちょっとよく見えなかったけど、何かの文字が書かれてるみたいだった。
「どうですか?」
ヘレナが言った。
「何か凄い!僕もやってみたい……けど」
「良いですよ?」
良いんだ……というか出来るんだ。
とは言ったものの、やり方なんて知らないんだけど?
「あの〜、魔法ってどうやって使うんですか?」
「はぁ……?そんなことも知らないんですか?」
いや知らんよ!?僕日本人だからね?
こっちの世界の常識を押し付けないでよ……
「……まずはそこから勉強ですね。」
「……はい。」
結局何もできなかった。
魔法訓練場を離れ、王城を歩いていると、
「あっ、そう言えば王様が言ってた鍛冶屋行ってないな。」
ブロンドの鍛冶屋……だっけ?
「行ってみるか……」
「ヘレナ、ブロンドの鍛冶屋って何処にあるの?」
「王城の外の街にあります。行きますか?」
「行ってみようか。」
王城外の栄えた街に出た。
「ここは宮道市街、通称バーリス街です。」
おぉ~!
地面は石のタイルで覆われていて、まるでヨーロッパの観光街に来たようだ。
異世界のこの文明の割にはとても栄えていて活気がある。現代じゃ見られない光景だ。
「すごいね~!」
「まぁ、王都最大の街と言われていますからね。」
「ここに鍛冶屋があるの?」
「はい。そこに。」
そう言って、指をさした方向には、少し洒落た小屋があった。
「ここが……王様の言ってた鍛冶屋?」
「はい。中に入ってみましょうか。」
とりあえず入ってみることにした。
「いらっしゃい!」
気前の良さそうなおじさんの声がした。
「すいません。王様直接の命令の者なのですが……」
すると、思い出したかのように言った。
「なんだったか……確かガッキとか言う物だったな。」
「そうですね。その中でも”マリンバ”を作っていただきたいと思っています。」
「マ……マリン……バ?」
「はい。」
マリンバは日本だと木琴とか言われる楽器だ。
小学生の時誰もがやるからまぁ普通は知ってるはずだけど……
「なんだそれ?」
異世界じゃ、そんな常識は通用しないようだ。
「見てみないと分からないと思うので、長さの違う木を8本持ってきてください。」
「お、おう。」
と、言うことで実際に持ってきてもらった。
「こんなんで何ができるんだ?」
「まぁ見ててください」
僕は木の棒を短い順に並べた。
そして、ノックするようにたたいた。
コンッ。
「ほら、音がするでしょう。長いほうから叩くと……」
長いほうから順に叩く。
すると低い音から高い音へ移っていく……。
「おぉ……」
「これがマリンバの大もとです。」
そしてさらに……
「お次は金属の管を持ってきてほしいです。」
「なんでもいいのか?」
「はい。」
……ということで、持ってきてもらったものがこちら。
大小さまざまな金属の管。
正直うまくいくか分からないけど……やってみるしかない。
僕は、木の棒の下にちょっと長めの金属の管を置いた。
その後に木の棒をデコピンした。
コォン、とした、さっきより響きのある音になった。
「うぉ!?なんだこれ!?めっちゃ響いたぞ!!?」
これは共鳴という現象を使っている。
後は現代のマリンバのような形にすれば、完成するだろう。
「これがマリンバの基本の構造です。」
「なるほど!面白そうだな!!」
そうでしょう、そうでしょう!
こんな叩けば音が鳴る楽器でも、意外と奥が深かったりする。
それが楽器の面白さだよね~
「よし、やってみるか!」
鍛冶屋のおじさんは意気込んでいた。
「あ、そう言えば言い忘れていた。俺の名はブレイズと言う。」
ブレイズさん……すっごい燃えてそう。
マイ○クラフトのネザーの奴じゃん。
へへっ……失礼すぎてなんも言えないや。
「……何かよろしくないことを考えてる顔だな。」
ぎくぅ……
「な、何でもないですよ〜」
「あからさまだな……まぁいい。そのマリンバとやらを作ってみよう。」
「ありがとうございます!設計図は僕が描きますので、まずはさっきの木と金属を集めてもらいたいです。」
「了解だ。」
最初の楽器はマリンバになりそうです。
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