2話:楽器持ってきちゃった……?
「こちらが部屋になります。」
僕はドアを開けた。
「おぉ……!!」
異世界にしてはびっくりするほど綺麗だ。
部屋は木製、ベットに本棚に机、そして昔らしいランプもある。
まぁまぁな広さで多分5、6畳くらいある。
すると、案内人のメイドさん(?)が言った。
「ではここでゆっくりしていてください。」
僕はそれに答えた。
「わかりました。ありがとうございます。」
と言われても、何もすることないな~
すると、メイドの人が不思議そうにこちらを見てきた。
「あの~……その背中の……箱?みたいな物は何ですか?」
あ……あれ??
こ、これは……!
「……楽器持ってる!」
しかも、トランペットとトロンボーン両方!!
うれしい……けど、いいのか?
う~ん、一応説明するか。
「……どうしました?」
「いや……えと、この箱には楽器が入っていて……」
僕はケースを開けた。
「ガ、ガッキ……??」
メイドの人は戸惑っているが、構わずトロンボーンを取り出した。
「じゃあ、ちょっと吹きますね☆」
……自分でも何でそんな事言ったんだか。言っちゃったもんは仕方ないかぁ。
「え……?」
メイドさんが唖然としている。
僕は、マウスピースで音を出した後、あのグレン・ミラーの超有名作『ムーンライト・セレナーデ』を吹く。
この曲『ムーンライト・セレナーデ』はもはや誰もが知っている超王道ジャズ曲だ。
1930か40年あたりに、トロンボーン奏者のグレンミラーが書いた曲で、もはや数えきれない人が編曲、カバーをしている。
スローテンポのゆったりとしたジャズのリズムを感じながら、若干悲しそうに、また美しく吹く。
……ま、ソロなので、自分流にアレンジを加えて少しリズムを崩しながら演奏する。
……なんでこんな悲壮感の方が強い曲にしたんだろ、僕。
有名なメロディーを吹いた後、音を止めた。
「……こんなようなものです。」
メイドさんは驚いている。
「………………」
沈黙。
「……駄目でした?」
メイドさんは口を開いた。
「いえ…………大丈夫ですが……?」
は、はぁ……
「……っと、そういえば、僕これからどうすれば……?」
肝心なことを聞き忘れるとこだった。
「……あと、差し支えなければ、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「あ、はい!私の名前はヘレナです。」
ヘレナさんね……
「わかりました!楽器って吹いてても大丈夫ですか?」
ヘレナさんは少し考えた後……
「……ちょっと聞いてみますね。」
そういって部屋を出ていった。
「……見た感じ、この世界……楽器…………無い?」
というか、音楽すらないような感じ?
まぁ、単に知らなかっただけかもしれないけど……
でも、ここは王宮だから知らないってことは無いはず。
てか、音楽知らないって何事だよ……
「どうなんだろうな……」
とりあえず、待ってる間楽譜の整理でもしてるか~。
「……って、僕学校のバック持ってんじゃん。」
あれ?あいつ持ってたっけ?学校のバック……
……気にしないでいっか。楽譜あるからラッキー。
「とはいっても暇だな~」
……ということで、部屋を見渡してみた。
「やっぱ綺麗だなこの部屋。」
窓やカーペット、椅子など、異世界でいえば高級そうなものが置いてある。
窓の外を覗くと、
「うぇっ!?」
た、太陽が2つ!!?
「気持ち悪っ、目焼けるて!」
というか、ここどこなんだ?
「本棚の所になんかないかな。」
僕は本棚を漁った。
「……お、あるじゃん、良さそうなの。」
手に取ったのは『ルドロワ王国繁栄書』という本だ。
「…………どれどれ……?」
う~ん。最初の方を読んでみる限り、この国以外に10の国があるらしい。
そのうちの8個は人間界。そして1個が魔族の住む魔界。さらに獣人族の住む獣界が1個あるみたいだ。
この国の名前は……ルドロワ王国で間違いなさそうだ。
国王は……あぁ、さっきの人か。
名前は”アドルゼルド・エドワール・ルドロワ”だそうだ。
……へぇ~、この国って鍛冶が盛んな国なのか。
鍛冶の技術は世界でも頭一つ抜けているようだ。
あとは……お、勇者召喚について書かれてるじゃん。
この世界では約80年単位で魔界に魔王が生まれるらしい。
その討伐のために勇者召喚をし、毎回倒している。
ただ、魔王軍も懲りないようで、何回でも人間界に侵攻してきている様だ。
その戦いを総合的に含めて、世界人魔聖戦と言っているようだ。
つまり、僕と祐樹はそのために召喚されたみたいだ。
まぁ、僕は間違いだったみたいだけど……
「……って、平和的解決とかないのか?」
どんだけ魔王に敵対意識持ってんの?
というか、魔王って魔界の政治的なのしてるんじゃないの?
「僕の印象では、魔王ってあんま悪い人じゃないんだよな~」
ラノベの読みすぎか……
「…………いや、もしかしたら、魔王討伐が魔族の怒りを買って、人間界を襲う。それを勇者が倒して……の繰り返しなのかもしれない。」
もしそうだとしたら、面倒くさそうだ。
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「失礼します。王様からの許可を頂きました。」
お!キター!
「結果は……?」
「……大丈夫だそうです。」
お、やったー!!
「――ただし、”王様の前で”ですけどね。」
はい……?
ムーンライトセレナーデ……誰もが知っているジャズの名曲なのでぜひ聞いてみてください!
あと、ブックマーク登録とポイントをよろしくお願いします!!




