始まりの人間に会う
第一章 ドラゴン放浪記編
※ 始まりの人間に会う
この異世界には人類未踏の地や領域がいくつかある。太古の大森林や霧の大地や天空都市など住んでいるモンスターが強すぎたり、物理的に到達不可能であったりと遥か昔から人類が踏み込めない土地や領域になる。ある意味でいえば未発見のダンジョンも人類未踏の地になるが、ダンジョン内部はころころと環境が変わるタイプのものもあるのでそういったダンジョンも人類未踏の地といえばそうなる。
長い時を経て魔法と科学が融合した文化で、地球の現代社会と似たような文化にもなっているが、魔法があり、ダンジョンがあり、地球で言えば空想上の生物が実在する。巨人、エルフ、ドワーフ、ドラゴンなど現代まで存在し続けて人間社会で共存している者が多い。一方で人間社会ではなく同族だけ集めて国を作っている者もいる。また、人が寄り付かないような土地で細々と暮らしている者もいる。
ゴブリンといえば剣と魔法の異世界ファンタジー系の話で初期に討伐される雑魚キャラという役割が多い。弱いが繁殖力が高く人間を襲うという役割もあるが、この異世界でもゴブリンは存在している。彼らは弱いが滅びなかった。人間社会で共存していると言えるが、全体的に見るとどちらかというと社会的地位は低めではあるが労働力として考えると人間社会に欠かせない存在となっていた。
一般的なゴブリンは知性は低めではあるが、人間よりも丈夫で力も強く繁殖力も高い。単純作業や力作業をする労働に対して適切な存在ではある。またアダルトな業界で活躍しているゴブリンも多くいる。
彼らはその社会的地位に満足しているし、不満も少ない。大昔のように洞窟などで繁殖して人間やその他のモンスターなど外敵に怯える生活よりもましというものだ。
また、優秀なゴブリンも存在しており、ゴブリンはゴブリンの特性を最も把握しており、世界トップ10に入る建設関係の会社を運営する建設王と呼ばれるゴブリンもいるほどである。
オーク、ドワーフ、ゴブリンが連盟を作り建設業に進出したのは遥か昔であり、その裏には神にも等しい力を持つエンシェント・ドラゴン・レペンが助言をしたというのが、先祖代々幼い頃から聞かされている事実である。歴史的事実でいえば、大昔に人間という種族と、異種族との間で大きな戦いがあり、その際にオーク、ドワーフ、ゴブリンは連盟を作り人間に対抗しようとしていた。その大きな戦いというのが、実のところ神々の意思による代理戦争であり、それを気に食わないレペンが神を殺しきり、経緯を知らせて戦いに向ける矛先を変更した結果、連盟が建設業という方向に向かったのであった。その当時、既に代理戦争の傷跡もあり、復興作業という需要があったために、難しいことを考えなくとも仕事があったし、普通に儲かったという歴史がある。
そんな彼らに定期的に依頼がある。それは危険地域に壁を建設するというものであり、そこに住んでいる魔物などの脅威度で考えると壁などあまり意味がないが安心感がほしいらしい人間の考えで定期的に壁の補修や建設の依頼が入るのである。
太古の大森林に俺はいる。ゴブリンたちが壁を修繕したり、増築していたが、上空はがら空きなのだ。この森で空を飛ぶモンスターは普通にいるが、太古の大森林と言われている地域からあまり出ないので、問題がないとされている。実はそんなことはないんだが、彼らというか自然環境そのものがあるものを守護している自然界の機能なのだ。言ってしまえば、行き場のない種族たちが集まってできたのが、この大森林なのだ。主に幻獣と呼ばれる奴らのオアシスになっているが、その事実を知るのは極小だろう。ちなみにだが、俗世を捨てた人間も住んでたりする。なおこの森に踏み込む際にこの大森林自体が選定しているので異世界らしい自然の機能なのである。
ここに来たのは、人類の祖先、始まりの人間とも言われている人間種がいるからである。仙人とか賢者とか呼ばれる類の変わった人間たちだが、太古の大森林の中で生き抜ける程度には強い。
ただし、彼らが人間社会に戻ることはない。入るのに選定があり、一度入り込むと出ることは不可能というのが、特性である。
「レペン様くらいですよ。この大結界を自由に出入りできる生物は」
「いや別にお前達もやろうと思えばできるだろ」
あくまでも、自然の機能として結界みたいな機能が働いているだけであり、その機能を抜ける方法はいくつかある。極端なことをいえば一度宇宙空間まで抜けてしまえば太古の大森林の機能は宇宙空間まで適応されていないのだ。
ここに来た理由は、彼らは神を憎んでおり様々な方法で神を殺したり、封印したりと神を観察して管理してやろうという気概を持っているので情報交換のために来たのだ。彼らは太古の大森林からは出られないが、外部にアクセスはできるのだ。
情報交換をして、しばらくは問題ないという判断ができるものだったので俺はさっさと帰ることにした。
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