第肆八回戦!!歌舞伎の元祖
第肆八回戦!!
世界代表!剣仙の愛弟子、ペク・トンス!日本代表!歌舞伎の元祖・出雲阿国!
李氏朝鮮の剣士が現れる。彼が現れる所以はその身体に障がいを持ちながらも時代の頂上に立った剣士だからである。
対するは白衣に緋袴を着た女性。彼女は出雲大社の巫女であり、その巫女舞は一種の芸能として認知された歌舞伎の生みの親である。
第肆八回戦、開始!!
シャンッと音を鳴らしながら榊と鈴を両手に持って踊り出す出雲阿国。
彼女の舞に合わせてどこからともなく音が聞こえ出し、場を支配する。
出雲阿国には強化をペク・トンスには弱化を。
少しづつであるが確か効果を発揮し続ける空間が形成された。
ペク・トンスは腰に差した剣を抜くと一閃する。
目に見える速度の振りだったが鈍い音が鳴りバキバキと音を立てながら斬撃が飛んだのだ。
障がいがあるが故に高速の抜剣は出来ないペク・トンス。しかし、それを補うように精錬され重く力強い剣技から放たれる斬撃は空気を押し潰しながら割り切り、出雲阿国に向かって飛ぶ。
舞踏の領域に斬撃がぶつかり共に弾ける。
出雲阿国は踊り続ける。強化と弱化の空間が再形成される。
ペク・トンスは何度でも剣技を放ち領域を破壊する。
出雲阿国は踊りだけで歴史に名を残し、語り継がれた伝説の巫女。その巫女舞は神域に達し人の目を惹きつけ離さない芸能である。
ペク・トンスはハンディキャップを背負いながらも剣技だけで頂上に達した武官。障がい者だからこそ他人よりも努力し常人よりも強くなった剣士は剣仙の教えを受け、仙域にも届く剣技を有する。
神域の舞による防御と仙域の剣技による攻撃。
双方の攻防は拮抗し、停滞する。
踊り続ける彼女は徐々にだが踊りが激しくなっていき巫女装束が崩れていく。
剣技を放ち続ける彼は少しずつ疲労していくが少しずつ威力が上がっていく。
弱化しているはずなのに強くなるペク・トンス。
強化しているが唯一の装甲である巫女装束がはだけていく出雲阿国。
それは急に起きた。
出雲阿国の巫女装束がはだけてしまい卑猥な格好になった瞬間だった。
出雲阿国に天から閃光の柱が落ちてきた。
ペク・トンスの攻撃ではない。
閃光が収まると出雲阿国が出てきた。
金色に輝く後光を背負い神々しい気配を放つ出雲阿国。
いや、今、出雲阿国は神域の舞を踊り続けたことにより神降しを成し遂げたのだ。
芸能の神、アメノウズメをその身に降ろした出雲阿国の舞はまさに神の舞踏。
強化と弱化の空間は身内を受け入れ外敵を弾き出す空間に変わり、空間に剣越しに触れたペク・トンスを弾き飛ばす。
壁に叩きつけられるも、まだ意識を保つペク・トンス。
さらに踊り続ける出雲阿国。
容赦なく広がる空間は会場一杯になりペク・トンスを弾き、壁に押し付けて潰そうとする。
延々と弾かれ続けるペク・トンスは遂に意識を飛ばし地に倒れたのだった。
当代記・松平忠明
「出雲阿国は伝説上の人物である。彼女は生存時期でも実在不確かな人物であったとされる。
だが、伝説化したことによってより神に近付いけたのだろう。」




