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第一回報告会議

 王都で聖女様に会ってから丁度一か月経ち報告の為に皆が我が家に集まった。聖女様にはこの後ポンタさんが別途報告に行くのだが、まぁそれは形式上の話だろう。イストさんにはきちんと伝えるそうだ


「それじゃあ、第一回報告会議を始めるよ~」


 タンドさんが爽やかに宣言する様子はどこかの国の公共放送の歌のお兄さんの様だ。今回の参加者はポンタさん、タンドさん、ナティさん、そして俺達四人だ。あっスラちゃんも同席してます


「タンドさん、もう少し威厳というか格式というか・・・」

「ん?智大君。難しい事を言ってると禿るよ?」

「は、禿げる!?」


 まぁこの人はもうしょうがないだろう。今回は一回目だし大した報告も無いだろうからもういいや


「まず、儂からじゃな。流石に一か月では大したことは出来ていない。獣人族を各地に派遣して調査を始めたが移動だけでも時間が掛かるからの。教団側も同じようだ」

「僕の方も大した情報は無いね、エルフは移動に時間はかからないけど基本森の中で暮らしているから情報が入ってこないね。精霊に頼んで森や周辺で異常ないかは調べて貰ってるよ。ギルドの方は調査依頼を出すには内容が曖昧だから噂話を集める程度だね」


 う~ん情報伝達や移動に時間が掛かるこの世界じゃあしょうがないけど一か月では準備期間みたいなもんだな


「では、私の方から面白い情報を出しましょうか」


 ナティさんがいつもの執事服で(うやうや)しく礼をした後に告げる


「王都のスラム街と帝国の反主流派に行方不明者が増えております。後は墓が荒される事件が多くなっておりますね、基本は獣の仕業と思われていますが森の実りなどが不作になっている話も聞きませんので怪しいですね」

「魔族の人まで協力してくれてるの? 流石に目の付け所が違うね」


 ポンタさんはナティさんが挨拶に行っただろうから知っているだろうけど、そういえばタンドさんに紹介していなかったな


「これは失礼を致しました。私、魔王様の執事を致しておりますナティと申します。この度はローラ様との盟約により調査のみとのお約束ですがよろしくお願いいたします」

「えっと、ナティさんてひょっとしてドゥルジ・ナース?」

「その様に呼ばれていた事も御座いますね。ですが今は姫様に仕えるしがない執事ナティでございます」


 その言葉にタンドさんは両目を手で覆って勢いよくソファの背もたれに身体を投げ出す。


「君達、判ってるの?ローラさんは知ってるよね?」

「今、そやつが自分で言ったであろう。それ以上の事は昔の話じゃ」


 はぁって感じでため息をつくタンドさん。ナティさんが頷くのを見て同意を得てから、訳が判らずキョトンとしている俺達に教えてくれる


 この世界には色んな神さまが沢山いる。その中でも強い力を持つ八柱の神々はあくまでも代表的存在ってだけで、同じように力を持つ存在は他にもいる。その中でもかなり力のある存在、魔族の創造神と言われる名もなき神がいる。因みに彼が魔王の後ろ盾になっているとも言われている


 その魔族の創造神が魔王の他に力のある存在として生み出した者達、七大魔族と言われている存在がいるのだがその内の一人がドゥルジ・ナース。つまり目の前にいるナティさんって訳だ


「へー、ナティさんて凄い人だったんだ」

「いや、智大君。その程度の話じゃ・・・。ってもういいや、只の執事さんでいいんですね」

「はい、そのようにしていただければ幸いです」

「にゃはは、少年。お前は大物だよ」


 俺の言葉にタンドさんとナティさんが驚きの表情を浮かべたのだが、その後満足そうに頭を下げるナティさんと楽しくてしょうがないっといった感じのローラさんに、良く判っていない俺は頭には?マークが沢山浮かんでいた


「話がずれたね。行方不明者達と墓荒し、これをどう見るかだね」

「墓荒しは簡単ですね。次に召喚される邪人たちにアンデッドが混ざるのでしょう。死霊術士がいるのか邪人で死体を操るのかまでは不明ですが、まず間違いないでしょう」


 伶があっさりと答えたのだが、俺でも予想が付いたぐらいなので、みんな頷いている。


「問題は行方不明者じゃの・・・」

「可能性が高いのは、生贄か奴隷。次点で改宗して邪教徒になった。その辺だと思いますけど」

「調べた感じですと、スラムの住人については前者でしょうね。反主流派でも貴族などは邪教徒に協力している可能性は有ると思いますが改宗までは微妙ですね」


 邪神を祀って邪教徒になる。何かしらのメリットが有るのなら判るのだが、邪神の祝福が人間の求める幸福に結びつくイメージが全く湧かない。しかし、邪神が力を盛り返しているのであれば信仰が力になっている可能性が高いのだ


「う~ん結局は可能性止まりかな?」

「そうじゃの、今の段階で決めつけるのも良くないだろうね。

「うむ、まだ調査も始まったばかりだからしょうがないだろうな」

「おそらく邪教徒達は近いうちにアンデッドが係る行動を起こすと思います。その兆候を早めに見つけて計画を潰したいですね」


 邪教徒たちの規模や目的等調べる事は沢山あるのだが、出来る事なら被害が出る前に計画を潰してしまいたいのも確かだ。今までは後手に回ってしまっているので、どうにか先手を打ちたいところだ


「アンデッドの活躍し易そうな所ねぇ~」

「薄暗くて日の射さない場所でしょうか?」


 伶の言う通りアンデットは薄暗い所にいるイメージだ。海岸で肌を焼く日焼けしたゾンビなんて見た事無い。でも松○しげるがアンデッドになったら・・・


「下水道から現れたゾンビに襲われて感染しちゃう映画って在ったよな~」

「はわわ、そんなの防げないじゃないですか。怖くてトイレに行けなります。あっでも騎士(ナイト)様がいればゴニョゴニョ・・・」


 ちょっと会議に飽きていた俺は、皆の話も聞かずに元の世界にいた頃の事を思い出し色々妄想していた。そして俺が言った一言に皆が振り返る。・・・若干一名違う反応をしているがスルー推奨だ


「そっか、そんな使い方もあるのか。どこの街も下水道の出口なんか警備してないよ」

「それに、下水道のある街なんて幾つあるのか・・・」


 あれ、何か皆深刻に考え出しちゃった。今更、話聞いてませんでしたとか言えないぞ・・・


「キュベレー様にお会いするのが宜しいかと思いますが」

「そっか死と再生を司る神さまね。何か知ってるかもしれないね」


 キュベレーって神さまがいるのね・・・てっきりあれかと思ってしまったよ


「智大・・・一応あれの名前の由来はその神さまだけど、もう少し真剣に考えてね」


 俺の考えてた事を見抜いた伶が優しい口調で語りかけてくる

 しかし、その目は非常に冷たい目だった

 そう、あの方のと同じ目だ。その目からは「黙れ!、俗物!」と聞こえるようだった


 何故かゾクゾクする物を感じつつ、ごめんなさいと謝っておいた


今まででてきた神さま達は実際に存在する神話から選んでます。

多少の改編と拡大解釈は有りますが事実に基づいています。


特に次話は神さまの話が多めなので調べてみると面白いかもしれません


読んでいただいて有難う御座います

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