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スラちゃん無双への道

 調査団からの報告が来るまでの一か月の間、他の三人は色々活動しているようだが、俺は基本的に訓練と基礎体力作りに励んでいた。ゴーレム達と集団戦の訓練やロダの魔境へ足を延ばす事もあった


 魔境へ行くときは相棒に、この度正式に命名されたサファイアゴーレムの『ブルーベル』とスラちゃんが付いてきてくれる。


 スラちゃんは先日の魔王様(呑兵衛)が来た時に鍛えれば強くなるとのお墨付きを貰った。なんでも妖魔は、一応は魔族の扱いになるらしく歳経た妖魔であれば魔族と変わらない強さを手に入れる事も可能だというのだ。もっともそのレベルになる妖魔は殆どおらず、あくまでも可能性が有るというだけだそうだが


 取敢えず強くなる為には、より多くの魔力を溜め込んで進化する事が大事らしいので魔境に行く時は積極的に連れて行っている。どんな進化をしてくれるのか今から楽しみだ


「きゅっきゅっきゅ~う♪」


 最近あまり構ってやれなかったので魔境へ出かけるときはご機嫌なスラちゃん。ユースティティア様(行き遅れ)からのギフトを貰う時はそんなに強くなると思っていなかったのでギフトで貰ったスキルは主にご飯の為である。


 スラちゃんの食事は魔力なのでその辺に漂う魔素からでも魔力を取り入れる事が出来るのだが、魔物や魔石からでも自分で消化して魔力にして吸収できる。食べきれない時用に『収納』を貰っておいた。


 あとよく考えずに魔素から魔力を得る時にスムーズになるかな?位のつもりで貰った『魔力変換』が思わぬ効果を生んでいた。どうやら自分への攻撃をある程度魔力に変換しているようなのだ。普段スラちゃんを前に出す事は無かったので判らなかったが、偶然通った攻撃に無傷だった事で判明したのだ。もちろん攻撃の一部だけなのでスラちゃんの防御力を超えるダメージは通ってしまうので、なんでも無効に出来る訳ではないだろう


 理想の進化は攻撃を受けてもダメージを負わず、相手の攻撃を魔力に変換して魔法を使えればスラちゃん無双への道が開けるだろう。もっとも今のスラちゃんは魔法が使えないのでこの先どうなるかは判らないのだが・・・


 そんな感じで魔境で魔獣に出会った時はスラちゃんも攻撃に参加している。まぁペシペシ叩いているだけなのでダメージは与えてない。代わりに敵だと認識されていないのか、攻撃されることも無い様だが足元にいるので蹴飛ばされたりはしている


 実質俺とブルーベルで倒した魔獣を、スラちゃんが収納に入れてゆっくり消化していくので、たぶん魔力は溜まっているだろう。俺は訓練になるし、ブルーベルは学習、スラちゃんはお食事と無駄なく効率的なサイクルが生まれていた


「さて、もうそろそろブルーベルの魔力も少なくなってきたかな?」


 そう投げ掛けた言葉にブルーベルが頷く。本当によく出来たゴーレムだなこいつ・・・


 魔法の鞄から取り出したエルフの鈴を鳴らすと、目の前にドライアドが現れる。


「いつもご利用ありがとうございます。ポイントカードはお持ちですか?」

「いや、無いです、ってどこで覚えたんだよ!」


 てへへって感じに笑うドライアド。何故か変に元の世界の知識が流通し始めている気がする・・・


 少しもやっとした気分を抱えつつ森のトンネルを抜けるといつもの場所に抜けるので馬車に乗り込み町に帰る。




「やあ、お邪魔してるよ」


 家に戻るとタンドさんが一人で紅茶を飲みながら(くつろ)いでいた。勿論、素のままの軽~いタンドさんだ


「タンドさん・・・一応家主が留守ならもう少し遠慮とか有ると思うのですが・・・」

「ん~気にしない。僕と君達の仲じゃないか」


 どんな仲なら家主不在の家に勝手に上がっていいのだろう?と思いつつも、どうせ言っても、のらりくらりとはぐらかすだけだろうだから気にしないでおく


「そうだ、タンドさん。スラちゃんに魔法を教える事って出来ます?」

「ブッ、君も変なこと考えるね~。魔法を使えるスライムは偶にいるけど、スライムに魔法を教えるなんて聞いたことが無いよ」


 飲みかけの紅茶を吹き出しそうになりつつもタンドさんが教えてくれる


「そっかやっぱり無理か~」

「う~ん、智大君は魔法と魔術の違いは判るかな?」


 そんなややこしい事が俺に判る筈も無く、タンドさんも判っていて聞いてきたのだろう説明を続けていく。


 魔法→使う人間のイメージでなんとなく結果が出る

 魔術→体系化された理論や原理に基づいて結果を出す


 という違いが有るらしい。


「便宜上どっちも魔法って呼んでいるけど、得られる結果と使用するのは魔力って点では一緒。だけど過程が違う感じだね」

「過程、ですか・・・」

「うん一般的には魔術の方が効果は高いけど複雑、自由度の高さや簡単なのは魔法だね。でもローラさんの様に内包する魔力が強ければ話も変わるし一概には言えないだよね。ただ魔術士はその先に魔導士や賢者になる人もいるね、最終的には魔力の使い方や知識を極めた者って感じになると思う」


 確か伶の称号に『賢者』が在った筈・・・でも魔法を使えない俺にしてみれば、さっぱり意味がわからない。


「う~ん。ローラさんが使ってるのはそのまんま魔法だね。どうすればいいなんて判ってないけど、こういう結果が欲しいってのをイメージしてる。対して伶君の使うのは魔術だね。こういう過程を経るからこの結果になる筈って考えて魔力をいじってる感じがするね。」


 それは単純に本人の性格じゃないのか? う~ん更に判らなくなる、でも蒸留は出来るけど醸造は出来なかったのと関係が有るのかな?


「スラちゃんに魔法なり魔術なりを教えるにしてもどっちのやり方がいいかスラちゃんの知能しだいだよ」


 頭に?マークが浮かんでいる俺をみて苦笑いしながらタンドさんが、そう教えてくれた。スラちゃんは一応こっちの言ってる事は判っているみたいだから知能は高いと思うんだけど、機会を見て二人に相談してみよう


 テイムしたのが俺だからスラちゃんも魔法が使えないとかならどうしよう・・・でもスライム魔導士とかスライム賢者とか新しいな、大魔法使いスライムとかでもいいかな?


 兎も角(ともかく)スラちゃん無双の為にはあらゆる可能性を模索しなければいけないな。だってスライムがドラゴンを倒すとか見てみたいじゃないか


 あぁどっかの世界にはドラゴンと盟友になったスライムがいた様な・・・いやいや、気のせいに違いない。考えすぎると大人の事情に引っかかる気がするのでやめておこう


 それに、戦えなくたってスラちゃんには行き遅れの女神さまだって癒す特別な力が有るんだからいいのさ、可愛いは正義だよね


いつも読んでいただいて有難う御座います


スラちゃん無双・・・やってみたいかも!?


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