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ポンタの受難~3

 結局、有耶無耶のまま謁見は終了となったのだが、教団上層部への見栄の為だけの物だった様なので問題ないらしい。重要なのは謁見したという事実だけって訳だ


 別室に移ってもポンタさんの首には聖女様がぶら下がったままだ。嬉しそうに笑顔を浮かべキャッキャッと騒いでいるミデア様を、困惑しつつも落ちない様に片手で支えてあげているポンタさん。


「ささ、聖女様。こちらの御席に移りましょう」

「やー、くまたんといっしょ!」


 メイドさんが聖女様を席に着けようとしているが本人はポンタさんから離れる気はないようでイヤイヤしながら余計ポンタさんにしがみつく。イストさんはというと、ニコニコしながら見ているだけで役に立ちそうもない


「ふむ、話が進まなくなるしこのまま進めようかの」


 ローラさんの言葉に皆が頷く。一人ポンタさんが憮然としているが聖女様が顔を覗き込むと、ちゃんと笑顔で返すあたり満更でもないのだろうか


「それではミデア様。ユースティティア様からの御神託の内容をお話しいただけますか」


 イストさんが聖女様に顔を近づけて優しく語りかける。どうやら聖女様の名前はミデアというらしい。


「ゆーすててあ?だ~れ?」

「この前話していたお姉ちゃんの事ですよ」


 確かに三歳児にユースティティアとは言い辛いか・・・でもお姉ちゃんって


「うんとね~ティアお姉ちゃんがお願いがあるって言ってたの。聞いてくれたら、くまたんに会わせてくれるって言ったの、だからミデアはいいよ~って言ったの。」

「お聞きのとおりです。聖女様のご英断により教団としてポンタ様の戦士団に全面的に協力させていただきます」


 イストさんがうちの子凄いでしょうって感じでドヤ顔で宣言するが突っ込みどころが多すぎる・・・


「え~とユースティティア様が言うお願いの内容はご存じなのでしょうか?」

「知りません」

「で、では教団上層部の許可は?」

「要りません」

「今回はエルフやギルドも参加するのですが?」

「どうでもいいです」

ユースティティア様(行き遅れ)をお姉ちゃんて・・・」

「関係ありません」

「すべてはミデア様の御心のままに!」

「「「御心のままに!」」」


 伶やタンドさんの質問に短く一言で否定するイストさん

 最後の一言をメイドたちが全員で復唱した時点でこれ以上の質問を諦めた

 なにこれ?ミデア教の信者様?



 実はミデア様、八柱教団の教皇のお孫さんだという。もっと小さい頃から神さまと会っていた様でよくそんな話はしていたらしい。しかし、まさか本当に神様と話しているとは誰も思っていなかったのだが、ユースティティア様からの神託もあり事実が発覚したようだ。・・・あの女神さま可愛い物大好きだからな


 発覚した後はイストさんやメイドさん達のお世話係を、そのまま聖女様付きとして教会本部で雇ったらしい。教皇は世襲ではない為、いづれ政治利用されてしまう可能性があるので、それを防ぐためにイストさんを枢機卿に格上げして守ろうとしているのだろう。謁見とか見栄を張ってまで権威付けを優先するのはそういう理由が有るらしい


「それじゃあユースティティア様から依頼された調査団はトップを聖女様、実務をポンタさんが仕切る形にして教団、ギルド、エルフ達がサポートするという形が良さそうだね」

「ご配慮いただいて感謝します。ポンタ様は月に一度は聖女様に経過をご報告してください」


 タンドさんとイストさんで原案がまとまっていく。ポンタさんが行う経過報告はミデア様とのお茶会だ。なかなか自由な時間を取れないミデア様の為にイストさんが捻じ込んだ条件だった。


「儂が仕切らんでもタンド殿でもいいんじゃないか?」

「にゃはは、ポンタ諦めろ仮にも戦神レシェフの戦士団の代表だぞ。ギルドの長ではつり合いが取れん」

「くまたん、私と会うのいや?」


 ローラさんの説得よりミデア様の上目使いに負けたんだろう渋々頷くポンタさん。しかしミデア様には笑顔で「そんな事無いよ~」とか言っているあたり案外、子煩悩なんだろう


「はぁーしょうがないか・・・それでは各会派より人員の派遣を頼む。取り合えずは不可解な事件や魔物の異常発生等に絞って調査しよう」

「あと、正体不明の集団の報告とかも欲しいですね」


 細かい実務をポンタさんとタンドさんで詰めていく。教団側はポンタさんに丸投げするので指示だけくれればイストさんから報告を受けた教皇が動くみたいだ。うわっ聞いただけでも大ごとだよコレ・・・


「え~と調査団の立上式はいつにしましょう。大々的に発表しませんと・・・あっ国王様にも出席をお願いしなければ」


 盛り上がるイストさんをよそに、ポンタさんの顔が引きつる。建前上、王国は種族差別の撤廃を掲げているが、実際には公式な場ましてや国王の前に獣人族がいる事はほぼない。


「ポンタさんご心配なく。イスト様、残念ですが隠密での調査ですから発表する訳にはいきません」

「それではミデア様の御活躍が・・・」


 ポンタさんが明らかに安心した表情になる

 そりゃそうだろう、俺達と会わなければ辺境の集落の長でしかなかったのが僅か三か月くらいで王様と会うなんて考えられないだろうな


 しかし、そんなポンタさんを奈落に落とすのが趣味の人がいる


「心配するなポンタよ。問題解決の暁には世界を救った英雄の一員として大々的に発表されるからの」

「・・・」


 ローラさんのキツイ一言。 まぁそうなるだろうね。ご愁傷様ですポンタさん


「くまたん、私の騎士様。おねがいね」


 ミデアさんの笑顔に答えたいポンタさんであったが流石に引きつった笑顔だった


少し前にあった森の熊さんの替え歌騒動

あれからヒントを得てどうしても書いてみたくなりましてと次のお話しへの繋ぎです

クマさんと幼女の組み合わせ・・・結構可愛いと思うのですがどうでしょう


いつも読んでいただいてありがとうございます

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