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伶の天敵

ルビの振り方がやっとわかったので使ってみました

「少年、すっかり強くなったの」

「ええ、レシェフのおっさんのおかげです。神眼とかスキルの使い方が判ってきたような気がします」

「そうね見ていても安心できるわ。一対一ならほぼ大丈夫そうね」

「まぁ、今回は(バカ)君様が間抜け過ぎたけどな」

「にゃはは、確かにあれを基準にするのはどうかと思うな。少年よ慢心しないようにな」


一夜明けてタンドさんに呼び出された俺達は案内された部屋で寛いでいた。依頼を達成した事の報酬の内容も話さなければいけないが思っていたよりも簡単に片付いた事で俺達の表情は明るい


あの後、(バカ)君様は伶が魔法で回復しておいた。仮にも神さまサイドの種族だし遺恨が残ると困るしね。

ただ、(バカ)君様は父親である先代のアクバルさんが激怒してアクバルの名前は剥奪された上に勘当されたらしい


本来は世襲ではなく部族の中から夜叉に進化した者が名前と長を継ぐのだが、息子が進化したことに喜んだ先代が先走って跡を継がせたらしいのだ。長に復帰した先代のアクバルさんが迷惑を掛けたと正式に謝罪もしてきた事で特に種族間の問題には発展しなかった


待っている間にこの世界の名前についてローラさんが教えてくれる

普通の名前は三文字

アクバルさんの様に『森の神霊』とか種族に関する事を受け継ぐときは四文字

この世界で初めて会ったラクトリンさんの様に世襲で受け継ぐ場合は三文字+二文字の五文字

王侯貴族みたいな偉い人たちは三文字+ファミリーネームになるらしい


ん!?そうするとチュータ(仮)さんはどうなるんだろ?四文字だよな

やばい。いまさら名前聞けないぞ…ひょっとしてまた人の話聞いてなかったのか!?

うん、もう(おさ)で通そう。


俺がどうでもいい決意をしていたらタンドさんが部屋に入ってきた


「待たせたね。無事依頼も果たしてくれたし報酬の件を話そう。まずはギルドとして金貨で三十枚。それにエルフとして隠れ里へのフリーパスでどうだろう?」


金貨三十枚は単純に嬉しい。ロダの魔境で稼いだ金額と合わせれば金銭的な心配は暫らくしないで済む。

でもフリーパスの方はどうなんだろう?いまいちメリットが無い気がする


「来た時に通ったろうけど、エルフの隠れ里に入るにはドライアドの道案内が要るんだ。そしてドライアドはある程度の大きさの森ならば何処にでも道を開いてくれるんだよ」

「つまり?」

「まぁ簡単に言うと隠れ里を使ったショートカットが出来るって訳さ」

「???」


事も無げに言うタンドさんの言葉に理解が追い付いていない俺。

苦笑いしつつ説明してくれるタンドさんによると、例えばこの隠れ里と宿場町の隠れ里はドライアドの道で繋げる事が出来るとの事。そして森を出れば宿場町まですぐ行ける。そうするとルクテと宿場町の本来一週間以上かかる道のりが一日で移動する事が可能だというのだ


「君達はこれから各地の神殿を回るんだろう。エルフの隠れ里はあちこちにあるからさ便利だと思うよ」


お~それは便利だ!と理解した俺を伶とローラさんが残念な子を見る様に視線を向けてくる。

こら、スラちゃん!俺を慰める様に頭を撫でるのはやめなさい。それじゃあ本当に残念な子になってしまうじゃないか


「お嬢さん。報酬としてはこれで満足かな?」

「はい。ご配慮いただいて感謝します」


金銭的に余裕が出た上に旅路が短縮されるなら旅費も少なくて済む。これなら直ぐにでも試練の旅に出る事が可能になるだろう。一度獣人さん達の町に戻って準備をしたら次の神殿に向かうとしよう


俺達はベジンさんとタンドさんに挨拶をして馬車に向かうとそこには旅支度を終えて待っているハルカさんがいた


「お待ちしていました。これから宜しくお願いします」


何の事か判らず目が点になっていると見送りに来たタンドさんが意地悪そうな笑顔を浮かべる


「どういう事でしょう?」

「どういう事って、使徒様の補佐をするって言ったじゃない」

「あれは建前ではなかったのですか?」

「いや~その積りだったんだけどね。ほら例のが(バカ)君様が勘当されちゃったじゃない、それで修行のために世の中を見て回るって事になったらしいんだよ」

「………」

「そうすると使徒様に会う事も有るじゃない?その時にハルカちゃんが居ないとエルフが嘘を言ったことになっちゃうからさ」

「あの…ご迷惑でしょうか」


伶が問い詰めるとまた歯をキラーンと輝かした笑顔のタンドさんと困り顔のハルカさんが答える


「私も助けて頂いた分お役に立ちたいですし世界も見てみたいです。そ、それに戦っていたトモヒロ様が素敵だったからもっと良く知りたいと…キャッ私ったらなんてはしたない事を」

「ふむ、ハーフエルフなら寿命も長いし寂しくはなくなるの。何とか伶の目を盗んで…」


顔を押えて赤くなるハルカさんと何か悪巧みしているローラさん…

伶は伶で何とかハルカさんの同行を拒否しようと必死に考え込んでいる


スラちゃんが伶の肩に飛び移ると慰める様に伶の頭を撫で始める

うん、スラちゃんは気が利いて可愛いな。

そして伶、もう諦めろ。外堀は既に埋まってしまっている


たぶん伶にとってタンドさんはいわゆる天敵だな

口のするとこちらにとばっちりが来そうなので黙っておく事にしておこう…


いつも読んでいただいて有難う御座います

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