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エピローグ

「ほら、智大!速く準備しないと間に合わないでしょ」

「判ってるよ~って、もうこんな時間か!ヤバい直ぐ支度する」


 そう言って読んでいた『異世界転移で俺Tueeee!~美人な嫁が沢山出来ちゃいました~』の三巻を放り投げると慌ててクローゼットから礼服を出して着込む


 高校の時は制服で良かったのだが卒業すると礼服になるのが面倒臭い。買ったばかりで着る機会が少ない礼服に袖を通すと慌てて伶の部屋に飛び込む


 既に淡いオレンジ色のカクテルドレスに身を包んだ伶が、何が入るのか判らない小さい鞄を片手に準備万端で待ち受けている


 二人の服装からも判る通り今日は結婚式なのだ。それに出かける為、時間厳守を言い渡されていたのだが昨日発売のラノベに夢中になってしまい時間を忘れてしまっていた


「もう、こんな時くらいしっかりしてよね」


 そう言って鞄を持つ手とは反対の手に杖を握る伶。俺は自分と伶の靴を両手に持って準備が出来た事を目で訴えるが・・・


「プッ!」


 色々想像して思わず吹き出す俺に伶が怪訝な表情を向けている


「いや、緊張して固まってるポンタさんを想像したらさ」

「もう。そんな事言ったら悪いじゃない。行くわよ」


「「転移!」」


「あ~やっと来た。もう、遅いです~もう始まっちゃうですよ~」

「よ!久しぶり」

「久しいと言うか三日ぶりじゃの」


 転移で獣人さん達の集落に来た俺達をハルカさんとローラさんが出迎えてくれる


 エルフの伝統衣装を着込んだハルカさんと、あまり普段と変わっていないが若干仕立ての良い服を着ているローラさんが礼のドレスに注目している。服飾の技術は俺達の世界の法が優れているのだからしょうがないだろう



 って、何普通に話してるって?元の世界に戻ったらこっちには来れない筈じゃないかった?


 フッフッフ!何事にも裏ワザが有るのだよ。それにアスタルテさまは座標の特定が困難と言っただけで戻ってこれないとは言っていないのだ!。


 宴会の最中にローラさんと伶がいなくなった理由。それは座標を特定するためのビーコンの作成の為だ!


 この魔道具は無数にある平衡世界全てに微弱な信号を常に発信している。これと対になる魔道具を持っていると転移の際の座標設定が必要無くなると言う優れものだ


 実際、転移魔法の魔力消費の内訳はその座標設定の難しさに比例するのだ。行った事が無い場所に行けないとか距離が離れると消費が大きくなるのはその為だ


 しかし、座標設定を魔道具で解決してしまえば短距離転移と同じ魔力消費で転移できてしまう。それが俺達の世界とこの世界を簡単に行き来出来ちゃう絡繰りなのだ


「なに一人でドヤ顔してるのよ」


 おっとツッコミ入ってしまった。


 勿論、ビーコンさえあればいいという訳では無い。最初の報酬の様にスキルが消えてしまえば当然魔法が使えなくて転移できない。それに俺達の世界は殆ど魔素が無い。その為こっちの世界で魔石に魔力を溜めた物を持って行かないと魔法が使えない


 そして最難関だったのが異世界からの魔法の干渉だ。アスタルテ様が言っていた様に俺達の世界にも神さまがいて管理している。この管理が違う世界に魔法で干渉する事は基本的に難しいのだ


 偶に迷い込む異世界の人間は偶々世界の裂け目に巻き込まれただけだし、勇者の召喚魔法等特定の魔法での召喚には莫大な魔力が必要になる


 唯一許されているのが神様同士の交渉らしい。アスタルテ様が俺達を呼んだ時もこっちの神さまに断ってから行ったらしい・・・虎屋の羊羹とか持ってくのが良いらしいぞ


 んで、今回俺達はそこをどうクリアしたのか・・・思い出してほしい。そう、主神と取引したのだ!こっちの世界の主神が頼み込めば限定的な転移魔法位の許可は直ぐに出た。お蔭でこうやって世界を渡る事が出来ている


 え?主神への報酬はなんだって?


 秋葉原に有るロリっ娘メイド喫茶の住所で大喜びしてたぞ。お店のツイッターに主神が写っていたから既に常連になっているようだ


「ほら、智大!また妄想してないで準備してよ。此処から王都まで飛ばなきゃいけないんだから」


 伶に怒られた。まぁ兎も角いろんなことをクリアしてこの世界に自由に来れる様になったのさ。


 今日は何のために来たのかって?結婚式、緊張するポンタさん、王都。このキーワードで判るよね、そうポンタさんとイストさんの結婚式だ


 しかも王都の大聖堂で大司教様直々に執り行ってくれるそうだ。


 王都では獣人という事で差別されがちなのだが、世界を救った英雄のパーティの一員。しかも聖女様のお気に入りから聖女様の騎士にランクアップしたポンタさんを蔑む奴なんていない


 あれから二人で愛を育てた二人がやっと結婚するという事で、久しぶりにメンバーが大集合するらしい


 ハルカさんとローラさんだけでは無く、タンドさんにラクトリンさんも来るそうだ・・・ラクトリンって誰?ほら俺達がこの世界に来た神殿の神官さん、ポンタさんが治めていた集落の近くの神殿の神官さんだよ


 その他にも魔王様やナティさん。アッティスさんも来るしイシスさまも参加するそうだ。魔王様と結婚式って似合わない気がするのだが良いのか?まぁ良いんだろう。駄目なら招待状も出さないだろうしな


 そんなこんなで始まった結婚式


 両親のいないイスト様をエスコートするのは何と吃驚!教皇様だ。自分の孫専用の枢機卿とはいえ教皇様がエスコートするなんて・・・それで式を大司教が執り行うのか。いやそれでも十分凄いんだけど、此処は教皇じゃないのか?って思ってたんだよね


 教皇にエスコートされたイスト様は純白のウエディングドレスに身を包み神々しい位に美しい。その姿に参列した他の人も溜息を洩らしている。


 因みにドレスは日本製だよ。イストさんを連れてきて俺達の世界で作成した物だ。さっき控室で王様にまで注文されてしまった。近々ある王女の結婚式に使いたいそうだ・・・後で一応神様に相談しておこう


 そんなドレスに身を包んだ美しいイストさんを待ち受けるポンタさん。両手をグーパーグーパーしながら緊張した面持ちで立ち尽くしている。大丈夫か?今にも倒れそうだぞ・・・


 教皇からエスコートされたイストさんのの手を受け取ると静々と祭壇まで歩いて行く。待ち受ける大司教の前まで来ると二人並んで頭を軽く下げる


「此処に控える二人。今日の善き日に結婚の儀を執り行い、神々に生涯を通して仲睦まじく過ごす事を誓う。どうか二人に幸ある事を!神々の祝福を得られる事を八柱教団大司教の名において願い奉る!」


 この世界の結婚式は新郎新婦の誓いは無い様で執り行う司教様が神さまに対してお願いする物らしい。この後大司教様が、願いは聞き入れられたと宣言する流れなのだが・・・


『その願い。確かに聞き入れよう』


 その威厳のある声は大司教様の頭上、何もない空間から響き渡る。


 そして現れたのは後光を纏った主神マルドゥック様だ


 って、あの後光おかしくないか・・・


 あっ!アスタルテ様とレシェフのおっさんがスポットライト担いで主神を照らしている!しかもレシェフのおっさんやる気ないのか明後日の方角を照らしてるぞ!



 しかし参列した人たちは主神の顕現に驚いたのか頭を垂れて跪いてるので気が付いてない。


 折角の見せ場なのに何てことしやがる!あとで叱っておかないと。大体なんで主神なんだよ!本来は慈愛の女神であるアスタルテ様の仕事じゃないのか?


 そのまま主神の前で誓いのキスを交わす二人。イストさんから一筋の涙が流れるのが美しかった・・・


 そして場所を移動してブーケトス。何故か混じっている聖女様と必死に止めようとしている教皇様・・・ああお付きの騎士さんに連れてかれちゃった・・・


 未婚の女性が並ぶ中、先頭で鼻息を荒くする聖女さまにみんな微笑ましい表情で見守る・・・うん?見た事ある人が並んでるぞ。って、ユースティティア様だ!何シレッと並んでるんだあの人?


 と、みんなの気付かない所で神さま達も楽しんでいる様で何よりだ


 異世界のゴタゴタに巻き込まれて一時はどうなるかと思ったけど、素敵な仲間と楽しい神さま達。普通に暮らしていたら出会えなかった人達との出会いは何物にも代えがたい財産だ


「次は少年と伶の番じゃな!」

「駄目です~。私だって諦めたつもりは無いです!」


 いや、諦めるも何も告白された覚えも無いけど?


「智大君。こっちの世界は一夫多妻だから大丈夫だよ?」


 タンドさんも煽らないで下さい!ほら、伶の視線が氷の冷たさになってるじゃないですか!!


 賑やかな披露宴。あちこちから溢れる笑い声が響いているのであった



約半年の連載でしたが読み専だった自分が無謀な事をした物だと今でも思います


丁度読んでいたお話しが主人公がチート過ぎる話ばかりなのでよわっちい主人公を書いてやろうと思ったのが切っ掛けでした・・・


そう思って、魔法が使えない。戦闘チートを取ったけど武器が無い世界って設定したものの、まぁ難しい難しい。初心者には高度な縛りプレイは早かったようです・・・


途中無理やり設定を誤魔化したりして普通に武器を使っちゃうし、ローラさんの魔法で誤魔化してしまったりと強引な事をする結果になりました


でも取敢えず書き上げる事と毎日連載を目標にして此処まで来ることが出来ました。

毎日連載は弊害も多い事が判ったので新連載の方は二日に一回とさせて貰いましたが、

この連載で色んな事が学べたのは良かったです


これからも執筆は続けようと思っているので新連載共々よろしくお願いします

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