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決着!

「ジジイ!」


 憎々しい感情を込めた魔王様が睨み付ける先には髭を伸ばした白髪の老人が曲った腰を伸ばしてトントンと叩いている


「おっと。このままではみんな死んでしまうわな」


 そう言って老人が手に持った杖を一振りすると室内にいる全員が光に包まれる。それぞれ淡く光っているのは怪我をしている場所。俺達はそんなにひどい怪我では無いので大した事は無い、後頭部が淡く光るのは伶の拳骨のせいだろう・・・


 まぁ拳骨の痕を直す為の物では無いだろう。今迄激戦を繰り広げていた四人の怪我が吃驚するほどの速さで治っていく。


「ほ。これで大丈夫!ゆっくり話しが出来るのぉ」

「じじい!貴様今まで何してた!!」


 元気になった魔王様が老人に詰め寄る。襟元を掴んでグワングワン振り回しているが老人はどこ吹く風って感じで「ホッホッホ」と笑うだけだ


「エシュムよ。それでは話が聞けないではないか。少し落ち着け」

「ムゥ~。しかしこやつが原因なのは間違いないぞ」


 ローラさんが魔王様を諌めてやっと解放された老人。魔王様の本気のシェイクに耐えるのだから只の老人ではあるまい・・・てか、薄々正体は判っているけどさ


「ほれ、そっちの娘っ子もこっちに来い。そこの男の怪我も治っているから心配するな」


 教祖の力が弱まったので使徒の力も落ちてしまっている。当然召喚した二体の魔物は自分の世界に帰ってしまっており敵の中に一人残された使徒は教祖が心配なのだが、しかし近寄れないという状態だった


 老人が呼びかける事で、俺達の表情を窺う様にしていたのだが意を決したのかオズオズと教祖の元へと近づく。安定した呼吸を繰り返す教祖に安心したのか頭を膝に乗せて、此方へと視線を向けてくる・・・膝枕、必要?


「さて、何から話そうかのぉ~」

「一応確認しておくが、主神マルドゥック様で間違いないでしょうか?」

「うむ。儂が「こんな変態じじい他に居ないわよ!!」・・・」


 被せ気味に魔王様が肯定する。しかし変態じじいって・・・そんなに嫌いか?


「ゴホン!酷い言われ様じゃが間違いなく本人じゃよ」

「で、教祖の話では奴に吸収されたって聞いてるけど、なんでポコン!って感じで出て来れたんだ?」

「いや、儂、一応主神じゃからね?。もう少し敬うとか・・・」


 抗議の声を上げる主神だが、教祖の話を聞く限りはこいつにも原因が有るのは間違いないだろう。他の神さまの性格を考えれば、悪意まであったとは思えないが迷惑を掛けられた身としては敬おうという気にはなれない


「まぁ良いか。はぁ十何年ぶりに出れたと思ったらコレか・・・」

「良いからサッサと話せ。このロリコンじじい!」


 おう、変態からロリコンにクラスアップしたぞ。・・・クラスアップなのか!?


「ロリコンって。儂は子供が出来んかったから可愛がっておっただけではないか!」

「嘘付け!父上にも目線がやらしいとか言われて出入り禁止になっておったじゃろうが!。しかも子供が出来ないのではなく、結婚が出来無かっただけじゃろ!」

「ぐはっ!し、しょうがないじゃろ。主神なんてやっておったら周りはみんな部下じゃぞ。それに出を出す訳にはいかんじゃろ!」


 どうやら魔王様が小さい時からの付き合いというのは判った。しかし神さまの結婚事情なんて暴露して良いのか?


「何が部下じゃ!知っておるのじゃぞ。神界にいる女神、その中でもツルぺタ属性にばかり粉を掛けて振られたんじゃろが!」

「な、何故それを!」

「ふん、ユースティティア様が言っておったわ!」


 あ~ユースティエィア様もどちらかと言えばツルぺタ属性か・・・どうやらガチでロリ認定だな。しかも八柱の女神さまだ、もう部下中の部下じゃねぇか!


「クッ!内緒にしとけと言ったのに・・・」


 主神様、それをパワハラと言うんですよ・・・珍しく伶が小さな声で突っ込む


「もうロリでも変態でも良いですから、サッサとはなしを進めて下さいよ」


 このままでは話が進まなくなってしまうので先を促す・・・因みにハルカさんはタンドさんが庇っているので主神の眼にはつかないはずだ


「ゴホン!。まぁ儂が現世の調査の為にこの身体を作っておったのは事実じゃ。だが転生に関しては本当に偶然じゃぞ!」


 主神様が言うには、丹精込めて創った身体で現生に下りようとした時に教祖が転生してきたと言うのだ。その転生はこっちの神々が意図した物では無くあくまでも偶然の物だと言う。


 しかし一つの身体に二つの魂が入った以上はどうしても身体の奪い合いが始まってしまう。このままだと主神たる魂が無辜の魂を飲み込んでしまう為、敢て力を押えて教祖の魂の中で休んでいたのだと言う


「人の寿命など知れておるしな。それにいざとなればサッサと出れると思っておったのだが・・・」

「予想以上に教祖の魂の力が強かったと?」

「そうじゃ。何か執念の様な物が儂を抑えつけよった。しかも力を吸い取られるわで散々な目にあったぞ。お主たちがこやつの力を削いでくれたお蔭でやっと出て来れた訳だ」


 その辺は教祖のアレな部分の事かな?主神を抑える位だから筋金入りのマザコンパワーという事か・・・


「それにしても普通の人の身ならばあそこまでの力は出せまい?いったいどんな身体を作ったのじゃ?」

「いや、その・・・ほ、ほら現世で不都合が起きてはならんからな。ちょっと強化しただけじゃよ」


 焦ったように手を前に出してアワアワ振るう主神様・・・


「パサッ!」


 腕を振るう勢いが強すぎたのか懐から何かが落ちる。


「おや、主神殿落ちましたぞ」


 そう言ってポンタさんが拾ったのは一冊の本。その拍子に掛かれている題名に俺と伶は見覚えが有った


『異世界転移で俺Tueeee!~美人な嫁が沢山出来ちゃいました~』

「あれって智大お気に入りのラノベよね?」

「ああ、知る人ぞ知るベストセラーだ」


 俺達の世界ではアニメ化やコミカライズ化までした作品で映画の製作も決定したヒット作だ。それが何故主神の懐から・・・


「ひょっとして、俺Tueeeeしたかったが為に身体を強化したんじゃ・・・」

「な!そ、そんな訳ないじゃろう。儂は主神じゃぞ!力なんぞ有り余ってるわい」

「神々が現世で力を使う事は禁止されていた筈です。主神と言えども現世では力を使えません。おそらく神界で嫁を見つけられなかった主神様は・・・」


 伶が皆まで言わずとも此処にいる全員が主神の意図を理解していた


「はぁ・・・教祖の事は不幸な事故かも知れんが・・・」

「主神が変な事を考えたばかりに・・・」

「あ、主様は悪くない。そうだな、それでいいんだな?」


 そうだよ使徒ちゃん。重度なマザコンの事を除けば教祖は悪くない。色々やらかしてくれたが主神が変な事を考えて無ければ問題は無かった筈なのだ


「え?ちょっと待って。儂?儂のせいなの??だってほら邪教徒を騙したりしたのってコイツじゃん?」

「いやいや。アンタが変な身体創らなかったら教祖だって拗らせなかったでしょ!」

「でもそしたら馬車の事故で死んでたじゃんよ?」


 だんだん口調が砕けてくる主神様。ラノベにしてもそうだが、俺達の世界に興味持ち過ぎじゃね?


「う、う~ん。知らない天井だ・・・」

「って、随分テンプレなセリフだな。」


 なんのかんのと言い合いをしていたら教祖が目を覚ましたようだ・・・


「そうか駄目だったか。僕は最初から負ける運命だったのか・・・クッ!殺せ。どうせもう家にも戻れないんだ」


 クッ殺は女の子限定という法律を作って欲しい・・・


「家に戻れないって、お主の捜索願は出たままじゃぞ。懸賞金も毎年上がっておるから家族は諦めてないぞ」


 主神が諭すように教祖に伝える。


「そ、そうか、そんなんだ・・・」


 それを聞いた教祖は傍らに寄り添う使徒ちゃんにむかって涙を浮かべながら優しく語り掛ける


「ごめんよ、まだ僕には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない。わかってくれるよね?ララァ、ゲフンゲフン・・・使徒ちゃんにはいつでも会いに行けるから。」


 どこぞのアニメの最終回のセリフの様な事を言い出す教祖・・・使徒ちゃん死んでないんだから連れてけばいいじゃん!


「まっこれで一件落着じゃな!」

「「「「「「「「「お前が言うな!!!!!」」」」」」」」」


 全員に突っ込まれた主神は指をツンツン合わせながら落ち込むのであった


遂に決着です!主神様も復活して・・・って、こんな終わり方でいいのか?

良いんです。基本的に名前の付けたキャラは死なせたくないので良いんです!


このあと短めのお話を一話挟んでエピローグの予定です


読んで頂いて有難うございました


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