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深いキス
俺はゆっくりと目を閉じた。
リベリオンーーいじめっ子への復讐。
かつての俺はいじめっ子を憎んでいた。殺意すら芽生えていた。
けれど。
別に復讐しなくとも、俺は救われた。
この彩坂育美という少女のおかげで。
もう心に迷いはない。
育美のためにも、高城のためにも、そして……これから危機に陥る日本のためにも。
「俺はもう、絶対に引かない。だから明日は頑張ろう」
育美も表情を引き締め、固く頷いた。
「うん。勇樹くんがそう言ってくれるなら心強いよ。ステータス、すごいもんね」
「ああ、これな……」
俺は乾いた笑みを浮かべる。
まさかこっちの古山を倒しただけで、俺のレベルが九十にまで跳ね上がるとは思ってもいなかった。おまけにステータスの数値もカンストしてしまったし、我ながら驚きのチートっぷりである。
だからこそ、俺が背負わなければならないのだ。育美の命と、そしてリベリオンの命も。
「勇樹くんはもう、私たち最後の希望みたいなものだよ。……だから、一緒に頑張ろう」
「おう」
短く返事をすると、俺たちはまた深いキスをかわした。




