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激闘

 俺は左右に両手を広げた。そのまま、体内に残る魔力をすべて両腕に流し込む。MPが0になったという黄色い警告文が、視界上部に発生する。


 この感触。

 以前にも感じたことがある。初めて使う魔法なのに、やけに身体に馴染むような、不思議な感覚。


「おおおおおっ!」

 気づいたとき俺も絶叫していた。


 そうしながら、両手に未知なる重みが発生するのを感じた。

 目を向けると、金色に輝く佐久間の剣に反して、こちらはどす黒く塗られた闇の剣。


 それが両手に一本ずつ。


 無我夢中だった。


 迫り来る光の剣。

 俺はそれを、対の剣を交差させて防いだ。

 ガキンというすさまじい金属音が周囲に響きわたる。


「な……なんだと!」


 まるで予想外だったのだろう、じりじりとこちらに剣を押し込みながら、佐久間が大きく目を見開く。


「スキル……しかも双剣……なぜだ、まだレベル5のはずなのに」


「寝ぼけていていいのかよ!」


 そう吐き捨てると、俺は全力でもって奴の剣を弾き返し、追撃を開始した。


 しかしさすがはリベリオンのナンバー2。

 すぐに体勢を建て直し、俺の右手剣を防ぎきると、咄嗟に反撃を差し挟んでくる。


 激闘の最中、俺はもはやなにも見えていなかった。


 佐久間の視線、そして剣の動き。


 それだけに意識を集中し、俺は次々と剣戟を相手に浴びせ続ける。


 途中、佐久間の剣も俺の身体をかすめていくが、それすら気にしていられなかった。


 相手はレベル30だ。余計な工作は一切通じないだろう。


 加えてこちらのMPは0だ。佐久間はともかくとして、俺の場合は、この双剣が破れれば他に打つ手がなくなる。


 負けていられない。彩坂のためにも。高城のためにも。そして、佐久間自身のためにも。


 どれだけ闘っていただろう。


 佐久間のけたたましい悲鳴で俺は我に返った。佐久間に向けて振り下ろそうとした剣を、ぴたりと止める。


 ふと見てみると、佐久間の残りHPが2になっていた。互いに相手の身体をかすっていくうちに、佐久間のほうが限界に達したらしい。


 勝った……

 俺は思い切り脱力し、その場に膝をついた。


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