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光の裁き

 佐久間祐司 レベル30


 HP 120/124 MP 150/150

 MA 1500 MD 450


 

 佐久間のステータスは変わっていない。数値だけを見れば俺のほうが勝っている。


 だが相手はレベル30。

 俺よりも高度に魔法を使いこなせるだろうし、なにより相手は彼だけではない。五名の警官が虎視眈々とこちらを見据えてきている。かなり厳しい戦いと言わざるをえない。


 突如、乾いた銃声が鳴り響いた。


 しまったと思ったのも束の間、太い光線が、ひとりの警官を襲う。金色に輝く可視放射が、無数のきらめきをひきながら、的確に警官の足を貫いた。


「グオオオ!」

 絶叫とともにうずくまる警察官。


 俺は目を見開いた。どうやらいまの光線は、銃弾を丸ごと呑み込むことで俺たちを守る役割をも果たしたようだ。素晴らしい判断力と言わざるをえない。


 俺はちらと脇を見やると、片腕をつきだしたままの高城絵美が、同じくこちらにちらりと視線を向けた。


「いま、レベル上がったみたい」


 言われて目線をずらすと、たしかにレベルが2になっていた。すべてのステータスが若干ながら底上げされている。


「取り巻きは任せて。吉岡くんはあいつを」


「……大丈夫か。レベルが上がったからってHPは回復しないぞ」


「平気だよ。もとは私が蒔いた種。これくらいは自力でやらせて」


「……そうか」


 正直、佐久間と警官五人同時を相手にするのはかなり無理があると思っていたところだ。


「幸運を。死ぬなよ」


「あなたこそ、ね」


 短い会話を交わし、俺たちはそれぞれが担当する敵と対峙した。


 佐久間祐司は苦い顔で俺に右手を突き出す。俺もあらん限りの魔力を込めながら、闇魔法を呼び出した。相手は光使いだ、闇魔法で攻めるのがセオリーだろう。


 互いのおそるべき魔力ゆえか、建物全体がわずかながら揺れているように感じられる。周囲に散らばっていた書類が、暴風に当てられたかのようにひらひらと舞い始める。


「……いくよ」


 佐久間は上方向に右腕を曲げ、左手で肘をおさえた。


 瞬間。

 ゴゴゴゴゴ……という轟音とともに、彼の周囲にいくつもの光の筋が発生した。それらはある一点に集中し、粘土のようにぐにゃりと形を変え、なんと西洋風の剣に変容した。佐久間はそれを手に取ると、厳しい目つきで俺を睨んだ。


「レベル差は考慮しない。死んでしまえ」


 ぞくりーーと悪寒が走った。


 見れば、佐久間の両足も光に包まれている。


 馬鹿な。こんな魔法の使い方は見たことがない。


 瞬時にして、佐久間がこちらに走り寄ってきた。空気をも切り裂くすさまじいスピード。正直なにも見えなかった。やはり足になにか細工をしている。


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