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とりあえずスパイになります

 放課後。


 夕方のホームルームを終えたあと、俺を逃がさないようにするためか、佐久間祐司が即座に話しかけてきた。底辺特有のにやにや笑いを浮かべている。


「吉岡勇樹……で良かったかな」

「同じクラスなんだからいまさら自己紹介もないだろ」


 俺も笑みを返すと、自分の席に座り直し、彼のステータスを確認しながら言った。


「レベル30……すごい数字だよな。どうやってそこまで上げた」

「……やっぱり見えていたか。なに、レベルが高いだけで数値的にはたいしたことないよ」


 自虐的に呟く佐久間。


 そう、それは俺も同じことを思っていた。レベル的には異世界の古山よりかなり高いが、なぜかMA、MDが古山より低い。レベルが上がったのにステータスが下がるわけもないだろうし、これはおおいに疑問だった。


 肩をすくめながら佐久間は言った。


「魔法ってのも才能が物をいう世界らしい。吉岡のステータスが羨ましいよーーと、そんなことより」


 佐久間は思いだしたように、ふいに真剣な表情になった。


「吉岡、一昨日まではステータスとか見えなかったよな? なぜ急に魔法が使えるようになった?」

「そこなんだ。俺にもわからないんだよ」

「そうか……」


 佐久間はしばらく考え込む素振りをしていたが、数秒後、意を決したように俺をひたと見据えた。


「なら、俺たちの仲間にならないか? 素晴らしい世界が望めることを保証しよう」


 ーーきた。

 俺は小さくガッツポーズを取る。


 これこそが、俺が元世界に戻った最大の理由だ。


 イケメンリア充の吉岡勇樹は、かつて俺が憧れた存在ではあるのだが、まさしくそれゆえに、いじめられっ子に敵対視されてしまう。古山章三も俺の話にまったく聞く耳を持っていなかった。


 だから、元の世界に戻り、まずは味方として古山のことを知る。ついでに魔法の詳しい情報も聞き出す。これが一番の目的だった。


 かつて坂巻信二に不登校寸前にまで追いつめられ、後輩にすらいじめられる俺。古山たちには絶好の人材だろう。


 いますぐイエスと言っても良かったのだが、それだと不審に思われる可能性があったので、俺は少々とぼけてみることにした。


「素晴らしい世界……なんのことだ?」

「スクールカーストをひっくり返すのさ。吉岡もリア充どもが鬱陶しいだろう? 俺たちが学校のトップになるんだよ」


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