第13話 閑話1 転移時の出来事(奈月視点)
【奈月の秘密】
—— 遡って天馬が転移時の出来事を奈月視点で ——
2017年12月29日㈮
はぁ~~。今日も仕事か~! 巷は年の瀬のこの時期に……もう溜息しか出ず、その足取りは重い。時刻は15時過ぎ。今日も勤務先である『東相大学病院』に当直医として徒歩で向かう私こと「沖 奈月」は、28歳になってしまった未だ独身の医師だ。
実家は多くの企業グループを束ねる日本有数の大企業なのではあるが、私はそんなのには全く興味がない!
私が最も興味があるのは……やっぱり「男!」でしょう! 女たるもの「男!」のために尽くすことでしょう! 「全てはオトコ!おとこ!男!だ!」とは私の座右の銘だ。
初期研修(研修医)の2年間(実務経験)は正に地獄だった! それが終了すると今度は2年間(※.1)の専門研修プログラム(後期研修医)に参加し、それも修了。
(※.1:この世界線での専門医…日本国専門医機構が定める後期研修医は2年間で修了です)
医学部を卒業して最速4年で整形外科医という専門医になれたのだが、経験不足なため、勤務医として後2年は経験を積まなければならない……。先が思いやられる。
医師という職業は男性にモテるので、私は医師を目指したのだが、それが失敗であった。必死に努力して医師になったのだが、休みはないし、患者以外の男性と知り合う機会もない!
言い寄ってくる者はなく、逆にこちらから声を掛けると、皆怖がって逃げてしまう。
自治体主催のお見合いパーティーに参加した際は……私の職業に興味を持ってはくれるのだが、「目つきが怖い」「やらしい」「ヤルことしか考えてないみたい」「痴女」と、散々蔑まれては離れてしまう……。
母親の伝手で何度かお見合いを計画していただくも、そもそも写真を送った時点で相手側から“キッパリ”と断られてしまう始末………。これでは何のために医師になったのやら……。
物足りない男ばかりが目立ち、お父さんや真人叔父様みたいに高スペックな男性は、やはりいないか……。
そんな思いに耽っていると、何やら人だかりがある。気になって見てみると、道端に男性が倒れているではないか!
私は時計を見てから直ぐに近づき先ずは安全の確認をする。歩道なので問題なし、目立った外傷はなし、次に反応を確認するも意識はなし。本来ならば救急通報すべきところではあるが、幸いにも勤務先の病院から僅か20m程の場所なので、「あなたと、あなたと、あなた!」と、私は指差して周囲にいる三人に病院と警察へ報せる様に指示した。救急車を呼ぶよりも、こちらの方が早いと判断したからである。
男性は心肺停止の状態であったので、私は速やかに救命処置をした。そして1分で蘇生し何とか命を留めることが出来た。
次に私はこの男性が、心肺停止からどれくらいの時間が経過したのかを把握するため、周囲にいた人に状況を尋ねる。
すると……何人かの女性が、突如倒れた男性が現れたとのこと……。
そして直ぐに私がここに駆け付けたとのことである。
ということは、心肺停止時間は大凡2分弱ということになるか!
取り敢えず障害が残る可能性は低い、何とかなりそうだわ。
ん? 倒れた男性が突如現れた……? 7〜8人くらいの女性が同じことを証言する。
俄には信じがたいが、私の目の前には、つい先ほどまで心肺停止の状態であった男性がいるのは事実だ……。
深く考えるのは止め、この男性をいち早く病院へと搬送するのが最優先だ。
直後に当日勤務の看護師らが器材を携行して駆け付け、その男性を病院へと搬送する。その中には朱里の姿も見えた。
搬送後、心肺も安定し、ほっとしたのだが、依然として意識不明な状態である。
落ち着いてから、その男性をよく見ると、ランニングシャツに短パン姿で、見たことがない厚底のランニングシューズを履いていた。
走ってたのか? 男性が一人で? 不思議に思った。
よく見るとその男性は、身長が私と同じくらい高く、無駄な脂肪もなく腹筋が見事に割れている。全体的に筋肉質で男性にしては、とても逞しい体型をしている。私はこんな男性は見たことがない!!
朱里を含めた5名の看護師と共に病院服に着替えさせるため、同男性の服を脱がした。全裸となった同男性の“アレ”……は、とても大きく……逞しくて、ウットリしてしまう。
何よりも…この男性の着ていたシャツについた“汗”からとても良い匂いがする。暫くするとその色香によって、私ら集中治療室にいた全員が酔ってしまい、脳内と下半身が蕩けてしまう。
(この……におい!……頭がおかしくなりそう!)
その男性から放たれる淫靡なフェロモンが、メスとしての本能をくすぐる。まるで麻薬の様であり、いつまでも嗅いでいたい気持ちになり、脳内がショートしそうだ。今までの男性にはない色香に私たちは酔いしれてしまった。
警察署より数名の私服警官(全て女性)が訪れ、私と朱里を含めた関係者に事情を聴きに来た。私は搬送までの経緯を話したが、それ以上の事を聞かれる事はなかった。当該男性の意識が回復後、また事情を聴きに来る旨を院長に伝えてから帰った。
翌日、その男性は集中治療室より男性専用病室へと移送された。これで私はこの男性とお別れすることになるのか……。とても悲しく残念な気持ちとなった。
1時間後に私と朱里は院長室に呼び出された。
おそらく、身元が判明し家族が苦情にでも来たのだろう。何かしらの処分を受ける覚悟で私と朱里は院長室へと入室した。
すると、院長は信じられない事実を述べたのである。警察署からの情報提供で、搬送された同男性の付けていたゼッケンから身元を照会してみたのだが、該当者がなく、血液検査のデータ(※.2)にも該当者がなかったのである。これには私と朱里はとても驚いた。
(※.2、こちらの世界線では全ての男性は血液検査をしており、住所、氏名、年齢、職業等が登録されている)
まさか……監禁されてた? それにしては全身に痣はないし、体つきはとても良好な状態である。監禁の可能性は薄いと思うが……。
院長は市役所の担当課へ通報した旨を私たちに報せてくれた。
そして、当該男性のゼッケンに書かれていた氏名から「甲斐田 天馬」(24歳)さんの専属主治医に私を、専属看護師に朱里を指名して下さったのである。私と朱里は院長室を退出してから驚喜した!
甲斐田さんが搬送されてから2日後の12月31㈰、色々と検査をし特に異常は見られなかった。依然として意識は回復しないものの、顔色も良く健康そのものであり、まるで只眠っているだけの様である。
それからの私たちは毎日、甲斐田さんの病室に入っては、その顔を拝見するのが日課となった。とても優しそうでイケメンな甲斐田さんに私と朱里は想い想いに想像を膨らませては、とても幸せな一日を過ごすのであった。
甲斐田さんが目覚めてしまったら、私たちの役目も終わり、それでお別れとなってしまう……。そう思うと悲しくなる。いっそ……このまま目覚めないでほしい! と、恐ろしい事を考えてしまう自身に嫌気がさす。
MRI検査にて判明したのだが、甲斐田さんの視床下部が……何と! 一般男性の倍もあり、女性よりも大きかったのだ!
(もしかして……性欲が強い? エロいのかな? そんな男性いるの?)
私と朱里はとても驚くと同時に、それぞれ甲斐田さんがエロい男性で、性に積極的な想像を膨らませるのであった。
1月1日㈪、甲斐田さんが搬送されてから4日が経ち、2018年を迎えたこの日、市役所の担当部署の職員2名(女性)が来院して来た。
当日、朱里は法事のため休みであったので、私と院長が応対した。途中で院長が来客の為、退出してしまったので、結局私一人で応対した。
市役所の担当職員は、身元不明男性の救済マニュアルに則り、今日は甲斐田さんの体液を採取するとのことであった。
採取したのを照会することで、身元が判明する場合もあるとの事だそうだ。
意識不明な状態で“それ”を行うのは、男性保護法と人権法に違反するのではないか? と、私は医師としてだけでなく、私情も挟んで断固反対したのだが、市役所職員は「男性保護庁」の許可証を所持しており、それを私に見せた!
「男性保護庁」からの許可があるのならば致し方なし、私は涙を呑んで搾取を許可したのである。
但し、男性保護法に則り、医師である私を立ち会わせることを条件としたのである。市役所職員は了承し搾取の準備をし始める。
数分程で搾取の準備が整い、職員は手術用のゴム手袋を着用し、器材を甲斐田さんのにあてがう。甲斐田さんの“アレ”の大きさに職員らは慄く。
器材の振動に依って、甲斐田さんのは起立した!
何と!! 凄く大っきい!!
今まで5人ほど若い男性患者の“アレ”を見た事があるが、それを遥かに超える……と言うか……“これ!”って……入るのかしら?
職員らは甲斐田さんの想定外の大きさに驚きつつも、作業を進めるも、上手くいかず。
私は甲斐田さんが汚れずに済んだ。と、ほっとしたのだが、職員らの話しでは、このまま搾取出来なかった場合、「男性保護庁」に報告しなければならないとの事である。
その後は男性保護庁が管轄する“専用施設”に移送される可能性があるとの事………。
(そんなの嫌! 甲斐田さんと離れたくない!)
私は意を決し、担当職員に“ある提案”をした。
それは、私の持つ知識で甲斐田さんのを採取をするといったものである。
職員らは数十秒程フリーズしたが、私の提案を許可してくれた。
実は私は、中学生の頃から興味本位で「優美」(※.3)さん、「さおり」(※.3)さんより、夜の営みの内容を色々聞きだしたりしていたのである。資料(エロ小説、エロ漫画)からは絶対あり得ない営みであった。それを実践することにした。
(※.3)大館真人の夫人たち
甲斐田さんの発する色香に酔い知れながらも、私は何とか採取することに成功したのである。
だが……採取後も……甲斐田さんの“アレ”はいきり立っており、握ると、とても脈打っていたので、私はまた同じようにした。
合計4回も……である! 2回目以降は全て私は飲み干した!
とても美味しくて……まるで……脳漿を抉る様な感覚に見舞われ、腰砕けとなり、暫く立てない状態となってしまったのである。
こんな多幸感は初めての体験で、とてもとても幸せなひと時でした。
因みに……職員らは、私が最初に採取した後に失神してしまったので、2回目以降のことは知らない。これは内緒にしておこう……。
◆◆◆◆
2018年2月18日㈰
天馬とクリスが婚姻した数日後、私こと「甲斐田 奈月」は、自宅(新居)にて天馬と朱里とクリスと何故か?北川さんを交えて、天馬から採取した事実を詳細に話したのだ!
天馬とクリスと北川さんは、とても驚いていた。特にクリスと北川さんは……私のリアルな話しに、顔を紅く染め蕩けた表情で体をモジモジとさせていた。
朱里に至っては、当初は顔を紅く染め数十秒程一点を見つめて蕩けた表情をしていたが、再起動すると、眉をひそめて低い声音で私(奈月)に詰め寄る。
「おいっ! このメス豚! やっぱり、やりやがったな!」
すかさず天馬が間に入って朱里を制止する。
「朱里、落ち着こう! 奈月は仕方なくそうしたんだし……ねっ!」
すると朱里は天馬の方を見て笑顔で応える。その目は据わっていて笑ってない!
「ダーリン、こういうのはキチっとしておかないとね」
私は深々と頭を下げるしかなかった。
「天馬……それに皆にも……今まで黙ってて、ほんとにごめんなさい!」
朱里は更に怒りを募らせ、私の胸倉を掴んで詰め寄る。
「てめぇ~! このクソアマァァァ! 抜け駆けしやがって!」
「朱里! もういいから落ち着こう」
天馬は朱里の後ろから腰に手を廻して引きはがした。そして何か朱里に小声で耳打ちしたのである。
朱里は顔を紅く染めて天馬の方に向いてから、抱きつく。
「あん! ダーリ~~ン……はい、激しいの……お願いします」
どうやら朱里は落ち着きを取り戻したようだ。
あの様子だと、今日の天馬との褥の約束でもしたのであろう。
それにしても……クリスと北川さんは未だ腰砕けな状態で立てず仕舞いである。おそらく……イッタな。全くだらしない!
朱里も天馬のこととなると、直ぐムキになって冷静さを失くしてしまう。みんなダメね!
妻たるもの、どんな不測の事態に陥っても、常に冷静でないとダメよ。三人とも、まだまだ少女ね。あっ!北川さんは妻ではないけど、ま~時間の問題ね。
私は若干の優越感に浸るのであった。
でも…天馬は私が“シタ”行為に特に怒ることはなかった。とても心が広い。
そればかりか、朱里を抱きしめながらも、私に何か目配せしてる。
なになに……(今度、ソレして欲しいな)…だって!!
(はい!)と、私はウインクして天馬に応えた。
そう、私と天馬は目を合わせるだけで意思疎通が出来るまでになったのだ!
これは私だけにしか出来ないことよ!どお?凄いでしょ〜!
うふっ…次の褥が楽しみ〜〜。
それと……天馬が目覚め(意識が回復)たあの日のことは今でも忘れない。
天馬は、私や朱里、そして救命に携わった人達全員に、心から感謝の気持ちを述べてくれたのだ。
医者となって感謝されたのは、初めての経験だったので、今でも思い出すと嬉しくて涙が出そうになる。
あのとき程、「医者をやってて良かった!」と心底思ったことはないわ!
ホントに天馬、私にいつも“たくさんの愛”をくれてありがとう!
アナタは、さいこう~~の“男!”よっ!
こうして私こと『奈月の秘密』を終了とします。
◆◆◆◆
採取された天馬の“それ”は、市役所担当部署から「男性保護庁」に上げられ、更に詳しい検査が実施された。
天馬の“それ”は、この世界では驚愕の数値(量と運動率)を叩き出し、検査官が腰を抜かすほどであった。
更に病院から送られた様々な検査結果にも驚愕の数値が記載されていたのである。
過去の検査結果と照合し分析した結果、天馬が『稀人』である可能性が極めて高いものと判定された。
男性保護庁長官より首相へと検査結果の報告が上がったことで、当該男性を稀人として扱う事が極秘に閣議決定されたのである。
当該男性の意識が回復次第、聞き取り調査をし、稀人であるのが確定後、速やかに『稀人プログラム』の発動がされる運びとなった。
そして……その責任者には「情報省」の「北川恵美」(29歳)が、大抜擢されたのであった。
理由としては、当該男性とDNAレベルで最も相性が良いと判定?されたからである。
北川を情報省より男性保護庁へと出向させ、当該男性の監視とサポートを担わせる事にしたのである。殆ど休みは取れないが、3年後にその報酬として、当該男性の“種付け”を確約されたのである。




