第十三話 好きな理由
「碧のどこが好きなの?」
そう言われた時一瞬何を言われたかわからなかった。
脳が理解するまでに時間がかかった。
「な、にを言ってるんだ」
そして理解してしまったから、咄嗟に否定しようとした。
でも、彼女は
「いやーさっきから話しててさ、思ったことがあるんだよねー」
藤原さんは
「だってさ私と移動してる時とかそこまで嬉しそうな雰囲気じゃなかったのにさ」
容赦なく
「碧の話してる時だけ凄く嬉しそうな、楽しそうな雰囲気するんだもの。対応が違いすぎて一瞬でわかっちゃうよー」
俺の心の中に隠していた思いを出してきた。
「そんなに違うものか?」
「違うよー全然違う。君が碧と話してるところは一度見たことがあるんだけどさ、嬉しそうで、それでいて少し緊張していて、あと心の底から楽しそうだったよ」
うっわ。他人から見たらそんな感じに見えるのか!
「まあ、他人の感情に敏感な私だからわかったことだけどね」
「なんだそら!」
じゃあ他にバレてる心配はないな。
「でもでも碧と君が付き合ってるかもって噂は流れてるよ?先週くらいから」
「そう言えば玲二がそんな事言ってたな」
あの時は冗談かと思ったがまさか本当の事だとは。
「まあそんな事はどうでもいいとして」
「どうでもいいって言うな!」
「どうでもいいの!それより本題はいるよ!本題!」
地味に鬱陶しいなこいつ。
「碧のどこが好きなの?」
「それってちゃんと答えなきゃ駄目か?」
正直言って答えたくない。
「わざわざ聞かずに答えたくないなら適当に言えばいいものの。そこら辺貴方は真面目そうですね。はいちゃんと答えてください」
真面目って言われてもそんな自覚ないしな。
それにしてもどこが好きっか。
「ちなみにあの子の顔が好きとか胸がいい大きさだからとか言ったら顔面殴るからね」
うわこっわ!
これは変にふざけない方がいいな。
「そうだな」
「ふむふむ」
「目、かな?」
「………目、ですか?」
「そう目」
俺が正直に答えるも、
「あの、貴方は特殊性癖者か何かですか?」
人聞きの悪い。
「別にそんなんじゃない」
「じゃあなんなんですか!なんなんですか!目が好きな人なんてそうそういませんよ!そんなの漫画の世界だけだからーー!」
そんなことないと思うけどな。
「じゃあなんなんですか!本当に目が好きなんですか!なんで目なんですか!あの子可愛いじゃないですか。顔とか凄く整ってるし、胸も大きすぎず小さすぎずの丁度いい大きさを誇ってますよ!どこが不満なんですか!なんでそれらを差し置いて目なんですか!」
「いや、あんたさっき顔とか胸が好きとか言ったら顔面殴るって言ってきただろうが!」
思わず思いっきり叫んじゃった。
「それで?なんで目が好きなの?」
この子、敬語を使う時と使わない時が滅茶苦茶だな。
「目ってさ、この人の心が現れると思うんだ」
「ふむ」
「あの子の目はとても綺麗だった。自ら優しく有ろうとする人だった。でも、それと一緒に少し窮屈そうだった。寂しそうだった。悲しそうだった。泣きそうな目だったんだ」
「………」
「で、碧の目を見てたら何故か目を離せなくて、この子を救ってあげたいってそう思えたんだ。あの瞳から悲しみをとったらどんなに綺麗なんだろうって」
言ってて滅茶苦茶恥ずかしくなってきた。
「これでいいか?」
「うん。大丈夫ですよ」
そう言って藤原さんは立ち上がって、
「とりあえず合格点はあげます。でも、もし碧が泣くようなことがあったら許さないから」
「肝に免じとくよ」
そう言って俺たちはカフェから出ていった。




