第十四話 乙女の会話
「いやー面白かったね!!」
「そうですか?」
「そうそう。ちゃんと私の質問に真摯に答えてくれたしさ。悪いやつじゃないと思うよとりあえず」
月曜日のよる。
私、藤原 桜は碧と電話で話していた。
ちなみに内容は今日七瀬さんと話したよって話題だけど。
「個人的には優良物件だと思うよ?碧はどうなのさ」
「えっと、好きかどうかは置いといて、いい人だとは思います」
おお!碧がこう言うなんて!これはなかなかいい傾向じゃない?
正直私には碧が過去に何があったかなんて知らないけど、心を閉ざしていた碧の心がまた少し開くぐらいにはあの人に影響されたみたいだね。
「で、どうなの?あの人のことが好きなの?」
「わかりません。ですが」
そう言って碧は一旦言葉をきり、
「私が幸せになるのは許されることの無い大罪ですから」
そう言って、自ら付き合うという未来を踏みにじっていった。
「ほんとにさぁ。過去に何があったか知らないし、碧が話す気が無いなら私からも聞く気も無いけど、そろそろ自分を許してあげたら?」
「それは、私が許す許さないの問題では無いので」
そう言ってこの子は過去を話そうとしない。
この子の心の扉は少しづつ開いてきて、過去に何かがあったんだろうなーとは思ってるし、そんな雰囲気を醸し出してるし、何より、過去に何かあったっていうのは聞いたら教えてくれたからわかってる。
過去に何があったかはちゃんとは知らないけど。
きっと私はまだこの子に心の底から信頼されていることは無い。
そして、私が自分の力でその信頼をもぎとることは出来ないだろう。
「もう!そんな暗い話よりもっと楽しい話しようよ!」
そう言って強引に話しを切り替える。
「話と言ってもあと少しだけですよ?もうすぐでテストなのでそろそろ勉強の方に戻らないと」
うわぁー。嫌なこと思い出させてきたなこの子。
「そう言えば今日は彼、私が連れて行ったから碧1人だったよね?1人で勉強してたの?」
「まあ、そうですね。涼くんのお陰で何とか1人でも勉強できていますので」
「いやーそれにしても凄いよねー。1人で勉強なんて」
本当に尊敬する。
まだ高校生なのに、両親もいないできっと悲しいはずなのに、そんな雰囲気を一切出さない碧に。
凄いと思ったのはホントのホントだ。
私だってまだ親がいないと何も出来ないのに。
その親がもういないのに一人でそれを耐えて頑張ってる碧は本当に凄い。
それに、碧が隠している過去。
この子は普通の人間が歩には過酷すぎる人生を送っている。
「折角勉強教えてもらったのですからしっかりと活かしていかないと勉強を教えてくれた涼くんに悪いですから」
「そうだね。じゃあその愛しの彼のために勉強頑張ってね。私も赤点は取らないくらいに頑張るから」
「もう!涼くんはそんなんじゃないですよ!それじゃあおやすみなさい」
「うん。じゃあね」
そう言って碧との通話を終わらせてから、碧との関係について思い返す。
中学三年生の時に私の通っていた中学校に転校してきた碧。
それから少しづつ打ち解けていって私は本当の意味で碧と仲良くなりたかった。碧の心の呪縛から解き放ってあげたかった。
だけど、わかってしまった。
私じゃ、私程度じゃそんな事は出来やしないと。
だから私は彼に賭ける事にした。
碧の心の呪縛から解放させてくれるだあろう一人の少年に。
私のたった一つの小さな願いをチップとして私は七瀬 涼太に私の全てを賭けた。




