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赤木の森の下影に  作者: 一人雅伸
赤木の森の下影に
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 <町内子供野球大会>

 <町内子供野球大会>


 夏休みになると、学校主催の「町内子供野球大会」が開催されます。大会そのものは2~3日の日程です。審判やコート作りを学校の職員総出で行い、慌しくも結構大きな行事になったのです。これは、当時プロ野球が流行し始め、町内の野球好き、イベント好きの保護者の皆さんが盛り上がり、子供達の練習からユニホーム作りまで世話をするようになり、華やかなものでした。


 しかし、子供と大人が一体になったこのような行事は、素晴らしさを通り過ぎて、私には凄まじさを感じさせました。町内同士でユニホームのデザイン競争のような争い、道具や設備などの高級自慢にまで発展しかねない勢いだったのです。余談ですが、後に私が赴任した五口小学校で「少女ソフトボールクラブ」を作ることになります。その時、私が『野良着ユニホーム』に拘ったのも、このような体験があったからだと思います。


 日曜日の朝、街角で保護者のお母さんや子供達がリヤカーを引いて行く姿を見かけるようになりました。リヤカーには古新聞や古雑誌が山のように積まれています。『廃品回収』の様子です。これは、この地区に限らず何処でも行われていたようです。その姿は、単なる「流行」というより子育て中の親子の触れ合いや愛情の表れのようにも感じられました。この廃品回収で得られた収益がユニホームや野球道具、試合の弁当代や飲み物代になったようです。リヤカーを牽く親子の姿は、私の心の中では、この時期の風物詩として今でも残っています。


 こういった様子は、県下全域、全国的に広まっていきました。というと、発祥が私たちの地域だと聞こえるかもしれませんので、全国一斉の地域行事、風物詩だと思ってください。町内子ども会活動は町内野球大会である、と解釈されるほどになっていました。


 やがて、保護者の負担の問題、子供のスポーツの多様化などで段々に廃れていくのですが、一方では、子供の非行問題や不良化問題も解決策が見出せないまま続いています。戦後の荒廃した社会の中での非行・不良とは変化が見られたとはいえ、その対応策や解決策は決定打を見ることなく、依然、教育現場に重くのしかかっていたのです。

 

 子供の社会生活での健全化を図る目的で、稲榎市では有志によって『稲榎市子供会・育成会連絡協議会』の誕生をみました。また、文部省(現文科省)も「道徳教育」を設け、道徳教育の充実に力を注ぐことになってきたのも、この頃かと思います。教育の民主化は、多くの時間と、大勢の人達の知恵と努力が関わって育ってきたと感じられます。


 思えば、その活動の目的や活動内容は、殆どがキャンプや町内子供野球大会などか基となって、多種多様化してきたのではないでしょうか。


 やがて『子供会・育成会』が全国に網羅され、『町内子供会』から『地区子供会』、『市町村子供会』、『都道府県子供会』そして『全国子供会』へと組織が拡大して行くことになります。これも、多くの父兄や保護者、そして、多くの政治家を動かした大人たちの『子ども達の健全育成を願う人々』の願いと尽力のお陰だったのでしょう。 


 戦前・戦中の学校教育から、学校教育と地域教育(社会教育)へと変化して行ったのも、占領政策の一環と捉えることが出来ますが、多くの人の願いや希望や理想に近い、『子ども達の健全育成と成長』という気持ちに合致して発展してきたのかもしれません。




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