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赤木の森の下影に  作者: 一人雅伸
舟人渡る川の畔
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 <育成会の凧揚げ大会>

 <育成会の凧揚げ大会>


 或冬の日曜日の朝、育成会の会長から、「渡瀬川の土手の上で凧揚げ大会をやるから、見に来て下さい。」と連絡がありました。


 土手の上へ行ってみると、寒い西風の吹く中を、子ども達が10人位、集まって凧を上げていました。


 寒風の吹きすさぶ、渡瀬川の大土手の上では、小さい凧等ひとたまりもありません。無残にも西風に吹き飛ばされて、ぐるぐる回されて、地上に真っ逆さまに墜落です。このようにして壊されても、壊されても、小さい子ども達は、健気にも、はさみや粘着テープを使って、直しては、また、上げていました。

 さすがは、高学年です。見た目も頑丈に、そして大きく出来ていますので、悠々と舞い上がります。こんな雄大な凧揚げは、船水川でなければ、見られないと思いました。あの、どっしりとした土手の大空へ、ぐんぐんと揚がって行きます。糸のたぐり具合も見事なものです。西風に飛ばされながら、悠々と上へ上へと、舞い上がって行くのです。それに合わせて、凧糸を弾いたり伸ばしたりしながら、自分の凧から目を離しません。凧がだんだんと高く小さくなっていくのを、必死に見詰めています。


 3つか4つの凧が、最後まで飛び続けていました。


 小さい凧は、何時の間にかぼろぼろになってしまいました。自分の凧はあきらめて、大凧を 応援するようになりました。

『もっと上がれ、もっと上がれ。』

と、それぞれの大凧に何人かが集まって、応援しています。そして、よく飛んでいる凧を観察しているのです。どうしたらよく飛ぶか、子どもなりに、観察・研究しているのです。

 そして、どこまでも青く澄み切った大空へ、舞い上がる凧を追いかけながら、宇宙遊泳をしている、宇宙飛行士になったつもりで、いるのかも知れません。そして、一年、二年と、体験を積み重ね、やがて、大きながっちりした凧を創り上げるのかも知れません。


 こんな子ども達を見ていると、このような純粋な気持ちになりきって、一緒になって凧を応援できるのも、教師の特権かも知れません。この特権をいつまでも、懐に抱きかかえていきたいものと思いました。


 何時の間にか、昼になってしまいました。子ども達は、ジュースを一本貰って解散しました。船水川の子ども会は、人数が少なかったせいか、大自然が大きすぎたせいかちょっと寂しく見えましたが、子ども達はすっかりこの大自然の中に溶け込んで、活き活きと生きているのです。


 渡瀬川の大土手の上の凧揚げ大会は、やはり、他所では見られない、雄大な凧揚げ大会でした。船水川小の子ども達は、いつの間にか、この雄大な大自然の中に、巻き込まれ、溶け込んで、大らかな、逞しい心を育てられているのかも知れません。




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