047 『新入部員』
『新入部員』
新年度。入学式が終わり、どこの部も新入生の勧誘に躍起になっている。そんな中、僕は何のアクションも起こさず部室で座っていた。勿論、新入部員などおらず僕一人で、だ。
「いや、だって、どうやって勧誘しろと……?」
チラシを配ったり、作品の展示を行ったりと、他の部の生徒達は勧誘活動をしている。だが、この『カテイ部』をどう説明して、どうやって新入部員を確保しろというのか。
正直、無茶振りである。当日になるまで、この問題に気づかなかった僕も大概だが。
「まぁ部を守る、っていうだけなら、一応は僕がいる残り二年はなんとかなると思うけど」
それでもやはり、新入部員はいたほうがいい。一応、部活紹介の冊子に説明を載せはしたけど、わざわざそれを見て、三階の端の部室まで足を運ぶ物好きがいるとは思えない。
「僕のときは、単に勘違いしただけだったしなぁ……。はぁ……」
そんな風に、諦めてため息をついたとき、――コンコン、と扉がノックされた。
まさか、本当に入部希望者がきたのか……!?
「いらっしゃい、入部希望の人ですか、――って、はっ?」
驚きと喜びを胸に、扉に駆け寄った僕が目にしたのは、よく知った人物だった。
「まったく、勧誘も何もしていないなんて、約束を守るつもりはあったのかしら?」
そう言って彼女は、――卒業したはずの先輩は、慣れた様子で部室に入ってきた。
「いや、なんで先輩が!? 卒業したんじゃなかったんですか!? もしかして、留年ですか!?」
驚きすぎて、矢継ぎ早に疑問を口にしてしまう。いや、一体どうして先輩がここにいるんだ!?
「留年って、失礼ね。そんなわけ無いじゃない、ちゃんと卒業しているわよ」
「なら、もしかして、僕を心配して、わざわざ見に来てくれたとか……?」
「勿論、違うわ。それなら、どうして制服を着てくる意味があるのかしら?」
「それは、確かにそうですけど……。だったら、どうして……?」
何から何まで、まるで訳が分からない。分かるのは、先輩がここにいるってことだけだ。
「約束したでしょう。君がちゃんと部を守っていたら、また会いに来る、って」
「そうですけど、いくらなんでも早すぎません? そもそも質問の答えになってませんし」
「あぁ私が何でここにきたか、ね。ここにきた理由は、最初に君が言った通りよ、ほら」
そう言いながら、先輩が紙を取り出す。そこにはこう書いてあった――、
「入部、届け……?」
「そう、私がここに来たのは、この部に、――カテイ部に入部するためよ」
「入部って、えっ? 先輩が、ですか……?」
「そんな反応よね。流石に説明しないわけにはいかないし、それじゃあ種明かしといきま――」
そう先輩が話そうとしたとき、バンッと、いきなり入り口の扉が開け放たれた。
それでは、解決編の始まりです。
先輩の正体、分かっていただけたでしょうか?
じかいでもう少し詳細とか、本編初登場のキャラとか(終盤にしてようやく)出てきたりします。
それでは、あと残り三話、最後までお付き合いいお願いいたします。




