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032 『名前』

『名前』


一、姓名共に漢字二文字で、合わせて四文字。平仮名表記だと姓四文字、名三文字。


二、姓の二文字目の漢字が、他の三文字全てに一つずつ入っている。


三、イニシャルは姓が『I』、名が『T』。


 さて、これらを満たす名前はどんなものだろうか?


 ――こんな推測ゲームのようなことに頭を悩ませているきっかけは、数分前に遡る。


「そういえば、そろそろ先輩の名前、教えてくれません……?」


 駄目もとの質問。だが、先輩は少し考えるそぶりをした後、紙に何かを書き込み渡してきた。


「えっと、これは……?」


「私の名前よ、君が聞いたんでしょう? ただ教えたらつまらないから、ヒントだけれどね」


 そう言って、楽しそうに笑う先輩。そして、渡された紙に書かれていたのがこの三つの文だ。


「あの、『二文字目の漢字が他の三文字全てに入っている』って、どういう意味ですか?」


「あら、説明が足らなかったかしら。例えば『日』という漢字が、明や昼という漢字に一つずつ含まれているでしょう。こんな風に、二文字目の漢字が全てに一つ含まれているって意味よ」


 そう別の紙に漢字を書きながら説明してくれる。おかげで先輩の言いたいことが理解できた。


「なるほど、ヒントの意味は分かりました。そうなると二文字目候補、かなりありますね……」


 他に含まれることのある漢字と言っても、月、火、水、木、といった曜日の文字や、目、口、耳、といった身体の部位、さらに言、長、里、など数えだしたらきりがない。


「追加のヒントはないわよ。教えるつもりはなかったのだし、このぐらいの難易度はないとね」


「ですよねぇ。せめてあだ名でも分かれば、取っ掛かりになるのに、……って、ん?」


 何気なく口にした言葉で思い出す。あだ名、僕は一つだけ先輩のそれを聞いたことがあった。


「確か、伝言にきてくれたあの人は、『モモ』って、先輩のことを呼んでいたっけ」


 先輩が風邪で休んだときのことだ。うろ覚えだが、確かにそう呼んでいたはずだ。


「あぁ、そういえばそういうこともあったわね。けど、それは少々誤算だったわ……」


 少し悔しそうに先輩が眉根を寄せるが気にしない。それよりも、この問題を解くのが先決だ。


「『モモ』って呼び名がもしも、名前の漢字から取ったものだとしたら……」


 そうすると、多分先輩の名前は『桃○』、イニシャルと文字数を考慮すると、読みは『トウ○』の三文字になるはずだ。そして『桃』という漢字に含まれるのは『木』と『兆』の二字だけ。


「『兆』を使う漢字はあまりないし、二文字目に『木』のほうが入るとするなら……」


 『○木桃○』と紙に書く、がそこまでだ。『木』が含まれ『い○○』と読める漢字が上に入り、一文字で読める漢字が下に入るということまでは分かったが、そこから先が進まない。


「あー、うー……、解けそうなんだけど、後一歩が分からない……」


 結局、もどかしさを味わうだけで、先輩の名前は分からないのだった。


今更ながらの名前回。

なお本編中には名前は基本的に明かされません。


ただ、前回同様クイズとして形式がある以上、答えはあります。

というか『僕』が出している考えをヒントにすれば会とは結構簡単に出るはずです。


そんなわけで、次回もどうかよろしくお願いいたします。

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