表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/55

028 『三原則』

『三原則』


第一条 兄は妹に危害を加えてはならない。また危険を看過し妹に危害を及ぼしてはならない。


第二条 兄は妹の命令に服従しなければならない。命令が第一条に反する場合この限りでない。


第三条 兄は第一条および第二条に反することのないかぎり、自己を守らなければならない。


「……それはなんなのかしら? ロボット三原則を改変したものみたいだけど」


 僕の手元にある紙を見て、先輩が戸惑った声を漏らす。正直、僕も同じ気持ちだ。


「昨日、妹が渡してきたんですよ。喧嘩したら、仲直りの条件としてこの三つを守るよう言ってきまして。原因は僕で悪かったと思うし、反省もしてますが流石にこれは……」


「なるほどね。確かに、ちょっとこれはいきすぎなような気もするわね」


 そう、いくらなんでもやりすぎだ。こんな三原則を守らせようとする妹は聞いたことがない。


「でも、一見横暴な内容に思えるけれど、実は君の事を心配しているんじゃないのかしら?」


「えぇ? そんなことないですよ。単にもじったからこうなっただけじゃないんですかね?」


「でも、それなら単に『命令に絶対服従』とでもすればいいだけでしょう。それをしなかったのには何か意図があるんじゃないかしら。参考までに、喧嘩の原因はなんだったの?」


「いや、庭の木に登って降りれなくなった猫を助けようとして、ちょっと木から落ちそうになっただけですよ。確かに心配はかけたけど、そこまで強く怒ることじゃないと思いません?」


 心配させたかもしれないが、何も悪いことはしていないだろう。しかし、それを見た妹は僕がいつも不注意だとか色々言ってきて、僕も言い返してしまい喧嘩になってしまったのだ。


「全面的に君が悪いわね。というか、妹さんがこれを君に出した気持ちも分かる気がするわ」


「そんなぁ。けど、いくらなんでも勝手すぎると思うんですが。なんでも命令に服従なんて」


「君は反省してると言ったけど、それは『心配をかけたこと』にでしょう? 危険な行動したことは悪いと思ってないから、同じようなことを結局繰り返す。けど、そんなことを続けていれば、いつか取り返しの付かないことになる。妹さんはそれを心配したんじゃないかしら?」


「そうですかねぇ……? 先輩はそう言いますけど、やっぱりそんな風には想像できないです」


 我侭で勝手気ままな我が妹が、そこまで殊勝なことを考えている筈ないと思うのだ。


「まぁ結局は仮定の話よ。けど家に帰ったら妹さんとちゃんと話し合った方がいいと思うわ」


「確かに、これをそのまま呑むわけにもいきませんし、どちらにせよ話すのは必要ですね」


 家に帰ったら、落ち着いて妹と話してみるか。一応ないと思うけど、先輩の考えも参考に。


「ちなみにロボット三原則だけど、実は後々追加されて、第零条もあるのだけど知ってた?」


「いや、知らないです。三つは聞いたことありましたが零なんて聞いたことないですね」


「第零条っていうのは、単に第一条の『人』を『人類』に置き換えたものよ。君のそれに合わせるなら、『妹』を全般的なものに置き換えるとして、『年下の女の子』とするべきかしらね」


「……なんか『兄妹の三原則』から『ロリコンの三原則』に変わってません、それ?」


ロボット三原則にかけて妹三原則、とみせかけて落ちはロリコンという。


真面目な話でも、一部を換えるだけでとても残念なものになるものです。


……じつは本来24話くらいに入る予定だったけど、入れ忘れてたというね。



それでは、次回もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ